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4-18・大当たりが出て大喜び

 欠けた切片の分析をするために、ミドリがその部分を持っていったため、おれはその穴から下を覗いてみた。


「ワタル、このくらいの隙間に落とせるものは持ってないかな」


「一度やったからもういいよ、はいはい、この世界は嘘の世界ね」と、ミロクはまだすねている。


 ひとつ、うさん臭すぎる件があったので、試してみたかったのだ。


 はい、とワタルが制服のポケットから出して来たのはパチンコの玉だった。


 ワタルの制服の魔改造方面は、見えないところのあちこちにポケットを作ったり、スカートの下にクナイを隠し持てるガーターっぽいものをつけたりするような系統で、ネコやカラスを手なづけたりするためのエサなんかもあるらしい。


「なんでこんなもん持ってるの」と、ミナセは聞いた。


「あー、カラスが拾って来てくれたのだ」


「そうじゃなくて、持ち歩いてる理由だよ」


「シダン攻撃に使う」


 シダン…あー、指弾ね。


 ワタルによれば、10メートルぐらい先の人間なら、動きを止められるぐらいの早さで当てることができるそうである。


「防弾ガラスにヒビが入れられるぐらいなので、殺傷能力はさほどでもない」


 でもあるよ。


「レールガンで打ち出すみたいにして敵を殺すとか、できなくもないけど、魔力、ここだと電力がかかりすぎる」


「それでは、それを穴に、普通に落としてみるから貸してくれ」と、おれは言った。


 クナイを落としたとき、危ない目に会ったので、おれは慎重に穴から離れた。


 ちなみに、パチンコの玉はその穴にやすやすと入ったけれど、二等辺三角形の二辺が各10ミリの穴には、直径11ミリの玉は落ちないので、そこらへんはモリワキ団がうまいことやったんだろう。


 天井からラッパの音がした。


 ぱっぱらっぱぱー。


 ななななんだ、黙示録かよ。


 じゃらじゃら。


 じゃらじゃら。


 じゃらじゃらじゃらじゃら。


「大当たりですよ!」と、クルミは言ってぱちぱちと手を叩いた。


 天井の穴から、じゃらじゃら、とパチンコ玉が出てきたので、おれはカウターの裏でへばっている図書委員のミカンちゃんに、なにか入れものはないかな、と聞くと、ミカンちゃんはとなりの図書準備室に行って、マジック丼、じゃなくて普通の丼をみっつ持ってきてくれた。


「おいしいですよこれは!」と、くんくんしたあとにクルミはそのパチンコ玉をひとつかじった。


「ナッツ系の味がします」


 そんな馬鹿な、と思っておれもひとつ手に取り、かじってみた。


「そんなバナナ、じゃなくてバナナ味だな」


「拙のはチョコレート味」と、ワタルは言った。


「ぼくのはハッカ味かな。でもまずくはない」と、ミナセ。


「私のはミカン味です」と、おすそわけをもらったミカンちゃんは言った。


 おそるおそる、真実を確かめようとしたミロクは、がり、と噛んで、うえー、という顔になった。


「なんだよこれ、ジンタン味じゃんかよ、パチンコ玉サイズのジンタンかよ!」


 それは天罰というものだろう。


 我慢してひとつを食べたミロクは、慎重に玉を選んだけれど、3回続けてジンタン味に当たった。


「どうやらこれは、選ぶ前は普通のパチンコ玉で、選んだら選んだ人の好みに合わせて味が変わるマジックボールのようなのね」と、ミドリは言って、解法が終わった切片で穴をふさいだ。


「さて、これで偽逆さまの図書室の謎が解けたので、今度はおれがみんなに、本当の逆さまの図書館・図書室を教えてやろう」と、おれは言った。


「なんでぇなんでぇそのくらい、俺っちは本物の逆さまの館に連れてやるぜ」と、ミナセは言った。


 キャラ設定における口回しは崩壊してるようだけど、だいたい言いたいことはわかった。


「謎解けてないだろ、これからが本番じゃないか」と、ミロクは正しいことを言った。

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