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第8話 エピローグ

アイビーはの目覚めが速い。

お店をやっているのだから当たり前だが、道具屋には武器屋とは違いやることがある。

昨日のうちに武器屋と道具屋との壁は取り払われていたようでカウンターの壁が吹き抜けになっている。

道具屋に入って、奥の部屋に行くとアイビーの武器屋と同じ作りの部屋のドアが2つ見えた。

一つは寝室でもう一つは作業場。

作業場のドアを開けるとカビ臭い匂いと干した植物にこれまたカビの生えたポーションの原料などが散乱している。

「こりゃ ひどい」

しかし アイビーはひるまなかった。

目的があったのだ。

昨日、バザーで買ってきたポーションを売ろうと思っているがバザーで買ってきた物をそのまま売ることはできない。

中には粗悪品が混じっていて知らずに飲んだ冒険者が麻痺毒をもらったこともあるらしい。


「あったぞ――これは?! 合成のツボじゃないか」

アイビーが探していたのはポーションを精製するためのツボだったが目の前にあったのは王宮などでしか見たことがない合成のツボだった。

ポーションを精製できるという効果は変わらないのだが、このツボは合成が出来る。

つまり、いやし草を3つ――ツボに入れればポーションが出来上がる。

アイビーは机の上に置かれているツボの横に目をやるとそこには手紙が置かれていた。


「手紙じゃないか。なになに? ワシの夢を託す。長年のライバルである隣の武器屋を道具屋のものにするのじゃ。だとぉ」


道具屋とはあまり話をしたことはないがオレの事をライバルだと思っていたらしい。

そして大金を払ってこの合成のツボを用意していたわけか。


生憎(アイニク)だったな」


合成のツボは水瓶ぐらいの大きさがあって小さな子供一人なら入ることも出来るだろう。

アイビーはそのツボを担ぎ上げると武器屋に持ち帰りポーションの精製を行った。


「確か、マテリアルの残りがまだあったはずだ」


マテリアルを使ってツボに魔力を流し込むとツボは顔の様な形になり気持ちの悪い魔人が笑っているように見える。

精製されたポーションといくつかのアイテムを道具屋のカウンターに並べると準備が出来た。

リコリスたちが起きてきた。

寝起きのトレニアは――可愛い。

二人とも顔を洗うように顔を洗うと朝食も取らずにカウンターへやってきた。

「どうした?まさか今日から働くつもりか?」

「あい リコもはたらく」

「もちろんです」


カウンターより頭一つ分の背丈しかないリコリスと眠気眼のトレニアだがやる気があるようで頼もしく感じる


「店の名前だが武器と道具の店トリスビーっていうのでどうだ?」

「うん リコその名前好き」

「トリスピー。まあ 素敵」

 

リコリスを持ち上げてカウンターの上に座らせてやった。

「じゃあ 行くぞ準備はいいか?」

「あい」

「リスビーのオープンだ‼」


店を開けて早々に、リコリスはカウンターの上で眠り始めた。

冒険者たちの朝は早いから仕方がないだろう。

「私、何すればいいし?」

「アイテムを買いに来た客の相手を頼む」

いつもの武器屋の仕事のついでにアイテムも少しずつ売れていった。

売れ筋は聖水。

砦の街のゴースト討伐の依頼に掛けられている報酬があげられたらしい。

「ポーションもくれ あるだけ」

「全部ですか? アイビー売ってしまってもいいのかしら?」


オレは急いで間に入ると冒険者を止めた。

「あるだけ?ダメダメ。廃人になりたいのか?」

ポーションは傷を治してくれるすごいアイテムだが、中毒性があるので連続して使用することはお勧めしない。

短期間でランクを上げられたとしても、結局は冒険者生命を短くすることになるからだ。

冒険者は新米だったようで、詳しく説明をするとわかってくれたようだ。

すこし震えていたし。

 

「お、、おれ、俺にもポーションを売ってくれ」


次に現れた客は体にサラシをまいてマントを羽織った怪しい感じの男だった。

目の下にクマがあり、ホホもやつれているし、ヨダレもたらしている。


「お前はポーションよりも休息したほうがいいぞ。さあ 帰った。帰った。」

「そうか、、ならいい。くしっしし」


オレがお客に気を取られている間に男は眠っていたリコリスに声をかけた。


「お嬢ちゃん。。お嬢ちゃん。。いい物を見せてあげるよ。くしっしし」

「おじさん、、危ない人?」


「そうだよ ほぉ~ら。この手をごらん。

 手に平におかれた白い紙が―あら不思議、ドバッ!て燃え上がるのさ」

「キャ!」


一瞬の出来事だった。

男が白い紙を取り出したかと思うと、その紙は一瞬で燃え上がり炎と煙を上げた。


「てめぇ 何してやがる!」

リコリスを抱きかかえると気を失ったのか起きない。

何かされたのか?

男はヘラヘラと笑い出した。

「くしっしし。早く起こしてあげるといい。面白いことが起こるよ」

オレはトレニアにリコリスを預けるとカウンターを飛び越えた。

「面白いだと?てめぇのその(ツラ)。目のクマ、その痩せほけたホホ。てめぇはポーション中毒(ジャンキー)だろ?

だとしたらさっき燃やした紙は何だ!

まさか、ポーションを染み込ませた紙か?

お前ら中毒(ジャンキー)はポーションを煙にして吸うそうじゃねぇか」


ポーションを燃やしても傷なんて治らない。

ただ 中毒性が増すだけだ。


「ただのポーションを染み込ませた紙じゃないさ。毒草を少し混ぜてある。

目覚めた瞬間、トイレに行きたくなってトイレで最高にハイな時間を過ごせる一品さ。うしっしし」


「毒消し草を飲ませれば済む話だろ。その前にてめぇはぶっ飛ばすけどな!」

「やってみろ!」


男はマントに手を入れると投げナイフを両手に取り出した。

「死ね!!」

素早く投げられるナイフ。

そしてオレの逃げるだろう方向を予測した二投目のナイフ。

一投目はオレの足を。

二投目はオレの心臓を目がけて飛んできた。

ただ 男が誤算だったのはオレが武器屋ということ。

ナイフを装備した瞬間、男の武器からナイフを投げるときのクセまでビジョンが浮かんでくる。

これが武器屋の能力。

装備の適正からその人間のクセまでわかる能力だ。

「足と胸な」

「なに!」


スルリとかわすと男は驚いた様子だ。

「ノービスがなぜ避けられる??俺は名の知れた元冒険者だぞ。

 まあいいさ。

 避けられるなら避け続けていればいい。

 だがな そうしている間にもお嬢ちゃんは目を覚ますだろうけどな!」


男はやけになって連続でナイフを投げつけてくるが当たるはずがない。

リコリスの方へ眼をやると頭を上下させてうつらうつらとしている。

目を覚ましかけているのか?


「どこを見ている! キサマにはもったいないがこれを使うぞ

鍾乳洞屈(ダンジョン)の宝物庫から盗んできた王家のナイフだ!」


「魔法武器か?」


投げられたナイフは光を放ってとてつもない速さで飛んできた。

逃げる暇はない。

打ち返さなければ、当然。

「魔導ガンで打ち返してやる!!」


カキン!!


腰に下げられている魔導ガンを抜くと魔導ガン+99でナイフを殴ってやった。

ナイフは上にはじき飛び、天井にある照明を直撃すると男の頭の上に照明が落ちた。


ガッシャン!!

倒れた男を横目にリコリスの元へ駆け寄る。

「う。。う。。」

「目を開けるな、力を抜いて、、ゆっくり、仰向けに寝るんだ」


毒消し草を手で握りつぶして汁をリコリスに飲ませると落ち着きを取り戻した。

「う。う。ママねーちゃん」

「リコリス大丈夫みたいでよかった」


男はギルドの調べで盗賊の一味だという事がわかり、鍾乳洞屈(ダンジョン)に横穴を掘って王家の宝物庫からアイテムを持ち出したという事が分かった。

王家のナイフは再び宝物庫へ戻り、力を蓄えるためにマテリアルのように深い眠りについた。

アイビーはリコリスを寝かせると魔導ガンを見る。

暴発したり、強化に失敗したり、今度は特殊な武器を打ち返したことで魔導ガンの真ん中部分がパックリと開いてしまった。

丸く、筒状の形をしており、まるで何かを入れるために空いているようだった。

それにこの武器は何かを入れて使う物じゃないのか?

「まさかな」


 1カ月後。


 鍾乳洞屈(ダンジョン)に潜ったアイビーは魔物との格闘のさなかに

魔導ガン+99には弾丸が必要だと気が付いたアイビーはぐ砕けたマテリアルを装填して見事に魔物を倒して良質のマテリアルを手に入れてきたのでした。

ソニア姫さまはアイビーを大変に気に入り、トレニアとの結婚式に参列されたそうです。

ただ、ソニア姫が実は砦の街を破壊したデーモンだったという事に気付くのはアイビー夫婦が老いたのちの話でした。


・・・エンドNO.2・・・


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