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6-6 進言



()()()()()()()()()()()

 ()()()()。』



 ――()()

 俺たちは《部分即死》のスキルを受けにいくはずだ。なぜ自死する結果となっている――何か不測の事態があったのか。通算八度目――一度死に戻って、もう一度死に戻った? 俺はユイを見た。

 彼女は、可愛らしく首を傾げた。

 ――ん?

「ユイ、どうだったんだ?」

 俺は尋ねた。

「どうだったって――何が」

 ユイは言う――


 俺たち三人は。現状の異常さに気づいた。

 ユイが記憶を保持できていないのである。


「スキルさん、何が起こってる? ユイの記憶保持は続いてるのか」



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。』



 ユイが――死亡した?

「何があったのですか」

 カイリィさんが尋ねる。ユイも不安げに俺を見ていた。

「ユイが死んだから、記憶の保持ができなくなったみたいです」俺はすぐに情報共有する。ユイが、「え、つまり、もうあたしが代わりに憶えてる、ってのができなくなるってこと!?」と叫ぶ一方、カイリィさんは、

「何回目のこの時点での死に戻りかは分かりますか」

 と静かに訊いた。

「あ、えっと、二回目です」

 俺は答える。彼女は腕を組んでしばらく考えて、やがて口を開いた。



「ここに――()を呼びます」



     ○



 脱走した《部分即死》が逮捕されたらしいということで、俺たち三人、いや()()は牢へ向かう。

「! ここには勝手に来ないで下さい――ッ!?」

 アジュさんが俺たちの行く手を阻もうとして――俺たちの後ろを歩く()に気づいて、大きく目を見開く。



「《()()()()》ッ! なぜここに!」



 “震源”ネーフェ・パントドン。《同性即死》のスキルホルダー。

「私が呼びました。事態が思わしくないようなので」

 カイリィさんが端的に答える。呼びました、とはいえネーフェさんはセイドンから連れ出してはいない、どうやってここまで来たのかといえば、

月夜(ゲツヨ )隊隊長殿、突然押し入った非礼をお詫びいたします」

 セイ・パントドン。彼女が、一時的に彼女の『領域』を薄く、広範囲に伸ばしていたらしい。普段は街一つを厳重に囲っているが、薄くでいいならこの国一つを囲えるくらいのスキルらしい。『領域』の中のことを、彼女は感知できる。カイリィさんがセイさんを呼んで、彼女はネーフェさんと共に『領域』の中を瞬間移動してきたという訳だ。副隊長は一瞬面喰らうが、直後、

「おいセイ、こんな奴らに頭下げる必要なんてないぞ。こいつらは定期的にオレの身体を舐めにくる変態集団だ」

 というネーフェさんの憎まれ口を聞いて、正気を取り戻し、

「それは貴方が《即死》スキルホルダーだからでしょう、ネーフェ・パントドン!」と叫んだ。

「ほら、これが奴らの本性だ。【スキル問題】ってやつだな」ネーフェさんはあくまで馬鹿にしたように言い、「まあ、さっさと《部分即死》のところに案内してもらおうか」

「……?」アジュさんは剣に手をかけながら、不思議そうに眉根を寄せる。「それが要求なのですか」

「ああ」ネーフェさんは答える。「あいつはオレの仇なんだ。逮捕されてる奴の顔を拝ませてもらおうと思ってな」

「なぜ、今なのですか」

 アジュさんは当然の質問をした。

()()()()()()()

 そこで、俺が前に出る。アジュさんは目を細くし俺を見た。

「後で俺のスキルを教えます。今はこの人を《部分即死》に会わせて下さい」

 副隊長は考える仕草をする。「……貴方はスキルを使うつもりなのですか」彼女は口を開いて言った。

「当然の疑問だな」ネーフェさんは答える。「オレは奴が仇だと言ったな。オレの愛する者はオレの目の前で殺された。ではなぜ俺は死んでいないと思う?」

 アジュさんは黙って先を促す。


「《()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()い」


 そういうこと、らしい。

「だからオレは奴を殺せないし、奴もオレを殺せない。信じられないなら、セイの命を賭けていい」

 ネーフェさんは言った。彼が大切に大切にしているセイさんの命を賭ける、と。これは彼のことを知っていれば随分と重い発言だと分かるし、実際アジュさんは彼を信じる気になったようで、「分かりました。ただ面会は最低限の人数にしてもらいます。最高二人までです」

「リドークだ。オレとリドークが面会する」

 ネーフェさんは即答した。四人の中から俺を選んだのは、まさか――

「勿論、お前が男だからだ」

 やはりこの人のことはまだあまり好きにはなれない。



     ○



 そして、現在。俺たちは《部分即死》と相対している。


 髪や髭は伸び放題で、前髪の奥の目は布か何かで覆われていた。手には枷が嵌められ、更にその枷は固定され動かせないようになっている。椅子に座らされているが、脚はその椅子に縛られているようである。まあ――結構な扱いである。


 一方の俺たちも椅子に座っている。俺だけは手袋を始め手首や足首が露出しないよう帷子(かたびら)を着せられ、頭には兜ではなく正面に布を垂らす形の被りものを着けさせられる。ちなみにネーフェさんは堂々と足を組んで座っている。椅子の後ろに立っているアジュさんは隊の鎧兜に身を包み、彼女は剣を腰に佩いている。


「囚人番号四七四二番。面会です」


 彼女は言った。男は顔を少しこちらに上げる。


「よう」

 先に口を開いたのはネーフェさんだ。《部分即死》は掠れた声で、「誰だ……」と言う。

「オレはネーフェ・パントドンだ。憶えているか? オレのことを」

 囚人は、その言葉を聞いて、口を歪め――



 ()()()()()()()()()()()()()



 アジュさんは、「騙したな“震源”!」といきり立つが、対するネーフェさんは冷静に答える。



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



読んで頂きありがとうございます。


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