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桃(こうはく)~Hold hands with you~  作者: 4G
第1章 紅葉
38/67

第38話

連続投稿二日目です!

「うわぁぁーーっ!冬樹見てみて、スカイタワーここからも見えるわよ。この前行って高いなとは思ったけどやはや高いわね」

「なに幼稚園児みたいにはしゃいでるんだよ。区内住んでたらどこからでも見えるだろうがあんな高い建物」

「んもぉっ。風情のないやつね、バスのそれも修学旅行中のバスから見るのがいいんじゃない!」

「でもよぉー、修学旅行っていっつもあんまり話せない友達と話したり、いっつもつるんでる友達とバカ騒ぎしたりするもんだろ。んだよ結局葵と冬樹かよ」

「結局で悪かったな。まぁ、ワンダーランド着いたら紅葉さんと合流するけどな」

「なぁー葵、紅葉さんとはどこで落ち合うとかちゃんと決めてきたのか。紅葉さん結構抜けてる性格だから、集合場所間違えたり、極めつけはワンダーランドじゃねぇとこ行ったりして」

「大丈夫よ。さっき最寄り駅についたって連絡来たから。エントランスで先待ってるって」

「あーなら安心だな」


腐れ縁の友人たちが自身のよこで繰り広げる会話に半分耳を貸しながら、冬樹は流れゆく首都高の景色をぼぉっと眺めていた。


「なぁにぼぉっとしてんだ冬樹。可愛い女の子でもいたか?」

「あほぬかせ。世界のどこに首都高でバスと並走しながら走る女子がいるんだよ」

「んまぁ、NGの世界ならいるんじゃねぇか」

「…そうだなぁ」


光春は釣れないなとぼやきながら、他の席に座っている友達と談笑し始めた。バスは川を渡り、非日常の王国への門をくぐる。


―――――――――――


「みなさ~ん!こっちですよー!」

「ごめんね紅葉、一人で待たせちゃって。なんか変な輩に絡まれなかった?」

「今から一緒に遊ぼうと何人かに言われましたけど、特にいなかったですね」

「十分変な輩だろそれ。ってか、ワンダーランドに女子一人で来る奴あるか?渋谷じゃあるまいし」

「大体彼氏を待ってるか、友達を待ってるかだろうな。そこまで頭が回らない悲しい人たちだったんだろうきっと」

「あんた達、やたらナンパ師に手厳しいわよね。なにか恨みでもあるの?」

「そりゃぁもう。なぁ冬樹」

「おうよ。聞くか、俺たちがナンパ野郎を嫌いになった壮大なストーリーを!」

「いや、今はいいわ。それより早く入りましょう、今日は閉園まで遊べるって言ってももうお昼近いんだし、乗って観て食べまくるわよぉー!」

「んだよ、ちょっとくらい聞いてくれてもいいじゃねぇか」

「まぁまぁ、それよりせっかく来たんだから遊ぼうぜ冬樹」

「んだな」


無事紅葉と合流し、一同は入場ゲートを抜け、広い広場へと出る。一歩踏み入れば、そこは日常と隔絶された夢の国である。


「うわぁーかわいいっ!紅葉早く!一緒に写真撮ってもらうわよ」

「ちょちょ葵⁈急にテンションおかしくなってません⁈」

「あぁーそういえば…」

「葵のやつここのキャラクター大好きだったよな。特にあの魚に足が生えたあのキャラクター」

「まぁ、ここは紅葉さんに任せて、俺たちはジェットコースター行こうぜ」

「だな」

「おい、そこの二人組」

「…逃げるぞ」

「おう」


冬樹と光春が逃げようと駆け出そうとした瞬間、肩をものすごい力で掴まれ目に進むことを許してもらえない。二人は観念したように後ろを振り返った。


「あんたたちもハッス―と写真撮りたいわよね?」

「「御意」」


半ば葵に引きずられ、ハッス―との記念写真を撮り終えた一行は最初のエリアであるバザールを抜け、西部アメリカを思わせるエリアへと向かっていた。


「んふふ」

「きもちわりっ、なぁ聞いたか今の葵の笑い声」

「なにっ?ここで素っ裸になって逆立ちしながらハッス―大好き!って言わされたい?」

「あっ、すみません…」

「ハッス―とっても可愛かったですね。私、帰りにお土産買って帰ろうと思います!」

「うんうん。お揃いでシャツとか、ぬいぐるみとか買おうねぇー。そうだ、さっきの写真スマホのホーム画にしよっと」

「そういやぁ、最近この4人でいることが多かったけど、みんなそろって写真撮ったの初めてだな」

「あー言われてみれば」

「そう言われると余計この写真いいわね」

「私も写真欲しいですけど、スマホを持ってないので無理ですね…」

「帰ったら印刷して写真立にいれて紅葉さんにあげるよ」

「本当ですか⁈」

「なに、冬樹。急に優しくなって。はっ!もしかしてワンダーランド効果⁈」

「かもな。じゃあ葵、ワンダーランド効果で優しくなった俺に免じてあれに乗ろうな」


そういいながら冬樹が満面の笑みで指さすのは、暴走列車が閉山した金山を駆け下るアトラクションである。光春もにっこにこで葵の事を見ている。


「あー、いっけなぁいあたし密林をボートで行くアトラクションに乗らないといけなかったんだー」

「そこまで棒読みなのもそうそう聞かないぞ。意地張らないで言えよ、あたし絶叫系が嫌いなのーって。可愛く言えたら許してやらんでもないぞ」

「うっさいわね。乗りたくないものは乗りたくないの!あとで好きなもの奢ってあげるからそれで手を打ちなさい」

「おい聞いたか。あの葵が俺たちに奢ってくれるらしいぞ」

「おい!騙されるな、俺たちはこいつが絶叫してへろへろになって泣くところ見たいんだろうが」

「冬樹さん…、光春さん…」

「ん?紅葉さんも俺たちに何か奢ってくれるのか?」

「いえ…。お二人ともゲスすぎます…」

「えぇ…。とにかく俺たちは女子二人を絶叫に乗せたいんだよ。さっき嫌な顔一つせずグリーティングしてやったろ?」

「そーだそーだっ!俺たちの要求もちょっとは聞けー!」

「うーうぅっ…」

「葵、何狼狽えてるんですか!逃げますよぉ!」


そういうと紅葉は葵の手をとり、目の前の金山から一目散に逃げ始めた。咄嗟の出来事に対処できなかった冬樹と光春はあっという間に人込みに消えていった女子たちを見失ってしまった。


「見失ったな…」

「じゃあ俺たちだけで乗るか」

「なんで冬樹と二人で乗らないといけないんだよ。抱き着かれるなら可愛い女子がいい」

「そりゃ俺も同じだ」

「空しいな、乗ろうぜ」


そうして冬樹と光春は暴走列車に立ち向かいに向かったのであった。


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