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第3話 黒猫を助けた少女

シャルロットが前に出てくると立っているソニア姫の手を引いて玉座に座らせた

「続きのお話はどうぞ、お座りになって続けてください。

話と言うのは、姫様の今後に関わる事なのです。

特にリードよ。

心して聞きなさい

では 姫様続きを・・」


「砦の街が崩壊したことでバーモン国の危機は去りました。

しかし、再びこのようなことが起こらないように使者を送ったのですが、

オルレイン国にからの返答は、良質のマテリアルを献上するか私がオルレイン国に嫁ぐかの二択を迫ってきたのです」


姫の目から涙がこぼれた。

シャルロットはソニア姫を見かねて続きを話した。


「バーモンド王は姫を嫁がせるつもりですが、姫様を嫁がせるわけにはいきません。

オルレイン国を納得させるには相応のマテリアルが必要になるでしょう

そこで商会を営むリードよ。

そなたには早急にマテリアルを集めてほしいのです。

もちろんギルドへもマテリアル採取の依頼を出す予定ですし、兵士たちを集めて鍾乳洞屈(ダンジョン)へ潜る準備も進めています。

マテリアルの産地国としての名をオルレイン国に知らしめなければいけません

頼みましたよ」


ソニア姫はうつむいたまま泣いていたのでオレ達は部屋を後にした。

魔導ガンが爆発したのは始めての事だ。

そもそも動いたことなんて一度もない暴発した魔導ガンの中心部分の石は力を失ったかのように黒く黒曜石のような石の色に変化していた。


 そんな事よりソニア姫だ。

ソルジャーとの戦いは、もしかしたらノービスのオレでも勝てるという事を見たかったんじゃないのか?

オレが勝ったら嫁ぐのを辞めるという勇気を持ってもらえたんじゃないか?

武器屋ごときに自分の運命を重ねるはずがないか?

でも あの試合の意味は何だったんだ?

なぜ 誰よりも早くにオレ達に決意を話した? 

あの涙は?

もしかしたらソニア姫はオレのことが好きだったんじゃないのか?

そうだ! きっと そうだったんだ!

あははは

失恋おめでとう――オレ。

はぁ・・。


帰り道。

リードはいつの間にかにオレの方を見ている。

顔に何かが付いているとでも言いたそうな感じだがニヤリとホホを持ち上げるといつもの明るい感じで口を開いた

「ソニア姫様に失恋だな――がははは。

だから 女を雇えって言ったんだよ。

お前が主人になれば、何でもやれる(・・・)かもしれねぇ!

それよりも砦の街からの移民がこっちに向かっているって言う話は知っているか?

先遣隊の連中は到着しているらしいんだが、男ばっかりだから見にいく気がしねぇ

数日後に来る本陣のキャラバンには女も沢山いるし、そいつらは仕事を探しているはずだ。

いい話だろ?

キャラバンは途中でいくつかの街を通っているだろうから、ここまで残っている連中は売れ残りか、逆に城で働けるくらいの有能な能力や容姿を持ったものに限られているってわけよ。

俺もマテリアルの仕事を受けて忙しくなるし、人を雇いたい。

到着する日はお前も一緒にこい!

約束しろよ」


「ああ 気は進まないが付き合ってやるよ。

どうせお前は女ばっかり選ぶんだろうけどな」


「当たり前だろ??男を選ぶ理由があるなら教えてくれ」


リードと別れてからはギルドにまっすぐには帰らず、少しだけ川べりを歩くことにした。

川に写るオレの姿と澄み切った空との間にはこれほどの距離がある・・。

憧れなんてそんなものさ。

 

「ほら 出しな!」

「さっさと出すんだ?」

「イヤ!」

 

アレは街のごろつきだ。

女の子がごろつきに絡まれている。

女の子の胸の部分には不自然なふくらみがあり、明らかに何かを隠しているようだった。

明らかに怪しい。

オレは背を向けた。

「まって!お願い」


川の砂利を踏みしめる音がすると背中に女の子が抱き着いてきた。

「お願い。。」

「ニャー」

女の子はオレにふところを見せてくれた。

そこには弱々しい黒猫が顔をのぞかせていた。

黒猫を助けたのか?それなら。


「オレは武器屋のアイビー。こいつはオレの娘だ!

これ以上手を出そうって言うなら、オレの馴染みの冒険者たちがお前のところに押しかけることになるぜ」


「アイツは 武器屋のアイビーだ!まちがいねぇ」

「くっ! 黒猫に罰を与えていただけなのによぉ~ 

てめぇ、黒猫を助けたことは言いふらすからな!」


ごろつきたちは去っていった。

 

オレは少女から黒猫を預かるとイメージをする。

猫も装備をしているから大丈夫だ。

猫の爪を装備している。


「ダメだ。腕、アバラ、いたるところがボロボロだ」


教会に運んで治療してもらうか?

いいやダメだ。

教会では黒猫の治療はしてもらえないだろう。


「仕方がない」


ギルドに連れ帰って、気に食わないがアイツに頼むしかないだろう。


「ニャー」


黒く生まれてしまったというだけで黒猫はひどい目に合わされる。

可哀そうだと思うが、デーモンを恐れる連中にとっては黒猫をかばう人間はさらに恐ろしい存在に写った事だろう。

数百年前の話にいまだに怯える連中の気持ちなんぞ――知った事じゃないがな。

とにかく今はこの少女をギルドに運ぶことにした。


部屋の奥には大きなイスに座るギルド長の姿があった。

オレは立派な机の上に黒猫を寝かせると

「保護したんだ。助けてやってくれ」とギルド長に伝えた。

ギルド長は気に食わないヤツだが優秀な奴だ。

それこそ 神子(カミコ)で才を持って生まれてきたからこの若さでギルド長まで上り詰めたともいえる。

今はその才も失っているだろうが、仕事ぶりは迅速で瀕死の冒険者を何度も助けている。


「断る!ギルドで猫は治療はできない!」


しかし コイツには欠点がある。

ギルド長は頭が固いのだ。


「関係あるぜ。オレのお客の黒猫だ」

「黒猫だぞ?だれのだ? まあいいさ。アイビーよ。これは貸だぞ」


すぐに 一階の受付に声をかけると少女の周りにはマテリアルが置かれ受付嬢たちが祈りをささげる。

すると武器を修理するように黒猫の傷は癒え始めた。


そして少女は目を覚まして窓から逃げていった。

少女は礼を言う。

「ありがとう」

この子の名前はリコリス。

年齢は7歳で、砦の街から先遣隊と一緒にこの街に来たというのだから驚きだ。

子供がどうしてゴツイ男どもに交じって先遣隊に?

ギルド長が答えてくれた。


「この子は神子(カミコ)だ。そうだろ?お嬢ちゃん」

「うん~ 私、リコリスぅ!! リコねぇ。神子(カミコ)。かぁ~みぃ~こぉ~♪かぁ~みぃ~こぉ~♪なのれす」


リコリスは危険を察知する才を持っているらしく、魔物の露払いをする先遣隊の中では重宝がられていたらしい。

それだけに黒猫の危険を察知してしまって、ほおって置けなくなったわけか。

いい才能とは言えないな。

後はギルド長に任せることにしよう。

尋ね人の依頼を出してくれるはずだ。


オレは部屋を後にしようとドアを握った。

「この子を置いてどこへ行くんだ?我が弟のアイビーよ」

「兄貴ちょっと待ってくれ。オレは助けただけだ。この子はオレの子じゃない」


そしてこの頭の固いギルド長はオレの兄貴


「そんなことはわかっている。だが 小さな子をほおって置くつもりか?

なあ リコリス。お母さんはどこにいる?」


「お母さん?いない。でも ママねーちゃんならいる。ママねーちゃんキャラバンでリコを追いかけてくるの。鬼ごっこなんだって うしし」


「なるほど。 アイビーよ。キャラバンが到着するまではお前が預かるしかないのだ。頼むぞ、我が弟よ」


兄貴に頼まれると弱い。

ギルドの一角に武器屋を建てることが出来たのも兄貴のコネがあったからだ。

まあ 商会のリードと知り合いだからと言うのもあるのだが、それにしても借りがあるのでよほどの事でなければ逆らえない。


リコリスを預かることになり一夜が明けた。

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