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前編


「騎士としての務め上、王命には逆らえぬ


でも、だからこそ、騎士としての責務を終えた後は

私個人として、君を本当の妻として生きていきたい」


そう言って、己を抱きしめる男を愛おしそうに抱きしめ

女は幸せそうに微笑む

「何時いつまでも、あなたとどこまでも共に……」


それはまるで一対の絵のように、美しい愛に満ちた光景




*******************************


この世界が瘴気に満ちて

辺境の山々から魔獣が山から下りてくるようになったとき

瘴気に耐性を持つ陽の気が強い魔力持ちの男が魔獣を狩り、国を守った


そして、瘴気を浄化できる陰の気を持つ魔力持ちの女が

魔獣を狩ることで男に溜まる瘴気を時に宥め、時に己の身に飲み込んで

男たちの身心を守り、支えた



それがこの国の騎士であり、貴族であった


結果、騎士とその妻となるべき者というのは

性格の相性や己の心など全て無視され

それこそ、家畜の交配のように番うことを望まれた


それでも、互いが互いの責務を理解していた頃は

問題はなかった



だが、日々、戦いに身を置き、命の保証のない日常を送る騎士たちは

段々とすべてを宛がわれる人生に疑問を持ち

理不尽を呪うようになるのも当然といえば当然だった


だから、彼らは辺境の手前、衛星都市と呼ばれる

魔獣から採れる物資の手配などで潤う商業都市にある娼館に

己の唯一を作り、愛した


それは国のために生きる騎士たちにとって

唯一の生きがいであり、当然の権利と考えられた


衛星都市にはそんな風に

責務を終えた元騎士とその最愛たちが自然と集まり

「真の心臓」と呼ばれ、栄えた



先の誓いを立てた男、アレンはそんな極ありふれた騎士の一人で

誓いを受けた女、メアリーもまた、衛星都市によくいる娼婦の一人だった。


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