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桃(こうはく)~Hold hands with you~  作者: 4G
第2章 冬樹
51/67

第51話

出せたと思ってました…

更新ボタン押さずに閉じてしまってたみたい、申し訳ありません

「もう少し日陰に移動しない?ほら、あそことかちょうどよさそうよ」

「ここからじゃないと冬樹が来た時見えないだろ」

「いやー!日焼けいやー!!」

「あの葵が日焼けを気にしてるだと…?」

「さっき散々蹴り飛ばされたくせに…まだ蹴り飛ばされ足りないのかしら?」

「いえいえ滅相もございません」

「じゃああたしの足が勝手に出そうになるようなこと言わないでちょうだい」

「分かったよ。じゃあ俺はここに残るから葵は日陰に移っててくれ」

「言ってみただけよ。ちゃんと日焼け止めは塗って来てるし、時間的にもそろそろ冬樹がここを通る頃合いでしょ」

「じゃあ今の件なんだったんだよ」

「夏の強い日差しを避けたい乙女心があたしに本音を言わせたのよ」

「めんどくせぇ…」

「あら?あたしがめんどくさい女ってことあんたなら知ってると思ってたんだけど」

「知ってるさ、嫌なほどな」

「じゃあいいじゃない」

「何がだよ」

「しっ!光春、おしゃべりはいったん中断よ」

「あぁ、足音が聞こえて来たな。この感じ、走ってるな」


二人の視線は、冬樹が出てくるであろう路地に釘付けである。着実に足音が光春たちが待ち伏せしているポイントに近づいてくる。人影が路地から飛び出してきたと同時に二人はその影に駆け寄った。


「冬樹っ…じゃない、田中のおばあちゃん」

「あらまぁ、葵ちゃんに光春くんじゃない。こんなに暑いのにこんなところでかくれんぼでもしてるのかい?」

「いいえ、冬樹を探してて」

「冬樹君なら、あたしの後ろに…」


そう田中のおばあちゃんが振り返ったのと同時に路地から冬樹が飛び出してきた。完全に不意を突かれた光春と葵は咄嗟の出来事に対応することができず、追いかけ始めるのがワンテンポ遅れてしまった。


「ね?冬樹君ならあたしの後ろをランニングしてたわよ」

「そうみたいだね。ごめんおばあちゃん、驚かせるような真似しちゃって。また今度シフォンケーキ焼いていくから!」

「葵ちゃんのシフォンケーキはおいしいからね。楽しみに待ってるよ」


おばあちゃんの返事を聞き終えると二人は軽く頭を下げ、冬樹を追いかけた。が、すぐにおいつくことになる。


「あれ、冬樹だよな。うずくまって…まさか熱中症か」

「あり得るわね、あたしそこの自販機で水買ってくるから、光春は冬樹のこと見てて」

「あぁ。わかった」


光春は後ろからゆっくりと冬樹に近づき、その肩を掴んだ。


「おい冬樹、大丈夫か?今葵のやつが水買いに行ってるからな」


弱弱しい友人に、これまでこいつにかけてきた中で一番やさしい声で語り掛ける光春。しかし、冬樹はうなっているだけである。そんな冬樹の様子を、切ない表情で見つめる光春と水を買い終え戻って来ていた葵が静かに見守る。葵の視線は、ふと冬樹の足元に行った。


「そういえばあんた、家を裸足で飛び出していったわよね。ちょっと足の裏見せなさい」


冬樹の返答を待つ間もなく、葵は冬樹の足を掴み、足の裏が見えるようにした。皮膚がただれ、血だらけの足の裏が露わになると光春は思わず目を逸らす。


「うわっ…。こりゃひでぇな」

「このくそ暑さであつあつに熱されて、小石だらけの道を裸足で走るからこんなことになるのよ」

「とりあえず軽く手当するか、葵せっかく買ってきてくれたところ悪いんだが水使ってもいいか」

「とりあえず3人分と思って3本買ってきてるから、2本使っていいわよ。1本はこいつにのませるようにするから」

「2本あれば十分だ。あとハンカチとかあるか?たぶんダメになると思うから嫌ならコンビニまでダッシュしてくるけど」

「これで足りる?」

「いいのか、結構綺麗なハンカチだけど」

「この状況でハンカチを出し惜しみするような女じゃないわよ。早いところこいつの応急処置して家に連れて帰りましょ」

「あぁ、そうだな」


その後は幼馴染みの見事な連携で、足の裏を水で流し、ハンカチで止血するところまで完璧に終わった。


「でも、なんでこいつここで急に立ち止まったんだろうな」


光春は辺りを一通り見渡す。この道は人通りのかなりすくないT字路であり、3人はちょうど3方向が落ちあう場所に座り込んでいた。応急処置の後片付けの手を止めることなく、葵が光春の問いに応える。


「たぶんこいつずっと走ってたから、軽い熱中症になったんだと思う。あと、足が流石に限界だったんじゃないかしら」

「まぁ、そうか。でもこんな道のど真ん中で立ち止まらなくてもな。人通りも車通りも少ないからいいけど」

「昔からタイミングの悪い奴だからなこいつは」

「ふふっ、確かにそうね」

「あれ覚えてるか、中学生の頃こいつがあゆみちゃんに告白した話」

「傑作すぎて、忘れるられるわけないでしょ。こいつサッカー部の近藤君が告白した5分後に告白してやんの」

「で、秒で玉砕。まぁ、タイミングが悪いったらなんの」

「ふふっ、あんまり悪口言ったらこいつ拗ねるわよ」

「本人の前で言ってるんだからいいだろ、それもこの話はこいつの持ちネタだし」

「それもそっか」

「よし、これで帰れるだろ。話ながら準備したら一瞬だな」

「そうね。あたしが荷物持ってあげるから、冬樹をおんぶしてもらってもいい」

「あぁ、いいぞ」


光春が葵に荷物を預け、冬樹の事を抱え上げようとしゃがみ込んだその時


「おい、葵」

「なによ、さっさとおぶっちゃいなさいよ」

「あれ…」


光春の指さす先には、明らかにこの世界の生き物ではない、いわゆるあの怪物がこちらを睨みつけていた。

急ぎでキャラ紹介は次回に回させてください!

ごめんなさい!

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