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第8章

前書き♪

テスト週間に入る為、

早めに来週の分も含めて投稿いたします


〜出歩いて…落っこちて・第8章〜








前回、ギルドに入る為の試験を受ける事になった僕達!

やらされるのは魔獣との模擬戦…さてさてどうなる事やら。




「最初の相手は〜こちら〜!」


ガラガラ音を上げ開いていく鉄の門。

暗闇の中で何かが動き、此方に向かって飛び出してきた。





――そのナニカの正体は……………あの森のウサギ…………はぁ?





「うわ…これはまた…」

「初戦の対戦相手は魔獣リグラビットです」


正直レベルが低いなんてもんじゃない…

多分あの魔獣この身体になる前の僕でも倒せるよ?

だって実質、体のでかいウサギでしかないんだモン。




―――とまぁ、そう言う訳なので…




「はい〜一回戦通過おめでとうございま〜す!」

「はは…」


蹴り一発で撃沈です…なんだかおびえていたので気絶させる程度にしときました。

だってなんだかかわいそうなんだモン。



「引き続き第二回戦をおこないます〜。準備はいいですか〜?」

「いつでもどうぞ?」

「ではでは〜次の対戦相手はこちら〜」




ガラガラ音を立てて門が開く…




暗闇から出てきたのは…




「ふごふご…」

「え〜と?オークかな?」

「正解です〜。次の相手はオ〜クさんです〜」



いやぁ〜紅以外の亜人族初めて見たよ。

オークはRPGなんかだとゴブリンの次につよい敵だけどね…


あ、ちなみにオークってのは豚の頭を持つ人のことね?

地球の神話の中では豚顔の死神とされる事があるほどの悪人面。

有名な物語だと某指輪物語辺りに出てくるのが有名だ。


まぁ目の前のオークは豚面ってよりかは、イノシシ面って感じだけどね。牙生えてるし…。

でも、自分の知識ってほとんどゲームの知識なんだな。

今更ながらそう思った。


「それじゃあ、がんばってくださ〜い。」



僕はお姉さんのその言葉に、戦いが始まると思って身構えた…だけど。



「………?」


全然襲いかかってくる気配が無い。

むしろ妙に優しい雰囲気が流れている…顔怖いけど。


そして目の前のオークはしゃがみこんで、床の何かを見つめている。

なんとなく気になって、いきなり攻撃されても対処できるよう注意しながら、

僕も覗いてみると………アリの行列があるいていた。


あれ〜?オークって凶暴な種族じゃないの?

そう思ってオークの方を見ると…


「〜♪」


なんだか楽しそうにアリさんを眺めております。


「ちょっと〜カワムラさ〜ん!戦ってくれないとバイト料出ませんよ〜?」


へ?川村さん言うの?このオーク!?


「フゴフゴフ〜ゴ!」

「アリさん見ていたいのは解りますけど〜とりあえずちゃんとやってくださ〜い!」


お姉さん涙目・・・しかし、随分と温厚な性格なんだな。

しかもスタッフで一撃を加えたら何故かさっさと倒れてしまった。



コレ後から聞いたんだけど、オークさんは見た目がイノシシ面とはいえそれなりに迫力がある。

だから、大抵その迫力に負けて棄権する人が多いんだそうな。

今回はちょっと最初から抜けてる所を見せられちゃったから、その迫力も無駄になってしまったんだけど。



さて、これで一応ギルドメンバーになる資格は得た訳だけど…


「む〜、先ほどのは納得いきませんが〜、このまま進級試験も受けますか〜?」

「はい!お願いします!」



さて、気を取り直して三回目・・・

流石にココからは進級試験も兼ねるから、真面目になる筈!


あ、ちなみにオークの川村さん、いまだに闘技場の隅でアリさんの隊列見てます。

なんだかそこだけ、ほのぼのとした空気が漂ってるよ…いいのかなぁ?



***



「ではでは〜気を取り直して〜第三回戦はじめましょう〜!」


すでにおなじみになった鉄の鎖がジャラジャラなって扉が開く…

そしてそこから出てきたのは…


「リ、リザードマン!?」

「おしい〜!正確には竜の亜人、ドラゴニュートです〜。」


あ、ホントだ、背中にドラゴンみたいな羽根生えとる!成程、ドラゴニュートか〜。

………いやいやいや、どちらにしても手強い事に変わりはありませんから!!


「ちなみに〜この方は〜ウチのギルドの構成員の〜ギズボンさんです〜!」

「ども!よろしゅうたのまぁ!」



…………何故に関西弁なんですか?しかも、構成員?!



「・・・すみません。魔獣だけじゃなかったんですか?」

「いいえ〜魔獣だけでは無いですよ〜?お仕事によっては対人戦もあるんですから〜。」


そーなのかー。


「まっ今回はタダのランクアップ審査や、気楽に試合感覚でいこうやないか!な?」

「は、はぁ〜、そうですね」

「なんや?乗りが悪いヤッちゃの〜。おいちゃんかなしいわ〜!」


いやいや、乗りが悪いんじゃ無くて展開に追いつけないだけです。

だって目の前でハ虫類顔の人が、いきなり関西弁喋った挙句にハイテンション何すよ?

流石に驚きますって…。


(ホンマは…試合ゆうても死合いしたいんやけどね…)

「え?何か言いました?」

「なんでもあらへんよ〜♪」


??…なんだ、あのテンション??


「ではでは〜両者準備はいいですかぁ〜?」

「ワイはもうOKやで〜!!」

「僕も良いですよ!」


まぁ、なんじゃかんじゃ言っても…相手は経験豊富な実力者。

油断しないようにしないと…


「両者見合って〜!」


ギズボンさんは大斧を、僕は魔法で強化したオークスタッフを構える。


「ようい〜はじめ〜!」


お姉さんの気の抜けた声と共に、気の抜けない勝負が始まった!


「ワイからいくでェェ!!」


ギズボンさんはそう叫びながら大斧を振う。

あまり早くなかったので、つい受けとめようとしたその時…


「避けろかなめ!」


紅が声を上げた…しかし、すでに僕の杖は大斧と接触…




ドゴン!――へ?




気が付けば僕の身体は吹き飛ばされていた…。

ステータスが高いお陰か、ダメージはあまりない……けど。


「オークスタッフ(手製)がぁぁぁ!!!」


この世界に来て最初の相棒がボッキリと折れたぁぁぁぁ!!

ああ、お前と過ごした日々…すぐ忘れるだろうけど忘れないよ。


「なんや?もろい杖やなぁ…まるでそこら辺の河原に落ち取る枝から造ったみたいやな?」

「………」



――――ギズボンさん、大正解。



アレは確かに僕の手作りでございます。材料も河原で拾った枝です。

しかし一応強化はしてたのに…武器壊されちゃった…


「武器壊れたんなら戦えへんやろ?棄権しときいや?」


棄権?いやいや…


「いえ、まだ戦えます!」

「せやかて、さっきの杖いがいアンさん何も持ってへんやないかい?まさか拳が武器とか言わんよな?」

「まぁそれならカッコいいんですけどね?いちおう僕は…」


僕は手に魔力を集中させ収束する。それをイメージした形へと変化させる…

手から光が漏れ出したと思った瞬間、その手には一振りの魔力剣が握られていた。


「“魔法使い”なモンで」


イマジンツールで造り出した剣…ITソードを振りバランスを確かめてみる。

剣自体魔力の塊なので重さは無く、かなり手になじむ…うん、良い出来だ。

まぁ元々イメージで作り上げたものなんだから、手になじまない方がおかしい。


「くくく…クァクァクァ!!凄いやんかアンさん!魔法使いやったんか?」

「正確には魔法剣士とでも呼んで欲しいかな?」

「ええわぁ、アンさん・・・これでワイも“ある程度”本気になれるなぁ?」

「……へ?」




――――ギズボンさんがそう言うと、途端周りに息がつまりそうな程の………闘気が漏れ出した。




「へ、へぇぇぇ!?」



目を細め、舌舐めずりをしながらこちらを見てくるギズボンさん…ねぇ?性格変ってませんか?

というかアレですか?実力を隠して戦ってお眼鏡にかなったら本気出すって言う・・・。


「ちょっと~ギズボンさ~ん!本気だしたらだめですよ~!!」

「本気ちゃうで?まだ序の口や。それに今位じゃ死なんやろ?・・・多分」


多分って何!?そんなテンプレート要らんし!

つーか自重してください!!死にたくないです!!!


「さてかなめやったか?続きといこうや・・・存分に死合しようやないか?」

「・・・かなり字が違う気がするんですが?」

「ハッ!男なら細かい事気にしたらアカンでぇ?ああ、それとな?」


ビュッ!という音と共にかき消えるギズボンさん!?

ちょっ!速過ぎない!?眼で追えないってどれくらいなのさ!!


「余所見しとるヒマなんて与えへんで?」


驚く僕のすぐ目の前に現れたギズボンさんは、そう言うと大斧で斬りかかってきた!


「くっ!」


僕はただひたすら全力でで横に吹っ飛ぶ事でギリギリ避ける事が出来た。

しかし斧が地面に叩きつけられた衝撃で、たたらを踏んでしまう。

放たれる斧の攻撃は相変わらず単調だが、威力がさっきのとはケタ違いだ。


その一撃は種族ゆえの身体能力よって恐ろしく高い。

そして無駄の無い動作、さっきまでが“振う”だとしたら今のは“打ちおろす”ってとこだ!

まだ“叩き斬る”じゃないのが幸いなのか?・・・コレが経験豊富な人の力なのか?!


「どうしたぁ!防戦いっぽうやないかいっ!!」

「くっ!だぁーッ!!」


僕は左手に、もう一つITソードを造り出して二刀流にする。

本来は盾でも出せばいいんだろうけど、どう考えてもギズボンさんの一撃は防げない。

というかあの力だと、出した盾ごと粉砕されるのが落ちだと思う。


今の自分の魔法では、あの大斧から繰り出される一撃は防ぐ事は敵わない。

だが、いなしてかわすことは出来ると予想し、僕の持つ人並み外れた集中力と動体視力をフル活用させ、

ギズボンさんが振う大斧の軌道を書き換えてみた。 


「やるやないか!」

「な、なんとかなった?」


どうやらその選択は正解だったらしく、下された斧は少しだけ身体を掠ったモノの、何とか回避できた。

しかし、所詮は思いつきの付け焼刃、何とか相手と立ち回る事が出来たが時間稼ぎ程度でしかない。

おまけに、相変わらず人外さんが持つ筋力の強さは凄く、受け流すだけでも一苦労だった。


「言い判断や!正面から受け切れへんから受け流すようにするなんてなぁ!」

「ハァハァ。それはどうも、ゼァ!」


なけなしに反撃をしてみたが・・・


「おっと危ないなぁ、当たったらどないすんねん?」

「当てなきゃ倒せないでしょうが!」

「それもそうやな」


彼はニカッ!っと(解りずらいけど)笑みをこぼし、大斧を振り回してくる。

つーか何このいじめ?斧の速さと力がどんどん上がってるんですけど?

おまけにギズボンさんのほとばしる闘気の量がどんどん上昇中だし…。


「いくで!耐えてみぃ!!」

「!!」


ギズボンさんは突然そう叫ぶと斧を上段に構え振り下ろした!

コレは必殺技的ななにかか!と脳が判断する前に身体が反応し身構えてしまう。

身構えた途端、斧から視認できる衝撃波が放たれた!ま、マジで!?


「う、うわぁぁぁぁ!!」


防ぎきれなくて、僕は遭えなく吹き飛ばされる。

ええい、ココが屋内で無かったらブラストとかの魔法を使うのに!!

文句を言ってもしょうがないけど、でもなんか悔しい!!


変な事考えつつも、吹き飛ばされて、壁に激突しそうになる。

だが、咄嗟に身体を捻る事で何とか激突したダメージを軽減させる事に成功した。


…代わりに背中しこたま打ったけど。内出血でもしてるのかじくじくする。

僕は背中に走る痛みをヒールウィンドを使ってごまかし、今度はこちらから斬りつけた。

放たれた斬撃は大斧で防がれるが、もっている剣は二本…もう片方で斬り払おうとした。


「な!?堅い!!」

「鎧いらずの自慢の鱗や!どや?鎧要らんから経済的やろ?」


ちょっと納得しちゃった自分が憎い…しかし、どうしてくれよう?あんなに堅いとは予想外だ。

ていうか、攻撃力高くて防御力半端無いって……どこの移動要塞だよ?


アレを突破するにはブラスト使えばいいんだろうけど…

流石に闘技場ぶっ壊したらダメだろう?やり過ぎはアレだし…どうしてくれよう?

でも待てよ?堅いって言うのは反面もろさももつ訳で…だとしたらアノ方法が使えるかも…。


少しだけ泡吹かせてみようかと考えて、僕はギズボンさんから距離を取る。

剣を構成し直し、術式の中の構成を変化させた。

すると、右手の剣は蒼くなり、左手の剣は紅い色を発し始める。


「なんや?随分きれいな色やな?」

「ふっふっふ…今度のは痛いですよ?」


そう言って、僕はジグザグに移動しながらギズボンさんとの距離を詰める。

右手を振り上げ蒼い剣を袈裟切りに振り下ろした!


「甘いで!」


当然、振り下ろされる右の剣を防ごうと、大斧を掲げる訳なんだけど…


「な、なんやて!?」


防いだはずの剣は“何事も無かったかの様に”大斧をすり抜ける。

そして、斬りつけられた場所が凍りつき、パキパキ音を立てながら白くなっていく。


「“熱膨張”って知ってます?」


そう言って僕はすでに振り下ろす動作に入っている紅い剣を、凍った場所に撃ち込んだ!


バガンッ!!


大斧は熱膨張に耐えきれずヒビが入り、所々欠けていく…これでは思い切り振う事は出来ない。

この光景に驚いているギズボンさんを尻目に、僕は再度連撃をかけようと、剣を動かす。


驚きによって出来た隙、時間にして一秒にも満たないソレは、戦いにおいては致命的とも言える。

――とてもとても長い時間…故に。


「ぐあああ!!」

「(ちょっと…やり過ぎたかな(汗))」


紅と蒼の斬撃は、彼の胸に吸い込まれた。

自分からやっといてなんだけど……痛そう〜(泣)

ギズボンさん御免なさ〜い!!!




――――さて攻撃を喰らったギズボンさんだけど…


「ぐぅぅ…効いたわ〜、ワイバーンのブレス浴びた時みたいやったわ」

「うわー動かない方が良いんじゃないですか?かなり出血してますよ?!」


普通に意識がある。

流石竜の血を引く亜人ドラゴニュート、耐久力が半端無い。


「確かにコレじゃ戦えへんな?解ったワイの負けや…」

「ギズボンさんが〜ギブアップしたので〜勝者イガラシくん〜!」


ボロボロの斧を見つつそうギズボンさんがそう言った。

こうしてなんとか第三戦を突破する事が出来た僕…だけど


「お姉さん、僕も限界なんで…ココでギブアップです。」

「あら〜そうなの〜?もうちょっと見たかったけど残念ね〜。

じゃあ評定は後ほど教えますので〜上の客席にもどってくださ〜い」


体力は平気だけど、正直精神が限界です。

まさかあんなに強い人がいるなんて思わなかった。


この異常な程高いステータスと、手ごわい魔獣との戦いの経験が無かったら普通に負けてたと思う。

それに相手が単発の斬撃だけだったのも大きい。


これで何度も剣戟やらされたら、体力でも力でも体格でもウェイトでも劣る僕が耐えられる訳が無い。

大体僕は魔法使いタイプなんだから、あんな重量級相手に何度も剣劇なんてムリだわさ。


運が良かったのか…はたまた相手の人がそうしてくれたのか…

でも、とりあえず言える事は………こあかった〜!!!





さて、僕の番も終わり、次は紅の番。

当然第一、第二は余裕で突破したんだけど…


「さぁ嬢ちゃん、よろしゅうたのまぁ」


な、何で復活してるんですか?ギズボンさん?!

さっきかなりの大けが負いましたよね!?


「ふっふっふ、これぞドラゴニュートのギズボンさんの超特技“超・回・復”や!」

「な、なんだって〜!」


さ、さすがファンタジー…こんなこともあるのか…。


「うそですよ〜医務室で回復魔法かけてもらっただけですから〜」

「あ、そうなんですか?」

「受付ちゃん、あかんで〜?ネタばらししたら〜」

「なぁ?まだか?俺さっさと戦いたいんだけど?」

「あ、せやな…じゃあ思う存分…殺り合おうか?」

「へっ!上等!」


彼らはそう言うと雰囲気を、一気に戦闘レベルの雰囲気に変え対峙する…そして


「「行くぜぇぇぇぇ!!」」


同時に相手に向かい駆けだした!




この後の結果だけ言うなら、紅はギズボンさんに普通に勝って、

僕に言われた通り第四戦を見送り、これにて入団審査は終了した。




――そして、規定まで勝ち進めていた僕達は無事ギルドに入る事が出来たのだった。




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