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第2話 ソルジャーと勝負してやった

部屋の壁を見ると剣・弓・ヤリ・アックス・ダガーなどなど様々な武器が立てかけられていた。

このためにお姫様が用意したのか?

いいや、きっと シャルロットだろう。

あの自信ありげな顔は、オレがソルジャーに負けると予想している。

しかも 簡単に。

だから 様々な武器を用意して、あがいてみろといいたいのだろう。


「どうしたのです?武器は揃っているでしょう。その腰の武器で戦っても構わないのですよ。

 まあ、遅刻をするような腰抜けには無理かもしれませんが」


オレが腰から下げているものは魔導ガンって名前らしいが

今までに99回の強化を施しても一向に使い物になる気配がない。

ただ 骨董屋(コットウヤ)で見つけたときには、さびてはいたが古代の武器に武器屋のロマン心をくすぐられてたんだ。


「これは―まだ完成していない」


万が一にも武器屋のオレがソルジャーに勝てるなんて考えているのか?

それなら嬉しいが、無理な話だ。

オレの戦闘ジョブはノービスだ。

武器屋も村人も街で暮らす人々は基本的にはノービスというジョブになる。

このジョブの特徴として、すべての武器を装備することが出来るといった能力があるが特別感は全くない。

オレは一番軽いダガーを選んだ。

軽い武器の中には日本刀もあったのだが、試合なのだから肉を切らせて骨を断つといった戦い方は好ましくないだろう。


リードは腕を組み考え込むように凝視をし、ソニア姫は両手を祈るように組んでグリーンの眼差しをこちらへ向けている。

 

シャルロットが手を上げる

「それでは試合を始めます。 始め!!」


ヤリはオレの方向へ向くと押し出されるように胸の方へ突進をしてくる。

ダガーよりも長いリーチはその特性を生かしてドンドンと前へ迫り

空気を巻き込むように音を立て

ソルジャーのこん身の力がヤリの先端に込められた。

だが どんなに力がこもっていようとも、ヤリの先にはオレはいない。

オレのビジョンではこのヤリはこのソルジャーには長すぎるし重すぎるのだ。

次にしゃがんだかと思ったのか足元を見るがそこにもオレはいるはずがない。

だって オレはお前の後ろに立っているのだから。

ダガーを首元に突き付けた。

「終わりだ」


そのとき、同時にソルジャーがスキルを叫ぶ

「スキル:ツインスピア!!」


刃が付いていないほうの棒が素早く動いたかと思ったらダガーよりも早く俺の腹部を直撃した。


「げほ・・げほ・・うぇ・・」


膝をついて よだれを吐いてしまった。

「ノービス相手にスキルを使わされるとは何たる失態。だが、これでとどめだ!」


逃げられない!

とっさに腰に差が下ている魔導ガンを掴み、振り落とされるヤリをガードした。

 そのとき。


 ドッカン!!


爆発音とともにオレとソルジャーは吹き飛ばされた。

目の前が真っ暗で何も見えない。

「引き分けるとは信じられません」というシャルロットの声がして何となくぼやけた視界が映し出されるようになってきた。


「勝負は引き分け!ノービスの引き分けるなんて信じられません」と言うシャルロットの声がする。


オレの前に誰かが現れた。

恐らく手を差し伸べてくれている。

さっきの ソルジャーか?

それともリードかシャルロットか?

手を上に伸ばすと確かにつかんでくれた。

柔らかい手。

子供の手?

疑問に思って急いで顔を持ち上げるとそこにはソニア姫の顔があった。


「アイビーよ。やはりノービスでは他職に勝つことができないのですね。

これは失礼、、実は私が作った紅茶があるのです。

勝者にが与えようと思っていたのですが、あなたが受け取ってください」


紅茶を受け取った。


「ソニア姫、なぜこんな事をさせたのです?理由を教えていただけますか?」


姫様は冷静さを取り戻して語り始めた。

「私は隣の国であるオルレイン国に嫁ぐことになったのです。

小国であるバーモン国と隣国のオルレイン国は緊張状態にあった事はご存じですね。

オルレイン国はバーモンド国にある豊富な鍾乳洞屈(ダンジョン)を手に入れために国境にある砦の街に兵を集めていたのです。

いつ攻め込まれていてもおかしくはなかったでしょう」


そう。オレ達の街はオルレイン国に狙われていて緊張状態の高まりから行商のキャラバンすら来なくなっていたんだ。

物資も不足して国民もギルドの冒険者たちも不満を募らせていたっけな。

って言うか・・手がぁ!!・・オレの手が幸せなのだがどうしたらいい?

オレの気持ちを知ってなのだろうかソニア姫の口元が緩んだ気がした。


「ですが 現れたのです。。デーモンが(・・・・・)

デーモンは相手国の砦の街を容易く滅ぼし、その姿を消したといいます。

災害級の悪魔は知力が高く、何らかの生き物に身を隠し再び暴れ出そうと企んでいるに違いありません」


魔物の中には数百年に一度、とびぬけた能力と知能を兼ね備えたものが生まれる。

デーモンは悪魔の中の悪魔と呼ばれるほどの魔物で、その昔に大暴れをしたときには誰手にも倒せなかったのだとか。

それで、どうやって倒したのかと言えば黒猫だ。

デーモンが黒猫に入り込んで猫になったところを一斉に串刺(クシザシ)しにしたのだという。

だから 黒猫は忌み嫌われる存在になってしまった。

それにしてもソニア姫が近い・・紅茶の茶葉からもいい匂いがする。

バラだ。バラの香りだ。

きっと ソニア姫さまも飲んでいるに違いない。


「報告のものより、砦の街でのデーモンの残虐さを耳にしました。

その残虐さというのは一方的な殺戮(サツリク)ばかりではなく二択を与えて苦しめるという物でした。

デーモンに命乞いをしたある者には、生かす代わりに子供か妻のどちらかをゴーストに変える選択を迫ったり、ある者は自分の老いた母親を救う代わりに若者を殺させたり、報告が上がっているものだけでもひどい二択ばかりです。

私は今回のデーモンに二択の悪魔の二つ名を与えることにしました」


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