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4-5・本とその匂い

「おれには犯人のプロファイルがわかった。つまり犯人は赤江瀑を読んでいる」と、おれは言った。


「ああ、「獣林寺妖変」ですね、新しい血のあとを探せば」とミナセは言った。


「なんでお前は、おれが読んでる本みんな読んでるんだよ、ミロクならともかく」


 しかし、犯人が赤江瀑でないことは確かである。


 もう死んでますからね、その作家。


     *


 ミカンちゃんの依頼は、べつに利用者を増やしてほしいとか、蔵書ををもうちょっとましなものにしてほしいとかいうふうな要求ではなかった。


「そうなんですよ、まあマジ順番に見てみてください」と、ミカンちゃんは言った。


 図書室の一角にはまとめて辞書・辞典類が置いてある。


「ふむ。A社の百科事典は普通に置いてあって、B社のはA社と同じくらい何十巻もあるけど、全部逆さまになってますね」


「これは世界史大辞典。日本史はそうじゃないんだ」と、ミナセは興味深く言った。


 それからミカンちゃんは図書室の本をひととおり見せてくれた


 天文学大辞典、数学のシリーズ、英文問題精講。


 なるほど図書館の本は、たぶんどこでもそうなんだろうけど、ちゃんと分類がされている。総記・自然科学・社会科学・歴史・映画演劇ほかの芸術・スポーツ。あとは日本と海外の文学か。


「わかることはない、クルミ?」と、俺は異世界魔部の新1年生リーダーを自称しているクルミに聞いてみた。


 クルミはちょっと鼻の横をポリポリしたと思うと、腕組みをしながら言った。


「これはなにか匂いますね」


「そんなことは言われなくてもわかってるからなんか考えを言えよ」と、俺が言った。


「とりあえず、サンプルになりそうな本を、わたしのテーブルに置いてみてください」


 集められた本を前にして、クルミは人差し指をほんのり緑色の蛍光色に染めると、鼻の横をゴシゴシして匂いを嗅ぎ始めた。


「くんくんくんくん、これはまさしく事件のにおいです。数学解法大辞典、ほらここのところにクッキーの食べかすがついています。つまり犯人は調理部で本を読みながら物を食べている人間ですね」


「分かった、じゃあ犯人はクルミな」と、俺は言った。


 この別棟は、1階から順番に美術部とその関係部、調理部とその関係部、音楽部とその関係部になっていて、最上階が図書室・図書準備室と「ふれあいルーム」である。


 図書室の本は出入りする階段のところにゲートが設けられていて、ちゃんと借り出し手続きの済んでいない本を持ってそこを潜ろうとするとブザーが鳴る。


 つまり、ふれあいルームでの飲食は、飲み物はふたがついているものに限る、とか制限はあるけど、図書室よりはゆるいのだった。

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