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6-3・魔法少女像がふたつ

「さて、いいソースが手に入ったので、コミーの画像を見た自分の違和感を明白にするよ」と、ミドリは言った。


「まず、顔の画像データを解析して、3Dデータを作るのね」と、ミドリは言いながら、偽ミロク、つまり1年生のミロクの正面顔から、横向きの画像を作った。


 これは、ユージュアル・サスペクツ、重要容疑者の記念写真を警察がサービスで撮ってくれる例のやつだな。


 それから、さらにぐるぐる、と360度分の面を作る。


「顔のデータを元にして、全身を作るのね。そんなことできるのって、できるよ、ほら」


 携帯端末の中の画像を、ゲームキャラクターかバーチャルネットアイドルみたいな感じで仕上げてる。


 服装は当然、魔法少女みたいな感じで、ポーズもそれっぽくして、マジカルスティッキを持たせる。


「ここまではぁ、素人でもできるので、これを元にフィギュアを作るわけ。3Dプリンタがあれば、魔力なんて必要ないけどね」


 あっという間ににきゅんきゅんしそうなミロクの立体物ができる。


 だけど。


「なんかこれ、ふにゃふにゃしてない?」


「大気中の素材を使ってるからねぇ。ソフビぐらいの触感しかないのよ。そこでクルミ、協力して」


 はい、とクルミは10万円金貨をミドリに渡すと、ミドリはソフビなミロクの頭に乗せる。


 金貨はしゅん、と溶けて像に重なる。


「これでミロクの黄金像ができあがりなのね」


 神々しすぎて目がくらむ。


「同じ要領で、連絡が取れない1年生のコミーの像を作って。こっちの塗りはリアルに近づけるのね」


 ひとつ目の製作には5分ぐらいだったけど、ふたつ目は1分ぐらいしかかからなかった。


 やっぱ魔法ってすごいな。


「色塗りはやっぱ魔力でやるの? 水色部分は水系とか、赤いところは火系とか」と、おれは聞いてみた。


「それじゃフィギュアが溶けちゃうやん。んー、通常は金属系の魔法で赤・青・黄色は出せるんだけど、ここはひとつ有機物の加工でやってみよう」


 ぶち、ぶち、ぶち、と、おれたちの髪の毛が数本抜かれた。


 クルミのふわふわな金色の髪、おれのごわごわな赤毛、それにワタルのつやつやな青毛。


「失敗しても何度でもやり直せるのが、魔法生成物のいいところなのね」


 フィギュアの色塗りを、立体なのに液タブの画像みたいな感じでやってる。


「肌の赤みが強すぎるかなー、んんんー、シャドウに闇色を使いたいから、ミロクの髪もちょうだい」


 私のフィギュアをあとでくれるのなら、とミロクも協力してくれた。


 金色の魔法少女像と、リアル色づけされた魔法少女像。


「さて、このふたつを見て、きゅんきゅんする以外に感じたところは?」


「えーと……ずいぶん大きさが違うんだけど、これはリアルサイズにちゃんと基づいてるのか」と、おれは聞いた。


「それ! まさにそれ! ウルフも違和感感じたでしょ? コミーって女子にしては背が高いから、小顔でスタイルいいんだよね」


「胸のサイズもリアル?」と、おれが聞きたかったことをずばずば、ミナセは聞いてくるのに対して、ミドリはうなずいた。


 コミーのサイズが、胸はともかく、正確なら、ミロク像と比較する限り、コミーはおれよりちょっと低いぐらいだけど、今どきの女子なら170センチ台はさほど不自然ではないだろう。


 ミドリは、えい、とコミー像に鉄扇を当てると、像は分裂して複数の、小さく持ちやすい大きさになった。


「じゃあ、これをひとり5個ずつ持って聞き込みしてくるのよね。こんな子知りませんでしたか、って」


 時刻は平日の午後をすこし回ったぐらいで、放課後前のクラス別ホーム・ミーティングには時間があったから、おれたちは部室の庵で勉強をした。


 真面目に学校の勉強をしている高校生など、物語ではあまり出てこないから、それだけでもおれたちはリアルだ、ってわかるだろう。

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