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5-8・携帯端末で電子書籍を読む方法

 おれはポケットサイズの携帯端末で電子書籍を読む場合、というのを実践してみた。


 どうも電子書籍は便利なんだけど、背表紙がないのがどうも気になるんだよな。


 厚さと重さと硬さもないし。


 正確に言えば、あるのは携帯端末の厚さ・重さ・硬さだけなのだ。


「ええええっ? どうやったんですか、今の? 音ゲーじゃなくて?」と、クルミは驚いた。


 この場合は、驚いたように言った、とすべきなんだろうな。


 しかし、「と、◯◯は言った」ばかりで会話文をつなげるのも退屈なのである。


「つまり、縦書きの本は、左手で持って親指で端末の左下をタップもしくはクリック。横書きの本はその逆、ね。電車通学の人なら、片手を開けておいて、つり革なんかを持たないといけないからみんなできると思うよ」


 うんうん、とミロクはうなずいた。


 このメンバーの中では電車通学はミロクだけだけれども。


 異世界から来た一年生3人は、部室のある庵に住みついているし、おれとミナセは徒歩か自転車なのだった。


「異世界では電車通学ってないの? そう言えばあんまり、電車で魔法学園に通ってる話は、エタってるか否かに関係なく見たことないね」


「わたしは王宮から馬車で通ってましたけど、けっこう揺れるのでオーディオブックとか聞いてました、たぶん」


 電車がないのに携帯端末はある異世界。


 クールである。


「馬には乗れないの、クルミは?」


「えーと……たしか異世界の中でタイムリープして、何度か目には乗れるようになっていたはずです、たぶん」


「そうだね、馬に乗れないと革命軍に殺されちゃうもんね、たぶん」


 やたら「たぶん」が多いのは、クルミが複数の異世界、それもエタってる異世界のハイブリッドな性格にもとづいているからだ。


「拙は実家が遠いので寮生活でござるよ、ニンニン」


 ニンジャの学校か。


「自分は、というか自分たちは、ゲートを作って転移魔法で通ってたのね、維持費にはお金はかかるけど」


 お値段はJRの一区間ぐらいで、どんなに遠方からでも転移できる。


 超便利である。


 それから三人は練習して、片手で電子書籍読みがすぐにできるようになった。


「見てください! 左手で縦書きのテキスト、右手で横書きのテキストが読めます」と、クルミは喜んだ。


 しかしそれにどのようなメリットがあるんだろう。


「ぼくの場合は、箸を右手で持って食事しながら、左手で電子書籍のページめくりができるんだ。横書きの場合は逆にする」と、ミナセ。


 これは確かに便利だ。


「さて、これから貧乏町、じゃなくて神保町に行って古本を買って、カレーを食べて午後の授業には顔を出すことにしよう。地下鉄だったらすぐだから」


 ミロクはそう言って、課外授業の場合は担任にレポート出すんだよ、と念を押した。


クルミ『神保町でカレーを食べました。とてもおいしかったです』


ミドリ『神保町でカレーを食べるのに37分待ったのね』


ワタル『神保町でカレー』


 そして3人は、それぞれミックス、ビーフ、シーフードと違うカレーで、右手にスプーン、左手にポケットサイズの携帯端末を持った画像を添付していた。


 そんなので先生が許してくれるわけはないだろう、おれだって5行は書いたってのに。


 なお、ミロクはちゃんと大量に、成人サイズのネコ2匹ぶんの重さぐらいの本を買って、おれとミナセに1匹ずつの重さぐらいの本を持たせた。


「それじゃあ、ぼくの番だね。つぎの休みにぼくが『逆さまの館』にみんなを案内しよう」と、ミナセは言った。


 そんなのってどこにあるのよ。


 デゼニーランドは高いから、荒川わくわく遊園かな。

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