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第7章

〜出歩いて…落っこちて・第7章〜







空がどこまでも蒼く、天高く鳥が飛び去っていく中―――



「う〜ん…言い天気だね〜!」

「そうだな!」



―――僕たちは今森を抜けて草原を歩いておりまする。



 何故森の外にいるかというと、実はもうあの森だとLVは上げられないからです。僕達の次のLVUPに必要な経験値は、もうあの森の魔獣の出す経験値では足りなくなっていたからね。それに最初より強くはなってるからそろそろ旅に出ようって話になって、森を出る事にしたって訳さ。


それでまぁ今回、旅に出る事した。

それに先駆けて、僕はあのダンジョンで得た装備品は結構装備してきてある。


 防具としての服は元の世界のモノだが、その上から濃い茶系の色をした、かなり防御力の数値が高い男性用ローブを着こみ、手には愛用の手製オークスタッフ、あと背中にポールアックスを装備している。

ポールアックスさえ見なければ、その姿はまさに魔法使いに見えると思う。

…と言っても、まだ僕の場合、魔力が高いだけのひよっこなんだけどね。


もうちょっと魔法を何とかしたいとこだけど、教えてくれる師匠みたいな人が居ないから、

コレ以上の魔法関連のスキルアップは無理だと思うんだ。


だって僕は元々魔法が無い世界の出身な訳で、今までなんとなく魔力行使等は行ってきたけど、

レベルの高い複雑な魔法とかは流石に誰かに教えてもらうか、魔導書の様な教本でも無いとムリ。

そう言う訳で、今回の旅には、魔法関連の魔導書を見つけるか、師匠みたいな人を探すのも、

僕の目的の中に入っていたりする。まぁ見つかるかはわかんないけどね。



一方、紅の方はあのダンジョンの宝箱から見つけたミスリル製胸当てと、

長さが80cm程の大きさがある片刃の曲刀であるフォルシオンを背中に吊っている。


アレは本来は腰に差すモノなのだが、彼女の身長が低くく腰に付けられなかったので、

鞘に紐をつけて背中から背負えるようにしたのだ。



それとアクセサリーとして、反射神経とスピードが倍になる“瞬風”という銘の指輪を、

右手の人差し指に装備していた。


コレが現在の僕たちの装備な訳だけど……………とりあえず豪華過ぎな装備だよね。

いやむしろコレ過剰装備というか、序盤の装備では無いというか…。

まぁいいけどね、僕まだ死にたくないし、装備の能力が高いから付けてる訳で…。



――そう、僕はまだ死にたくは無い、どうせ死ぬなら、この世界を回ってから死にたい…

そして畳の上でポックリ逝くんだ!…この世界に畳があるのかは知らないけどね…。



その為にも、まずこの世界を歩き回って色々みて勉強しないとね!

という訳で居心地の良い森を出て、世界への第一歩を踏み出した僕たちなのでした!

行くあては無いけど、人が居る世界なんだから歩き続ければ、いつかは人里にたどりつけるか、

もしくは街道みたいな道に出られると思った。

そう言う訳で、道とかが見えないか注意して歩いている訳なんだけど――


「初めて森から出たけど・・・人の痕跡ってモノが無いね」

「道路すらないもんな」


――イザ探そうと思うと、中々見つからないモノなんだねぇ。


「でも、人が居ない自然って言うのは………歩きづらいものだなぁ」

「確かにな。俺今人型だから歩きづらくてしょうがねぇや」

「犬型に戻す?そしたら移動は楽になるんじゃない?」

「ウンにゃ、別にいい。大体犬型になったら荷物が持てないじゃねぇか」

「それもそっか」


流石に食糧が入った荷物2人分を一人で持つのは辛いモノがある。

そういう事にちゃんと気を利かせる紅は、ホントありがたいし良い子だねぇ。


「それにしても、見事に人工物がないなぁ」


僕はピッチピチの現代日本人なので、建物も道も無い草原というのは結構珍しかったりする。

こんな感じの自然の平野がありそうなのは、日本じゃなくてニュージーランド辺りじゃないかな?

以前テレビでやってた最後の侍のロケ地ってソコらしいしさ。


まぁこうして地平線が見えそうな平野を見渡すと、所々木々がポツンポツンと生え、

その木の枝には花が咲いていたりする。


気候の感じや咲き具合を見た感じだと、どうやら季節的には春の様だ。

暖かい日差しと共に、どこからかウグイスに似た感じの声が聞こえてくる。



「平和だね~」

「そうだな~――!――かなめ」

「(コク)来てるね、それも複数」



―――あまり友好的でない気配。やれやれ、見た目は平和でも、あくまで見た目だけって事か。



「よう!坊主たち、景気はどうだい?イッヒヒヒ」

「景気が良いなら、俺達にちょっくら金貸してくんねぇ~かな?」

「でなかったら身ぐるみ金目のモノおいてどっかに失せろ。痛い目みたくは無いだろう?」

「・・・肉・・・」



―――誰もいない筈の草原で、話しかけられる。



周りを見渡せば、小ざっぱりとした服を着た恐らく強盗か山賊みたいな連中が、

大体6人程こちらを見ながらニタニタ笑いながら近づいて来た。

おお!考えてみれば初めてこの世界の人間との遭遇だ!

でも初めてあった人間が、なんか不潔そうな野郎六人だなんて・・・なんか嫌。



「う~ん景気は悪いほうかな?お金は無いし持ち物も今身に付けてるモノだけだよ」



ココはとりあえず普通に返事をしておいた。

本当はかなり効果であろうアイテムや、お金らしき金貨を持って来てはある。

だが、道具系は生きるのに必要だし、お金だってこの先町に行くなら必要。

故にこう答える以外は、選択肢は無い。



「そ、そうか。じゃあ着ているもん置いてきな!それで勘弁してやるよ」

「いや、そんな事されたら俺達裸だし・・・」

「僕はともかく、女の子は不味いと思いますよ?世間的に・・・」



ハハ、いくら大草原で開放的になると言ってもストリップは勘弁ですたい。

だが、この答えはお気に召さなかったらしく、盗賊の一人が刃物を抜いた。


「うるせい!つべこべ言ってねぇでさっさと脱げ!」

「そんなに脱がせたいなんて…は!もしかしてロリコン!?紅の裸がそんなにみたいのか!?」

「な!なんでそんな話になるんだよ!俺達は盗賊としての仕事をだなぁ!」

「そんなこと言って!いくら紅が可愛いからってソレは無いよ!この変態ども!」



なんて連中だ。こんな性犯罪者どもが往来を闊歩して居るなんて!許してはいけない!

あと可愛いって言葉に何故か紅が反応してるけど、そこは気にしてはいけない!

そんな風に思考がソレていると――――


「ちょ、ちょっと待て!お頭ならともかく俺はムチムチな姉ちゃんが好きなんだ!ガキには興味ねぇ!」

「「俺もだ!」」

「俺も!」


盗賊の一名がそう声を上げた途端、恐らくリーダーと思われる男以外がそう叫んだ。


「な?!テメェら!何言ってやがる?!」

「何って・・・俺らは至ってノーマルだって言ってるだけですぜ?」



――・・・って、アレ?なんか仲間割れしてない?



「テ、テメェら!そこ動くなよ!おしおきだぁぁ!修正してくやるぜ!」

「肉」

「は!お頭の異常偏愛に俺達を混ぜるんじゃねぇ!」

「なぜだ!あんなに可愛いのに!愛でたくなるだろう!?」

「だ・か・ら!仲間にしてんじゃねぇ!俺達まで変態にされちまうんだろうが!!

だいたいペタンの何処が良いんだ!」

「キ、キサマァ〜!ゆるさんぞぉ〜!」



そう言って、僕らを放置し乱闘を始める盗賊達。

結局、何がしたかったんだコイツらは?



「何だかしらねぇがナイスだかなめ!今の内に逃げるぞ!」

「え?あ・・・うん」



突然乱闘を始めた彼らをスルーして、僕達は先に進む事にした。

盗賊が居るんだから、近くに街道もあるんだろうな~。

なんか背後から叫び声やらうめき声が、聞こえてきたりするけど、関係無いから放っておこう。








―――しばらく歩いていると、また人の気配。だが、ついさっき会ったばかりの気配だ。



「て、てめぇら!待ちやがれ!」



どたどたやって来たのはさっきの盗賊連中・・・

さっきの乱闘の所為なのか、何処となく衣服がボロボロなのがどこか哀愁を誘う。


「いや、何か御用ですか?」

「何か御用じゃねぇ!テメェらは俺達の獲物なんだよ!!」


いや、というか。


「人を放置していきなり乱闘始めたのはソッチでしょうが?」

「うっ」

「しかも乱闘の理由があまりにしょぼい」

「グッ!」

「それに何かもう行っていいのかな?ッて感じもしたからね。先に行っただけなんですが」

「う、うるせぇ!うるせぇ!と・に・か・く!もう遊びはこれまでだ!

 今度こそテメェらをブチ殺してでも持ち物を奪うからな!」



そう言うと、彼らはそれぞれ短剣やら斧やら名々武器を構える。

・・・・生憎だけど、こっちも武器を向けられたら黙ってはいないよ。



「紅・・・」

「解ってる・・・手加減は?」

「殺さない程度ならご自由に。血の匂いがあると魔獣が寄ってくる」

「了解――手加減は面倒臭いんだがなぁ」



僕達も思考を切り替えて武器を構える。

紅はフォルシオンを、僕は手に持ったオークスタッフを構え、相手の出方を伺う。










・・・・・・・・・・・と見せかけて。










「ブラスト」≪キュォォォン!≫

「「「「な、なにぃぃぃ!!!」」」」


遠距離で放てる魔法を使って、此方から先制攻撃を喰らわしてやった。

殺さないように魔力調整をしたブラストだけど、相手を脅かすには十分だ!


「しっ」

「ぐぎゃっ!」


紅は僕が放った魔法で出来た隙を突き、タイミング良く飛び出して前列の盗賊の意識を狩る。

・・・・いささか剣に力が籠っていたのは、気のせいだと思う。

人間相手とはいえ、これなら大丈夫そうだ。


「クソッ!この野郎ォォォ!!」


ほぼ全員このやり方で沈められたのだが、リーダー格の男は意外にしぶとかった。

運よく僕の魔法が当らなかった彼は、何と紅の刃を避けて僕に襲いかかろうとしてきた。

恐らく魔法を使ったから、僕が魔法使いであると言う事に気が付いたのだろう。


魔法は結構操作がデリケートだし、近距離では確かに扱いづらい。

僕を射程に捉え二ヤッと笑う盗賊の顔が視界に入る・・・そう速いが“視えて”いるのだ。


「イマジンツール」

「げ!そんなんアリかよ!」

「有りだ!」

「即答!?」


僕はイマジンツールをオークスタッフに発動させた。

短槍状となった杖は、吸い込まれるかのように盗賊の頭を打ち払う。

確かに速いが、ソレは人としての動き。

武術家ならともかく、動きも素人で簡単に言えば獣の動きでしか無い。

だが、同じ獣の動きなら、あの森の魔獣達の方が――――


「ちっ・・・き、しょう」

≪ドサッ≫


―――数倍は早かった。


まさかいきなり杖が光って槍になるとは思わなかった盗賊の頭。

彼は不意打ちの様な状態になり、完璧に中心を捉えた攻撃で10m程、空を飛行していた。

一応刃は潰してあるので、死にはしない筈である・・・・・多分。

流石に死なれたら怖いので、見つけたら回復魔法を掛けておいてやろう。







――それから、わずか数分で死屍累々の山の完成である。

彼らが恐らくは捕縛用に自前で持って来ていたロープで、彼ら自身を縛りあげときました。

返り討ちにしたという達成感は・・・・まったく有りません。


さてと、こいつらどうしてくれようか?

一応これだけ痛めつけたから、コレ以上は追っかけては来ないとはおもう。

だが念には念を入れて・・・・そんな度胸は僕には無いな。

でも、そうだ!人のいる場所の情報くらい聞き出しとか無いと。


「おじさん、ちょっと聞きたいんだけどさ?」

「な、何でございますか魔法使い殿?」


僕はあの自分はノーマルと主張していたヤツに放しかけた。

でもなんか随分おとなしくなったような感じだ。

相手が強いと、肌で感じたからなのか?・・・・僕が言える事じゃないけど情けないな。


「この近くに街とかって無い?」

「へ、ヘイこの近くには有りませんが、このまま南へまっすぐ歩けば、

一晩ほどでクノルの町というとこに行けまさぁ」


ふーん、結構近いかな?・・・・序でに職探しもしておこうかな。


「じゃあもう一つ質問。その町にギルドとかってある?もしくはそれに似たヤツ」

「ギルドですかい?へい、ありまさぁ。かく言う俺達も時たま仕事を貰ったりするもんで」


ふ~ん、あるんだやっぱり。

ダンジョンとかあるし、もしかしたらって思っていたんだけど。


「情報ありがと。ハイ情報料って事で、金貨を上げるから、もう追ってこない様にね」

「へ、あ・・・あ、ありがとうごぜいます!!」

「「ああ、なんかズリー!」」


なんか一人にだけ金貨をあげたから、盗賊仲間だけで口論になってる。

あ、ちなみに金貨は、あのダンジョンの宝物室でパクったヤツです。

結構価値ありそうだったから十枚位頂いて置いたんだけど、やはり高価なモノだったか。

これは町についたら、役に立ちそうだね。


「さて、のんびり行こうか?」

「おう!・・・ところで町に行ってどうすんだ?」

「とりあえず職探しかな?なんにせよ人がいるとこだと、お金が物を言うからね」


生きる為に人里で暮らそうと思えば、やっぱりお金は要ることだろう。

そう説明したのだが・・・・


「?お金が喋るのか?」

「ち、ちがうよ。ただの比喩表現」

「ひゆ?」

「・・・・とりあえず、歩きながら説明してあげるよ」

「おう!わかった!」


う~ん、まぁ元が犬だから、あんまり知識面は良くないのは解ってるけど・・・。

もう少し常識的な事くらいは教えておいたほうが良いかしらん?


知識と言えば、僕も魔道書とかアイテム作成書とかが欲しい。

手作りすればお金はかからないし、経済的にも良いと思う。

当面はギルドでお金稼いで、お金貯まったら拠点となる家でも購入しようかなと思ってるのだ。

その旨を歩きながら、なんとか彼女にも解るように噛み砕いて説明した。


「ま、そんな訳で、適当に行こうかなーと思ってる訳」

「ギルドかぁ、なんか面白そうだな!」

「紅も当然やるでしょ?」

「おう!やるぜ!面白そうだからな!」


紅はそうどこか好戦的な目で答えた。面白そうか・・・うん、確かにね。

これからの大変そうな生活よりも、僕もそう言った事に対する好奇心の方が強い。

とりあえず楽しんだ方が、楽に生きられると、ウチのじい様も言っていた様な気もするしね。


「・・・・ところでさ」

「ん、何?」

「ギルドって・・・なんだ?」

「・・・・町に着いたら教えるよ」

「う、すまねぇ」


まぁ、そんな知識しらない筈だもんね?逆に知っていた方が怖いわ!

そんなこんなで、僕達は南へと進路を取った。

この先色々ありそうだけど・・・ま、適当に頑張ろうかねぇ。





***





――あの後歩き続けて、夜は一晩草原で野宿をして一泊。

ようやく目的地のクノルの町に到着した。


道中あの一番最初に苦しめられた、あのイノシシ(仮)の親戚みたいな奴らと出くわした。

けど、あの時よりも強くなっているお陰で難なく倒す事が出来た。

一応毛皮とか牙が売れそうな気がしたので、イマジンツールで解体して持っていくことに・・・。


え?イノシシ(仮)の肉はどうなったか?――ほとんどが僕と紅の胃袋に消えました。

血抜き出来なくて少し臭かったのがアレだったけど、森の生活で一応なれたしねぇ。

食べられない程じゃなかったよ。


さて話しを戻すが、外から見たクノルの町は、もろに石造りと漆喰が目立つ西洋風の家が立ち並ぶ町で、それなりの規模の町らしい。

一応検問みたいなのはあったけど、町に来た目的を聞かれただけで特に何かされたりとかは無かったね。

だけど紅みたいなドワーフ等の亜人種というのは珍しいらしくて、兵隊さんにじろじろ見られたりしたんだけど・・・それ以外は特に問題も無く町の中に入ることが出来たんだ。



――町に入って思ったのは結構活気があるらしいって事。

町の中心には市場があり、客を呼ぶ声が辺りに響いている。


他にも何組かの冒険者らしき御一行とすれ違ったりもした。

ちなみに紅は市場が珍しいのか、市場にあった串焼きの屋台の前で目を輝かせている。


でもね紅、いかにも物欲しそうな眼で屋台を凝視しないでほしい。

串を焼いている屋台のおじさんが、どこか困った顔して苦笑してるんだからさ。

まぁ、それは置いといて―――



「ギルドかぁ・・・どこら辺にあるんだろう?」



盗賊から聞き出した情報が正しければ、この街のどこかにはギルドがあるらしい。

しかも酒場を兼任しているらしい・・・・何ともセオリーだね。


でも市場が発達しているお陰か、かなり酒場が多いんだよこの町。

一体どれがどれなんだか・・・地道に一軒ずつ聞いて回るしかないかな?



「なぁかなめ・・・腹減ったぜ」

「ん?ああ、そう言えばそろそろ昼時だっけ?じゃあそこら辺のお店で何か買って食べようか?」

「賛成だ。俺はあの串焼きが食いたい!」

「ん?・・・あ~さっき紅が凝視してたアレかい?」

「おう!是非とも食べてみたい」


そう言って尻尾をブンブンを振う紅。よっぽど食べてみたかったんだな。

良し決めた。とりあえず、せっかく来たんだし観光がてら見て回る事にしよ。

序でに道中回収した魔獣の牙やら毛皮やらを売って換金しときますか。


「それじゃ行こうか?」

「よし!俺について来い!」

「って、そんな慌てて・・・・足早いな。僕がお金出さなきゃ買えないでしょうに・・・」


食事の事となると、俄然足が早い娘だねぇ。

とりあえず迷子にならない様に、先の屋台に向かう僕だった。


***


先の屋台の串焼きをお昼代わりにして、腹を満たした僕たち。

運良くそこの店員にギルドの場所を聞き出せた為、その場所に足を向けた。

屋台の店員に言われた場所には、確かに一軒の酒場があった。


周りに酒樽が積んであり、もろ酒場って感じである。

店舗自体が、何故か路地裏にあるのもお約束。



中に入ると意外と・・・・というか大分綺麗だった。

てっきり汚い建物を予想してたんだけど予想外デス。

まぁそれでも、目つきの悪い冒険者や絶対盗賊だと思うわれる人達も、椅子に屯してるけどね。



とりあえず、そう言う人達とは目を合わさないように気をつけて、

僕たちはギルドの方のカウンターにいるお姉さんに声をかける事にした。



「あら〜いらっしゃい〜、あなたたちみたいな子供が〜我がギルドに何のよ〜う?依頼かしら〜?」

「いえ、依頼では無くて、ギルドの登録ってやってますか?」

「あらあら〜、ギルドに入りたいの〜?でもでも〜それなりに強くないといけないのよ〜?」



――なんだか随分とホンワカとする喋り方するお姉さんである。話が聞きとりづらい。



「一応〜来るもの拒まずが〜ウチのモットーだから〜試験は受けられるけど〜。どうする〜?」

「ええ、お願いします。あとこの子も受けるのでお願いします。」

「じゃあ〜二人分の〜試験料って事で〜200Gになります〜」



ちなみにこの、〜Gというのはこの世界の通貨の単位の事。

金貨一枚が1000Gに相当し、銀貨はその10分の1、銅貨はさらに10分の1で

金貨の100分の1の単位となっている。つまり銅貨1枚が10Gとなるんだよね。

更に青銅の1Gを表す小金もあるし、1000G金貨より上の白金の金貨も存在するらしい。


なお、この町に来る前にあの盗賊達にあげてしまったのは、金貨1枚・・・・。

たかが町の情報を得るのに1000Gもあげてしまった・・・なんてもったいない。

価値がわかっていたなら、あげることはなかったのに実に残念である。

でも道理で金貨巡ってケンカしてた訳だよ。


「じゃあ、これでお願いします」


僕はあのダンジョンで手に入れた銀貨を2枚差し出す。

お姉さんはそれを受け取ると、カウンターの下から書類を探し始めた。


不思議に思ったんだけど、ああいうダンジョンで手に入れたお金って普通に使えるものなのかな?

どう見てもあのダンジョン遺跡みたいだったし、普通そう言うとこのお金って古いモノでしょ?

考えたら負け・・・・なのかな?


僕がそんなこと考えてる内にお姉さんは書類を発見したらしく、それを二枚ずつ僕たちの前に置いた。


「じゃあ〜この用紙に〜サインをお願いしまっく…かんじゃった〜」


そして舌べらを咬んだらしく、いたひいたひ~と唸っていた・・・ドジっ子なんだろうか?






書類を書居た後、案内されたのは、酒場の奥の地下への階段。

その先には、これまたお約束で闘技場みたいになっている空間だった。

う〜む、室内闘技場みたいだから、ブラストみたいな射出系魔法は使えない。

とりあえずイマジンツールで頑張るしかないかな・・・。


「君達には一人ずつ〜ココで五回戦してもらいます〜。二回戦まで勝ち進んだら〜ギルドに入れるので〜がんばってね〜?ちなみに〜三回戦以上から〜ランクアップ審査も〜兼ねてるから〜

相手も強くなるよ〜?怪我しないよう頑張ってくださいね〜。で、どっちからやる〜?」


説明を聞き、僕は紅へと振り返る。


「どっちからにする?紅」

「う〜ん、俺どっちでもいいぜ?」

「じゃあ僕が最初にやるよ…っとその前に」


――――僕は紅の肩を抱き、顔のすぐ近くに引き寄せる。


「な、なんだよ」

「しー声が大きい(あのな?一応進めても三回戦で止めとくよ?)」

「(な、なんでだよ?強いほうが良いだろう?)」

「(あんまり初めから強いと、危険な任務とかばっかやらされちゃうよ。

 別に名声が欲しい訳じゃないから、ほどほどで良いんだ。だから三回戦位でちょうどいい)」


なんせこちとらアノ神にチートなステータスにされている。

僕の場合、下手すると魔法一つでこの町を破壊できるだろう。

それに、あんまり手の内見せてギルド側にマークされるのも困る。

そうなったら、生活が面白くなくなってしまう。


「じゃあそう言う事で頼むよ?」

「あいよ、かなめがそう言うなら仕方ねえさ。」

「ありがとう紅」≪なでなで≫

「ガ、ガキ扱いすんじゃねーよ」


むふふ、でもでも撫で心地がいいから・・・・ついつい撫でちゃう。


「じゃれあいもとい〜相談は終わりましたか〜?」


その言葉に僕たちは離れる。いけね、このヒトの事すっかり忘れてた。

ちょっと今までの行動考えたら・・・恥ずかし!何人前でやらかしてんの僕!?

顔が少し赤くなっちゃう・・・。


「は、はい。僕が先にやります」

「じゃあ〜下の入り口から〜中に降りてくださいね〜?」


クスクス笑いが地味に怖いのですがお姉さん?

まぁとりあえず三回戦まで勝ち進むぞ〜!



こうして僕は、ギルドに入る為の試験を受ける事になった。

出来れば、あまり強い対戦相手が、出て来ませんように!。




どうも作者のQOLです!

今回のお話で、森でのサバイバルは終了です。

かなめ君たちはやっと人間の居る場所に拠点をうつす事になります。


つーか、森の中の洞窟にすむって……俺は無理だなw

一週間もたたないで干物になれる自信があります。

そう言う意味だと、かなめ君達はすごいなぁ…。


まぁこれからも暖かい目で見てください。

以上、作者からでした。

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