表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桃(こうはく)~Hold hands with you~  作者: 4G
第1章 紅葉
46/67

第46話

久々の金曜日投稿です!

轟音と共に崩れゆく城。ショーを見ていた人々は、それも一部と思っているのだろうか。目の前で起こっているのは紛れもない現実なのに、他人事の様にそれを傍観している。そんな中でただ少年少女だけが目の前で起こっていることの顛末を知っていた。彼らは少年の怒声と共にほぼ反射的に立ち上がり、観覧エリアの入場ゲートへとはしりだした。


「冬樹、あれって」

「今はその答え合わせをしている暇はない、とにかく走れ。走らないと死ぬぞ」

「…っ」

「おい、冬樹」


後ろから呼び止められる声でその勢いを殺した冬樹は、苛立ちを隠さず光春の方を向いた。そこには足は今すぐにでも逃げだしたいが、目線は未だ座っている紅葉に向けられ心と体が矛盾を抱えてしまっている光春がいた。


「紅葉さん、さっきから全く返事を返してくれないんだ。無理に腕をつかんで起こそうとしても銅像かよってくらい硬いし」

「紅葉、早く立って、逃げなきゃ」


冬樹と光春が話し込んでいる間に横をするりと抜けて葵が紅葉の体を揺さぶったり引っ張ったりしているが、なるほど光春の言う通り微動だにしない。その時、会場のどこからか悲鳴が辺り一面にこだました。


「誰かっ!この人を助けてっ‼」


瓦礫の下敷きになった血まみれの男性の腕を取りながら、泣き叫ぶ女性。彼女の顔面は蒼白である。その様子を人々はようやく自分たちの置かれているあまりにも恐ろしい状況を理解したらしい。一度決壊してしまった感情の堤防の修理の仕方など誰も知る由がなく、あっという間に崩れ落ちてしまった。恐怖が伝播し会場はあっという間に混乱の渦に飲み込まれてしまった。


「くそっ、思いのほかパニックになるのが早かったな…」

「冬樹、とりあえずどうする。俺たちも逃げるか」

「いや、このパニックだったら逆にはぐれてやばいかもしれない。特に紅葉さんがこの調子だと…」

「よし、俺たちはとりあえずパニックが収まるまでここで待機するか…」

「葵?葵は紅葉さんの側にいてやってくれ。とりあえず紅葉さんに呼びかけ続けてみてくれ」

「分かったわ」


幾多の困難をこの仲間と乗り越えてきた少年少女たち。場数が違うとはこのことを言うのだろうか、彼らの冷静な判断から成長が見て取れる。


『この世界は現実か、君たちが幾度となく自身に問うてきた疑問は解決できたんですかねぇ』

「…っ。おい光春、いまの」

「あぁ、俺も確かに聞こえた、これってあいつか」


光春は巨大化した王様の方に視線をやりながらそう答える。


『では少年少女たち、質問を変えましょう。君たちの現実はみな同じですか?』

「どういうことだ…」


『君たちが先ほどまで見ていたショー、あれは紛れもなく現実なんですよ。ただ、君たちの現実とは違う、君たちとは違う世界の現実、こう言ったら賢い光春君は分かってくれますかね。』

「違う世界…。創作の世界って事だよな…」

『ちっちっちっ、光春君ふせいかーい!あれは君たちたちの世界で言う仮想世界での現実。君たちの住む世界とはディメンションが1違う仮想世界。ただ、君たちは最近、この世界と仮想世界とを繋げる術を手に入れてしまったんだよねぇ、はぁ困った困った』

「光春、こいつは何言っているの…。それに光春の知り合い…じゃないわよね」

「お前は俺にこんな巨大な知り合いがいると思っているのか…?」

『君たちは多世代型移動通信システムを知っている…よね?。ん…?いやぁー、NGと言った方が分かりやすいか』

「…っ!NGだと…」

『あれは二つの世界に存在していたディメンションの壁を超越するとは聞こえがいいけど、実際には破壊する装置なんだよねぇ。二つの世界の境界をこういう感じでどぉーんっ!ねっ?二つの世界の境界をあやふやにして、干渉できるようにする、それがNG。君たちはNGが稼働し始めてからこちらの世界に起こっていることを知ってるよね?』

「お前があれの元凶かっ!何人死んだと思っているんだ。ふざけるな」

『元凶といえばそうなるのかもしれないねぇ。だってNGを開発したのは私だもん!。でもこちらの世界をあんな化け物が襲うようになった元凶は別にいるよ。それも君たちがよく知っている人物』

「誰がこっちの世界を襲わせてるんだ、何が目的で。そんなやつは俺の知っている奴にはいない。口数を重ねていけばなんでも取り繕えると思うな」

『いやいや冬樹くん、取り繕おうなど微塵も思ってない思ってない。だって誰も私に勝つことはできないから、取り繕って命乞いだなんてそんなそんな。私は虫をもいつくしむ心を持ってるし、そんな私がひ弱い君たちを襲うなんてナンセンスだよ。まぁちょっと話を伸ばして時間を稼いだから、そろそろ気づいているんじゃないかな、あの日君たちの前に現れ、この世界になじめていなかった一人の女の子のこと』

「いやっ…」

「落ち着け葵…。あいつの言っていることは出鱈目だ、話を聞くな」

『えーひどいな冬樹くん。人がここまで誠心誠意をもって話してあげてるのにまだ出鱈目とか言うの?なんだか涙かホロリッ…。私を泣かす悪い子には私の口で言ってあげるしかないのかなぁ…まぁいいや、そこにいるモミジが元凶だよ』

「………」

「うそだろ…、今まで怪物が襲ってきてたのが全部紅葉さんのせいだっていうのか」

「いや、うそよ」

『最も、彼女の意志ではないけどね。彼女はその能力を利用されただけ』

「能力…。紅葉さんには人を襲わせる能力があるのかっ!」

『ちがうよ冬樹、全くの見当違い。君、ラノベ好きなくせに全く展開の先読み出来ないんだねぇ。彼女にはディメンションを超越する力がある。ただ、その力は彼女のものだった。だが、彼女の父親のせいでそうはいかなくなった』

「紅葉のお父さん…。だれよ」

『さっきまでその物語を目を輝かせて、時々楽しそうな歓声をあげながら見ていたじゃないかぁ。そこにいいる紅葉とその父が主な登場人物の物語をね』

「さっきのはフィクションだろ」

『冬樹、そこまでポンコツだと赤点あげちゃうよ⁈この世界ではフィクションかもしれないけど、あちらの世界では紛れもない現実、そしてそこにいるモミジは紛れもなくプリンセス・メイその人さ』


来週と再来週は投稿をお休みさせていただきます。

せっかく金曜日に投稿したのに、休むのかよ!!と思われますが、特にこの2週間は忙しくなってしまったのです…すいません

次回は長くなりますが、6月10日です。

金曜日に投稿できるよう頑張りたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ