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桃(こうはく)~Hold hands with you~  作者: 4G
第2章 冬樹
55/67

第55話

何してんだ!投稿遅いぞ!って思ってる方、まったくもってその通りでございます。投稿遅れて申し訳ありません…。

「何かって例えばどんな力だっていうんですか?」


はじめて聞く聞きなれない名前、そして事件の真相につながりそうな謎の組織の名前を初めて聞かされた光春は興奮を隠せず、前のめりになりながら田中の次の言葉をひたまつ。


「まぁ落ち着いて、どこからの力か僕も知りたいよ。鉄道の運行システムに通信インフラ、行政のシステムだってそうだ、ここまで国の重要インフラに浸透したシステムにも関わらずどこが技術提供元か一般人には秘匿され続けている。こんなことができるのは私の経験上、国が関わってる時…じゃないかな」

「国、ですか…」

「君はあまり深追いしすぎない方がいいかもしれない、若い君が背負うには重すぎる」


出会ったばかりの光春のことを心配する田中の優しい目。その目を見た光春は、この人は信用できる、そう直感的に感じたのだった。


「わかりました、深追いはしません。でも僕なりに調べてしみたいと思います」

「無茶はしないようにするんだよ。……羽生君はメモは取ったりしないのかい」

「メモですか?」

「あぁ、僕たち記者の武器は情報だ。その情報を記録に留めておくことはなにより未来の自分への投資になる」

「あのー、僕記者じゃないんですけど」

「そんな細かいことは気にしなくてもいい。ただ、常にメモを取っておくと、過去の自分がヒントをくれることもあるから」

「なるほど…?」

「とにかくだ、メモはしっかり、取っておくんだよ」


軽く言葉を交わした後、光春はヌ〜の編集部を後にしたのであった。東京の外れ、雑居ビルが立ち並ぶむさ苦しい路地を歩きながら、手に入れた情報をもう一度整理し始めた。


「RDCか…。NGみたいな大きな技術を作った会社の名前を一度も聞いたことないなんて…そんなことあるか」


自分の学のなさなのか、それとも田中が言うように何者かによる陰謀なのか。光春はヌ~の編集部でぐっと近くになったように感じた事件の真相が考えれば考えるほど遠ざかっていくような感覚が全身にまとわりつくような感じがした。そんな気持ち悪い感覚を取り除こうと、光春は右ポケットに忍ばせていた手のひらサイズのノートを取り出した。


「とりあえず田中さんに言われたから、今まで集めた情報をノートに殴り書きしてみたものの…」


見開き1ページにびっしりと書き込まれたこれまでの情報をもう一度隅々まで確認する光春は、なお思い出したことや疑問に思ったことをノートに書き加えていく。


「やっぱり一番の疑問は、RDCだよな…。というかRDCってなんかの略称だよな、何の略称なんだ…?ってそんなこと知って事件の真相にたどり着けるわけでもないだろうし、暇なときにでも」


光春は、ノートの後ろの方の真新しいページに『NGの開発もとRDCって何の略?』と書きノートを再び閉じ、ポケットに戻した。


「そういえばRDCってホームページあったりするのかな」


あほらしく思える可能性を思いつくと、ダメもとでと思いつつ左ポケットに入ってるスマホを取り出そうとしたその時、突如光春の世界は崩れ落ちた。


―――――――――――――――


プリンを一気にかきこんだ葵は、お腹がいっぱいになり幸せをかみしめていた。外から小学生たちの笑い声が聞こえてくる。


「あちゃー、寝ちゃってたか」


葵は自分の目の前にそのまま置かれたプリンの容器を見て、自分がお腹がいっぱいになって寝落ちしてしまったことを咄嗟に悟った。


「とりあえず洗い物しますかー」


自分に言い聞かせるための大きな独り言を言いながら、葵は椅子から重い腰を浮かし、そのままの流れるようにテレビをつけた。もうすぐ秋がやってくるこの時期だ、外は明るいとはいえ、夏真っ盛りの頃よりは日が短くなっている。


「この時間はニュースしかやってないかぁ…」


チャンネルを2、3回変えた葵であったが、どの局も夕方のニュース番組しかやっていないことを悟ると、そのままリモコンを置きキッチンへと向かった。


「あっ、晩御飯も作らなきゃじゃんか。先にお米セットしよっかな…」

『続いて天気予報です。東京では夕立に注意が必要です』

「えっ、夕立?洗濯物取り込まないとっ!」


洗い物をやろうと思えばお米をセットしたくなるし、いざお米を炊こうとすれば夕立が迫ってくる。夕方のキッチンは休まる所を知らない。

慌ただしく洗濯籠を引っ張り出してきた葵は、勢いよく洗濯物を取り込み始めた。すでに小学生たちは通りからいなくなっていて、先ほどまでのにぎやかな空気はどこかへ流れて行ってしまった。


「パトカー?それも結構たくさん…。スピード違反が逃げてるのかしら」


洗濯をもう数枚で取り込み終わる事、けたたましいサイレンの音がだんだんとその数を増やしながら住宅街の方に近づいてきていた。葵は洗濯物を取り込む手を止め、背伸びをしながら道路に面した塀の向こうをのぞいた。


「うわぁ、パトカー3台って交通違反にしては豪華ね。…それに救急車?なにか事故でもあったのかしら」


交通違反をした逃亡車を追いかけているばかりだと思っていた葵は、救急車に驚きつつも洗濯物を取り込み終え家の中へと引き上げた。


「おっ、ちょうど降り始めたわね。ナイスタイミング」


葵は、満足そうに洗濯籠を抱えながら家の奥へと消えていった。


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