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7-6 不理解・不一致・不平等


「わたくしはシャマと申します」

 薄暗い部屋の中で召使さんは言った。「ここで何をされていたんですか?」コーネインさんは尋ねた。

「えっと、ですから片づけを」

「この何にも使われていない部屋を?」彼は重ねて質問する。

「えっと――」

「コーネイン。わっ、暗い」コーネインさんの隣にハイーラさんが現れた。「どうする、一旦離脱するか」

 突然三人目が現れ、シャマさんは「えっ? えっ?」と周章している。

コーネインさんは、「そうだな、相手方の声明が出るまでは様子を見ることにしよう。リドーク、最後の『保存』時点は?」

「ユイが城に来る前なので今から半刻ほど前です」

「『自動保存』の時点は動かせないのでしたね?」コーネインさんの確認に俺は頷く。「シャマさん、この辺りに兵は来ましたか?」

「あ、音がして扉を閉めてからは一度だけ。前を通り過ぎていきました」

「私はここに残ります。ハイーラはまずシャマさんを、次にリドークを運んでくれ」

「分かった」ハイーラさんはシャマさんの腕を掴むと、部屋から消えた。

「隊はこの暴動に対して何かできるんですか?」

 俺は尋ねた。

「実際何もできないでしょうね」コーネインさんは答える。「相手が明確に教会の敵でもない限り隊としてどこかの国、どこかの指導者に肩入れするということはできません。この国に本部を置いてはいますがそれはあくまでも地理的利便性が理由であり、国王以下王族に教会との関わりはありません」

 つまり今回の反乱の首謀者を隊の敵と認定することはできないか。俺はの頭には一つの考えが浮かんでいる。しかしこれもまた認定の問題だ。「コーネインさん」

「リドーク。行くぞ」

 ハイーラさんがコーネインさんの隣に現れる。丁度いい。

「ハイーラさん。エノクを連れてきて下さい」

 俺は彼女に言った。彼女はコーネインさんを見る。彼は、「なぜですか」と問う。

「エノクと一緒に、誰が首謀者なのか探してきます」

「ですが死に戻っても記憶は保持されないのでしょう? 生きて戻ってこられるのですか」

「……えっと、これを言うと、副隊長とかに怒られると思うんですけど――死ぬまでの記憶を『保存』する方法があるんです」

「……」コーネインさんは少し考え、「ハイーラ。エノク様を連れてきてくれ」と言った。

「いいのか、コーネイン」

 彼は頷く。ハイーラさんは姿を消した。

「ありがとうございます――」

「そういう方法があるのではないかという話は、既に私と副隊長でしていました」彼は俺の頭をがしっと掴んで言った。「ユイッサからも少し聞き出しましてね。そういう話を持ちかけてきたら、とりあえず言う通りにすると副隊長との間で決めています」

「ご、ごめんなさい……」

「コーネイン。アジュ殿から『()()()()()』だそうだ」

 ハイーラさんが戻ってきた。その右手の先にはエノクがいた。

「おお、エノク――」

「おい、どうしてあいつがいる!」

 彼は俺に掴みかかる。

「あいつ?」

「シャマだ」彼は言った。「どこから連れてきた」

「この部屋にいたので、安全なところへ退避してもらいました」荒ぶるエノクに対し、コーネインさんは冷静に言う。「何らかの繋がりがあるようですが今は忘れて下さい。リドーク?」

 コーネインさんに言われ、俺は。


「スキルさん、エノクを外部の保存対象に設定できる?」



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 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』



「設定してくれ」



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 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()。』



「ふう」俺はコーネインさんを見る。「これで、エノクの記憶が死に戻っても保持されます」

「分かりました。ハイーラは戻っていい。私は副隊長の命令通り二人と共に行動する」

「了解」言って、彼女はまずエノクの頭に撫でる。次にコーネインさんの頭をサッと触って姿を消した。

「いいんですか? 別行動とか」

「エノク様が見たもの聞いたものが保存されるのだとしたら、真相を突き止めるまでエノク様を死なせる訳にはいかないでしょう。貴方一人で切り抜けられると思っているのですか」保存先に設定されている人間が死んだら、保存は無効になる。それを知っている訳ではないだろうが論理的に正しい。エノクに全ての真相を知ってもらった上で、俺は死に戻る必要がある。それまでにエノクを護るのを手伝ってくれるというのはありがたい。

「お願いします」そうして俺たちは部屋を出て、今何が起きているのかを確かめにいく

 俺たちの言っていることすら理解できていないエノクを連れて。



読んで頂きありがとうございます。


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