第64話
みなさまあけましておめでとうございます(こらっ!
ということで約2か月ぶりの更新となってしまいました…。言い訳は並べればきりがないので、割愛させていただきます…。ということで、今年も作品ともどもよろしくお願いします。
胸から飛び出してしまうんじゃないかと怖くなるくらい心臓が大きく跳ねる。運命を受け入れるのは簡単だ、身を流れにただ委ねていればいいのだから。私は、数か月前のある日そんな運命に抗い、それと戦う困難の道を少年少女が選ぶのを目の当たりにした。
「冬樹、どうする⁈このままこいつらの攻撃を避け続けるのもそろそろ限界よ」
血なまぐさい匂いを放ちながら、さらにその歯を葵の血で染め上げようとしている大きなドブネズミの突進を避ける葵は、自身の背中で同じように濡れたまま生乾きになった雑巾のような強烈なにおいを放つ、子犬のような何かと攻防をしている冬樹に悲鳴を上げる。
(このままこいつらと追いかけっこを続けてたら、俺たちの体力が先に切れるのは間違いない…。でも、今の俺たちにはこいつらと殺り合う武器も人手も頭脳ない)
武器もなければ、司令塔もいない…。運命に抗うには運が必要だ。手元に必要な武器があるか、動かせる駒はいるか、駒を動かす司令官はいるか…。この薄気味悪い廊下にはその一つもない。
冬樹が思考を巡らせている間もそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに臭い子犬は攻撃の手をやめない。ただ子犬にとってはじゃれて遊んでもらっているのかもしれないが。
「冬樹、聞こえてる⁈」
「ごめん、聞こえてるぞ。こいつらとまともに殺り合ったら俺たちが先にやられる」
「そんなの分かってるわよ!だから、こいつらにやられる前に逃げる方法を考えてよ!」
「んなこと言ったって、この廊下…」
「廊下が何y…っ⁉」
「葵っ⁈」
冬樹が子犬の攻撃をなんとかかわしながら後ろを振りかえると、ドブネズミに飛ばされ、壁に体を叩きつけられうめき声をあげている葵の姿があった。
「うぅっ…」
「葵、しっかりしろ!葵っ!!」
(こいつをどうにか倒すか、少しでもいいから時間を手に入れないと葵がまずい)
視界の隅では、横腹の辺りを手でさすりながらうめき声をあげている葵とそれにじりじりと距離を詰めるドブネズミの姿があった。冬樹の意識は葵とドブネズミの距離が近づくにつれて、子犬から離れていく。いつの間にか子犬と冬樹との距離は0になっていた。
「うわぁっ!」
目の前に突然現れた大きな二つの目玉に驚いた冬樹は間抜けな声を出しながらその場に尻餅をついてしまった。子犬は「遊んで」と言わんばかりに尻尾を勢いよく振りながら、冬樹の顔を大きな舌で舐める。子犬にとって、冬樹は「敵」ではなく「遊び相手」ないしは「おもちゃそのもの」のようだ。
「いやぁっぁぁ!」
葵の悲鳴が廊下にこだまする。葵の鼻先の位置までドブネズミは迫っていた。
(くそっ…。終わりなのか…)
万策尽きたか。冬樹は先ほどまで子犬に舐められるのを必死に抵抗していたが、もう抗おうとする気迫はどこにも感じられなくなってしまった。あぁ、なんてつまらないんだろうか。
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鼻先に、生乾きの雑巾を押し付けられているかのような息をしていられないほど強烈なにおいを放つ何かがいる。ずきずきと痛む横腹を庇いながら、恐る恐る目を開けると、そこにはあたしを吹き飛ばした、ドブネズミがいた。
「いやぁっぁぁ!」
自分の悲鳴が廊下にこだまする。どうして、さっきまでちゃんと間合いもとっていたのに…。
いや、あたしは壁に吹き飛ばされてて体を叩きつけられたんだった。
冬樹は?顔は動かせないので、必死に目を動かし周囲の様子を探る。いた、子犬に顔を舐められてる冬樹が。けれど様子がおかしい。心ここにあらず、いやすべてを命さえも諦めてしまった冬樹がそこにいる、幼なじみというのは嫌なものだ。冬樹が生きることを諦めてしまったことが言葉を交わさなくても分かってしまうのだから。
これがすべての刹那の思考。人は「死」を目の前にすると何かリミッターが外れたかのように超越した力を発揮するというけれど、あたしの場合はいっつも回っていない頭がものすごい速さで回転するらしい。
冬樹が相手している子犬は、冬樹のことを遊び相手かなにかと勘違いしているらしい。なら、冬樹が殺されることはない…と思う。でも、あたしが相手していたドブネズミは違う。あたしのことを餌だと思っているらしいから、あたしはここで短い生涯を終えることになるのだろう。あぁ、短い人生だった。やり残したこともたくさんある、友達ともっと遊びたかった、光春ともっと喧嘩したかった、紅葉のことを諦めたくなかった、冬樹に気持ちを伝えたかった。なんで、いつも回らない頭がこんなに回るの…。こんな速さで走馬灯なんて見たくない。もう殺すなら一思いに殺して。
でも、冬樹には生きてほしい。あたしが死んでも、あたしのことをずっと覚えててほしい。
あたしの手はポケットのスマホに伸びていた。冬樹受け取って、これがあたし。
どうも、前書きを書いたものとは違う者です。実は4Gは2人いて、私は書く側ではなく、編集サイド?みたいな立場でございます。いつも前書きやあとがきを書いているのは私なのですが、今回、2ヶ月も投稿から逃げていたもう1人の4Gに、前書きで謝りなさい、ということで今回の前書きのみ、彼に書かせました。
それはさておき、投稿が2ヶ月滞ったこと、申し訳ありませんでした。これから投稿が元のペース(前も守れてなかったけど...)に戻せるよう、ケツを叩いて参ります。よろしくお願いします!




