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6-13・謎解き回というか事情説明回

「事情について聞く必要はあるのね。何だったら、こっちのゴミーのほうにしばらく通ってもらってもいいよ」と、ミドリは正しくゴーレムのほうを指さした。


 あたしがかよ、とゴミーは正しく驚いた。


 コミーはしぶしぶながらも語りはじめた。


「この周辺には同じメーカーの自動販売機しかねぇんだよ! おまけに、コーヒーはブラックがなくて甘いやつばっか!」と、コミーは話しはじめた。


 あー、利根川飲料ね。


「利根川のおいしい水」とかで作られるコーヒーや紅茶は好みがあるんだけど、普通に水や炭酸水で売ればいいものを、自動販売機にはその商品はないらしい。


 そして体質的に、コミーは甘い飲料は受けつけないらしい。


 要するに、空き缶ボックスを蹴飛ばしたのは「むしゃくしゃしてやった」か。


 別に機械本体を蹴飛ばす、御坂美琴みたいな不良中学生じゃないし、ちらばった空き缶は回収してるからあまり深くは問わないことにしよう。


 どうも、回収するために蹴飛ばしてるみたいだし。


「学校に来れなかった理由は?」


「電動アシスト自転車の故障。一応新学期までに部品が来て修理終わる予定だったのに、メーカーが3度も間違えやがって」


 これはもう、モリワキ団のしわざに違いない、と、おれはミロクのほうをちら、と見ながら考えた。


「登下校には徒歩でもいいんだけど、ツレ……メイと歩くのが悪くって」


 確かに、コミーの家からは普通に学校に通える距離で、メイ=メイド子は自転車を使ってたりはしていない。


 歩くのが遅くなるから? とおれは聞いた。


「あたしの引き立て役にするのが申し訳ねぇんだ」


 自信まんまんで本人に言われるとは。


 メイド子は別にブサイクではなく、くり色の髪とくりくりした瞳が魅力的で、いかにも新入女子高生らしい活発さはあるけど、確かにコミーと比べるとツルとツグミみたいなものだ。


 クルミと比べると……ツルとシロサギぐらいかな。


「わたしと一緒に登校しましょう!」とクルミは言うけど、おまえは登校してないだろ、この部室・庵の一角に寝場所を作ってるのに。


「しかし、お菓子作りが趣味なら、わたしと同じお菓子部……調理部に入ればいいのに」


「だってあそこ、特別棟の3階だろ。そこまで上り下りする自信がまだなくって。散歩、っていうのも、怪我した足のリハビリを兼ねてて、さ」


 無駄な自信のあり・なしがある子である。


 なんでも自信があるクルミとは違ってる。


 中学のときにちょっとしたことがあって、と、コミーは言いかけ、基本的にトラウマ的なものは語らなくてもいいから、と、おれは念を押した。


「そう言えば、どうやってこの庵まで?」と、ミナセが聞いた。


 ものごとのつじつまをがちがちに合わせすぎるような説明は不要だけど、ヤマダが昼に車で迎えに来てくれた、ということだった。


 ヤマダにこの庵があること、教えてもらったんだな、普通の生徒だと場所がうまくわからないように、ミドリの魔法で隠してあるからね。


「あたしは認めないからね、こんなニセモノの言うことなんて! みんなだまされちゃだめだよ!」と、ゴーレムであるゴミーのほうはぷんぷんしている。


 本物よりもさらに整っているから、ゴーレムのほうがニセモノだということはわかるんだけど……。


「ふたごのきょうだいが転校してきた、ってことにはできないかな? よくあるじゃん、ふたごの弟が姉の女子校に、女子高生のふりして潜り込んで……」


「ウルフが自分の10倍ぐらいラノベを読んでるのはわかってるけどな」と、ミロクはクレームをつけた。


「そういう設定は「よくある」ということはないし、男女のふたごのきょうだいは、普通そんなに似ていない」


「えー? そんなことないですよ、わたしと弟とはうり二つだった……という物語もありました……10話ぐらいでエタってしまいましたけど!」と、クルミは弱々しく言いはじめたにもかかわらず、力強く締めた。


「そんじゃ、こっちのコミーは……女装男子?」と、ミナセはゴミーを指さして、また話をややこしくしようとしている。


 男子か女子かである以前に、そもそもヒトじゃなくてゴーレムだっつーの。


「実は、大変言いにくいことなんだけど、今のゴミーの命はそんなに長くないのよね。ざっと計算したところで、◯日ぐらい」と、ミドリはいきなり衝撃的なことを言った。


 セミが地上でみんみん生活できるより短い。


「オリジナルがない雑な創造物なら、存在を許している「魔石」みたいなもの? ヒトの場合だと魂に相当するのかな、それを移しかえ続ければずーっと形が保てるんだけどねえ」


 なんとかしろよ、魔界の能力まともに使えるの、3人の中じゃミドリだけなんだから。


 え、と驚いたふたりのコミーは、顔を見合わせてお互い涙を流した。

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