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3-4・ネコ探しはネコ探偵にはむずかしい

 ネコ探しはネコ探偵にやらせれば簡単に見つかると思ったけれど、そんなに世の中は甘くなかった。


 ネコ探偵なんかいないって? ネコざむらいがいるくらいなんだから、いるに決まっている、というより、いてもおかしくないだろう。


 ただ、「このネコ探してください」という依頼のチラシもしくは電子チラシには、画像でわかる容姿や名前はともかく、こんな匂いのネコです、といった情報は添付されておらず、たいていのネコは嗅覚と触覚でどのネコと顔なじみなのかを知るのである。


 見覚えはあるけど、名前は知らない、だけどその匂いだったら覚えはあるよ、と、たいていのネコは教えてくれるだろう。


「わたしが飼い主のところに行って、このキジネコさんの遊び道具を借りてきます。対人交渉には自信があります!」と、クルミは力強く言った。


 おれもクルミの自信は、半分ぐらい信用してる。


 つまり、半分ぐらいは当てにならない、ということでもあるけど、今のところ歩きまわってネコ探しをするよりはやや役に立つだろう。


 飼い主の連絡先へ、お探しのネコのようなものが見つかりそうなんですけど、お伺いしてくわしいことをお聞きしてもよろしいでしょうか、という通知を、クルミは送った。


 だいたいこれ、半分ぐらいは嘘である。


 しーっ、しーっ、しーっ、と、クロネコのあとを、尻の穴の匂いがかげるぐらいの距離でたどりながら、ネコ探偵(普段はネコざむらい)のワタルはおれたちに合図をして、地面に這うぐらいの低さで進んだ。


 おれたちはそこまで身をかがめることはできないけど、ミドリ、ミロク、おれ、の順番で一列に、雨が上がったあとの土と草の匂いを感じながら、夜の細いネコの道を行った。


 なにしろネコの道だから、車の下をくぐったり、塀の上を歩いたりするわけで、ヒトであるおれとミロクにはそんな真似はできない。


 したら家宅侵入罪とかになるんじゃなかろうか。


 たぶんミドリは異世界人だから、そこらへんうまくごまかせるとしても、んー、服が汚れるのは嫌なのね、とか言ってショートカットを、自分で作成した地図(ネコとカラスのたまり場がわかるマークつき)を見ながら、道案内をしてくれる。


 ミドリの、おしゃれ羽織みたいなコートは、背中に赤緑色の十字架の形をした蛍光布が点滅する仕組みになっているため、見失うことはないのである。


 そのようにして5分ほど歩いたところで、ネコたちの集会場にたどり着いた。


 ここはだいたい、5~10匹くらいの地域ネコが毎晩集まって、情報交換しては下僕のところに戻るのね、と、ミドリは言った。


 飼い主じゃなくて下僕なんか。


 適度に暗くて、LED灯が常緑樹に隠れる、近くの公園の隅、腐って使い物にならなくなったため取り除かれたベンチ(かわりに今はプラスチックの木目模様のものが置かれている)、そこに確かに、数匹のネコがいることが確認できた。


「あそこの廃材の、一番高いところにいるのがボスだから、これから聞いてみよう、と、クロは言っている」と、ワタルは告げた。


 足音を忍ばせて、こそかさと近づくと、しかしプラスチックのベンチには、ふたつの人影がLED灯に照らされて座っているのが確認できた。


「やあ、君たち。よくここまでたどり着けたね」と、人影のひとつが立ち上がって、ワルモノが言いそうなことを言ったため、わっ、と驚いたミロクは、うしろのほうにひっくり返りそうになったので、おれは身を挺してその体をかばった。


 もうひとつの、座っているほうの人物のひざの上には、おれたちが画像をもとに探しているキジネコとほぼ同じ、というよりまさにそいつ! みたいなのが、居心地良さそうに抱かれていた。

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