前へ目次 次へ PR 52/60 ※ 「エノク様、お答え下さい」 「だから、ぼくはッ――」少年は、がしゃんと牢の格子を掴む。「ぼくは何もしていない」 「わたくしにも話して頂けないのですか」 対する牢の外の女性は、ただただ悲しそうに言葉を紡ぐ。 「話すも何も、シャマ、ぼくは――」 「また改めて参ります」女性は去っていった。石の階段に響く足音がいやに耳に残る。 「……何なんだよ」少年はぎりぎりと歯を噛み締める。「なんでぼくを信じてくれないんだよッ……」