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4-3・4月の図書準備室は、それなりに暑い

 図書準備室には、おれたちの部室ほどではないけれど、書籍およびその類のガラクタが丁寧に保管されている。


 一般公開されていないのは、昔の卒業アルバムとか、文化系の部が文化祭のときに作成されたパンフレットとかには、現在は個人情報保護の観点から、掲載されないことになっている情報が山盛りだからで、そういうのは多分、日本・世界の、ネット的環境が変わらない限り無理だろう。


 複製を作らないで、という条件で、図書委員長のミカンちゃんが見せてくれた、その手の昔のものには、実名どころか当人の住所・固定電話時代の自宅の電話番号まで載ってたりする。


 確かに興味深くはあるけれど、現在の図書室の問題・事件や、事件解決には、あまり直接には関係なさそうな感じである。


 しかし、学校図書館の利用者を増やすにはどうすればいいのか、みたいな難しい問題ではなくてよかったことは確かだった。


 新一年生である異世界人の3人は、学内の霊感スポットや、クッキーのおいしい作りかた、新二年生で注目しておいたほうがいい人物、などといった、比較的どうでもいいことを聞いて、なごんでいた。


 さすがに部室みたいに、お互い口も聞かずに、携帯端末を見ながら、勝手に学習を進める、なんてことはしないのである。


 南向きの室内は昔の本の匂いがして、温度も温室のようにじわじわと高くなっていた。


 この図書準備室は、隅にファンヒーターと扇風機が、ゴミ袋にくるまれて置かれていた。


 そういうのが使われる季節になると、袋から出して稼働させるんだろうけど、どうも図書室とは異なって特別な空調設備はないらしい。


 ミドリ、ちょっと温度調節して風でも動かしてくれないかな、と、おれが頼んだら、ミカンちゃんのほうが、あ、気がつきませんでどうも、と、自分の携帯端末を使って、窓を開けてくれた。


 上部の、50センチほどの窓は上下に開き、その下の普通の窓は左右に開く。


 薄いカーテンも自動で、半分だけ日をさえぎったカーテンは、春のさわやかな風に、ささやさや、と動いた。


「へえ、便利だな。おれたちの一般教室は、窓の開閉は手動なのに」


「特殊教室棟の窓は、教師が開閉アプリを関係者に配布してるんです。常時利用される教室ではないから、ですかね」と、ミカンちゃんは言った。


「それでは、事件というか、犯行現場を案内します」というミカンちゃんのあとに続いて、おれたちは図書室に向かった。


 図書室での犯行というと、盗難、本の破損、あるいは広辞苑で頭を打って、血を流して倒れている利用者、みたいなものかな。


 なお、血を流して倒れていても、死んでたりしないのは、アガサ・クリスティおよび学園を舞台にした日常ミステリーのお約束なのである。

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