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第48話

一カ月どころか、一カ月半以上も間を開けてしまいました。


こんなダメな作者が書いておりますが、何時も読んで下さる方々に感謝です。


それでは長々書いてしまいましたが、本編をどうぞ。

~出歩いて…落っこちて・第48話~





 やぁ、相変わらず毎日を薬品作りという地味で爺むさい趣味で過ごしているかなめです。

 でも薬品作りも生業となって来たから、必ずしも趣味と言えるかは微妙何ですけどね。

 最近は森にあるキノコ類を集めたり、苔を採取したりすることにハマってます。


 菌糸類は非常に種類が豊富で、魔力で変化しやすいから実験には最適です。

 ただ、ちょっとやり過ぎて菌糸類がモンスターみたくなってるけど・・・。

 ちゃんと処理したので大丈夫―――だと思いたい。



・・・・――――そして今日もそう言った実験で一日が始まると思っていた。



「胞子~♪リンプン~♪たまねぎ~♪序でにアヒルの雛~を魔力と共にブチ込んで~♪」



 即興で思い付いた謎の歌を歌いながら、いつものように魔法薬の調合をしていた。

 ちなみに歌の内容と、今調合中の薬品の材料とは全く関係がない。

 流石に胞子とリンプンと玉ねぎとアヒルの雛だけじゃ薬にはならないからね。

 コレにプラスして、例えば何やら属性が内包された鉱石を混ぜたりとかしないと意味がない。


 魔法薬を作るのに、そん所そこらの材料で作れてしまっても困る。

 それでは先人たちが苦労して作り上げた意味が無いからだ。

 ミリ単位以下の、もはや勘に頼るほかない程の正確性も試されるのである。


 とはいえ僕が造る魔法薬は、例え鉱石が無くても自力で付与させる事も可能ではある。

 実際回復薬系はハーブとかの組み合わせ+魔法と魔力だけで良い。

 ビーカーとフラスコとアルコールランプ、それと蒸留機と魔女の鍋があれば最適だ。



「じっくりちょろちょろ弱火でじっくり、沸騰させない事がコツさ」



 誰に言うでもなく、独り言を言っていると、後ろから足音が聞えて来た。

 ちらりと見れば紅が階段を下って、此方へと歩いてくる。

 地下の研究室に来るって事は・・・もうお昼時かな?



「かなめ~今良いか?」


「ん?うん、大丈夫だよ」



 半ば完成していた魔法薬を火から降ろし、鍋置きの上に置いた。

 やや大きめのビーカーに入っている薄緑色の液体からは、どこか乾草の様な匂いが漂い。 

 部屋の中に充満していく、うん悪くない匂いだ。



「何か用かな?いま丁度“渋い香水シリーズ乾草編”を作っていたところなんだけど」


「草の匂いがすると思ってたらソレの所為か。ああ、そうそう、また来てるぜ?」


「また?・・・・ああ、キースさんね」


「また薬が欲しいんだとさ。でもこの間渡したばっかな気がするけどな」


「ま、あの人の事だしねぇ。また何処かで迷ってたんでしょ。ちょっと待っててもらえるように伝えてくれる?僕は適当に薬を見つくろっておくからさ」


「アイ解った。伝えてくるぜ」



 彼女が尻尾をパタパタさせながら上に戻っていくのを見送りつつ、僕は薬品棚に足を向けた。

 アレから結構な頻度でキースさんが来るようになっていた。

 どうにも安くて効き目がある薬に味をしめたらしい(味覚的な意味でも)

 その為、結構まとめて買って言ってくれる為、こちらとしては定期購入の収入が入る。


 お陰であんまりギルドの仕事をしなくても生活できるようになってしまった。

 腕を鈍らせない為、偶に仕事を貰うけど月に数度の頻度でしか無い。

 まぁ楽っちゃ楽だから、今の所この生活に不満は全然ない。

 むしろ幸せと言えるだろうね。



「えーと、味付き・・・味付き・・・あった」



 下の棚から両手で抱えるくらいの壺を取り出し、台の上に乗せた。

 この中に回復薬(味付き)が入っているのである。

 余りに頻繁に来るもんだから、大量生産して大きな壺に入れて保存しておいたのだ。


 そして漏斗をさした空き瓶を取り寄せて、薬を瓶に詰めていく。

 一個当たりで6回分、ソレを系10個分、6×10で60回分の薬だ。

 コレだけあれば、怪我してもそうそう無くならないだろう。


 まぁ本当はあまり使用頻度が無い方が良いんだけどね。

 怪我も病気もしないに越したことは無いのだから。



「・・・・偶にはサービスしといて上げようかな」



 ふと、薬品棚で目に付いた風邪薬の様な内服薬のセットも付けてあげることにした。

 冒険者という職業柄、外で野宿はザラだから意外と風邪を引きやすい。

 風邪と言うのは様々な病気と合併しやすい為、初期段階での治療が必要なのだ。


 その為、意外とこういった風邪薬とかは重宝される。

 まぁ実際は風邪薬じゃなくて、熱を下げる薬とか咽の炎症を沈めるとかそう言うのだけど。

 元の世界にあったような抗生物質の薬が無いのだから仕方が無いの言える。


 でも魔法薬はあるが、抗生物質とかはまだ造られていないっていうのが不思議である。

 まぁ元の世界でも風邪の特効薬は造られて無かったしね。

 この世界の魔法薬を研究すれば、案外造れるかもしれないな。

 とはいえこの世界にノーベル賞は無いんだけど・・・話しがずれた。



「さて・・・“悠久の時間の中の零れ人”」



 短縮した呪文を詠唱すると、世界から音が消える。

 何をしたのかと言えば、時を止めただけ。

 正確には時の流れというモノから抜け出した状態だ。

 え?何でそんなことしたのかって?それは―――




「―――3,2,1・・・お待たせしましたキースさん」



「はうあっととと!?い、いきなりかなめくんが現れた!?」




―――いたずらの為である。




 時を止めていきなりキースさんの前に現れた。別に深い意味は無い。

 しいて言うなら、自分は魔法使いだからからかうのも好きだって事だ。

 まぁその為に態々短縮詠唱とかを使うなんてやり過ぎたかな?ちょっと反省。


 そして驚いて飲んでいたお茶を取りこぼしそうになっていたキースさんと、僕は対面する位置に座る。僕が座るとスッと横からウィンディが、僕の分のお茶を出してくれた。

 とりあえず一口飲む。水属性が強い精霊のウィンディが入れてくれたお茶は、成分が調整されていて美味しい。



「ふぅ、おいしい。さて、とりあえず60回分の回復薬です」



 そう言って瓶を渡すと「お、悪いね」と言って、彼は料金を支払った。

 相場よりかは安いだろうけど、今回はちょっと多めだからそれなりのお金を貰う。

 それを懐にしまうと、ふと気になった事を聞いて見る事にした。



「所でキースさん、なんか妙に薬の補給品度が上がってますけど、そんなに仕事受けてるんですか?」


「ん?ああ・・・・実は結構大変な仕事があってさ」


「大穴?」


「うん、まぁ言っちまえば、ね。盗賊退治って奴さ」


「盗賊・・・」



 盗賊退治、一見簡単そうに見えるが実はかなり難しい。

 何故なら魔獣討伐と違い相手は人間だからである。

 それに盗賊と言っても、質や規模にはピンからキリまであるのだ。

 義賊もいれば完全な悪賊もいるし、小規模から万を超える大規模な集団まである。


 しかもソレらは絶えずこの世界の中を移動している為、所在地がつかめない事が多い。

 山賊とは違い移動する為、基本的には被害が出た所にギルドが人を派遣していく。

 そうして防衛を行うという仕事が多いが、キースさんが受けたのは討伐系の仕事だった。

 

  

「この時期そう言ったのが回遊してくるんだよ。んでクノルも狙われているらしくて、斥候団みたいなのも時々来るんだ。そう言う訳で俺達ギルドの人間が盗賊団の対処をしているって訳だ」


「成程」



 道理で薬の使用頻度が高い訳だ。

 魔獣とかと違って、盗賊だと剣や弓矢や槍や時たま魔法を使って来る奴もいるらしい。

 そう言った人間相手に戦う訳だから怪我する頻度も上がるってモンだ。

 最近はクノルに行って無いから、そういった話を聞いて無かったよ。



「まぁウチにはAクラスのギルド員が常に一人や二人いるから、盗賊が攻めてきてもそうそうに落されないだろうけどね。元々が国境を守る為の砦だった町だから防衛力も高い」


「道理で薬の補充比率が高い訳ですね。成程」


「ああ、てな訳でまた頼むよ。意外とこの薬仲間内でも人気でさ?」


「・・・・まさか仲間内で売ったりしてないですよね?」


「え?いや、今はまだ手渡したりした程度だけど・・・売ったら不味いのか?」



 はぁ、全くこの人は・・・。



「あのですね。この薬はあくまで僕の好意という事で売ってるんです。だから値段もすごく安いでしょう?効果もそれなりだし。もし下手に人に売ってるのがばれると、僕が商人ギルドから目をつけられて下手したら暗殺者に殺されちゃいますよ」


「げ!そうなのか!?―――気をつけるよ」



 暗殺者は若干大袈裟かもしれないけど、実際ギルドに目をつけられるのは不味い。

 先にシマ展開していたのは商人ギルドの方なのだから、僕の方が新参になるわけだ。

 それに冒険者ギルドにも、薬や武器専門の卸業者は存在している。


 幾ら安いからって僕が造った薬とかが出回ると、以前からの薬が使われなくなる。

 そうなれば商人たちは面白くは無いだろう。

 彼らの商売を横取りしたという形となるのだから。

 


 まぁキースさんはちゃんと理解してくれたみたいで、友達にタダで緊急時に渡すだけにする事にしたそうな。うんうん、ソレが良いよ。むやみやたらに敵を作る必要なんて無いのさ。



「それじゃ、また薬が無くなったらくるよ」


「ええ、ああそうだ。何時も買ってくれる薬の方におまけ付けときました」


「お、悪いね。こりゃこれからもココで買わないとなぁ」


「はは、それじゃこちらも量産しておきますかな。お願いしますよ常連さん」


「ああ、任されよ魔法薬師さんよ。それじゃあな」



 こうして僕が造った薬を手に、キースさんは帰って行った。

 ソレで済んだら、平和だったのかもしれない。

 だけど実際平和に過ごせるというのは、この世界じゃ稀な訳で・・・。




 キースさんが帰っていった日から、更に数週間後―――




「キースさんが戻って来ない?」


「そうなのよ~、あの人が配達依頼で戻らないなんて初めてだわ~」



 その日、久しぶりにギルドに赴いていた僕は、キースさんが行方不明になった事を聞いた。

 どうやら盗賊討伐以外で受けた依頼で行方不明になってしまったらしい。

 帰還期限を過ぎても戻って来なかったのである。


 キースさんはある意味奇跡じゃないかレベルの方向音痴ではある。

 だけど、その実ちゃんと期限には間に合うという迷い方をする不思議な人間だった。

 だからこそ彼は首になることは無かったし、冒険者としてやって来れたのである。


 しかし、今回はその運も尽きてしまったらしい。

 とある所に配達をしに行って、帰って来ないという話しだ。



「しかし、一体どこまで行ったんですか?」


「クノルから出て南西にある湖のほとりにポツンとある村よ~。水没している遺跡の近く何だけど~水系の魔獣が多くいて普通の配達の人じゃいけないからウチに依頼が来てたのよ~」



 要するにキースさんはその依頼を受けて、一人で配達しに行っちゃった訳なのか。

 んで、どういう理由かは不明だけど、今だ帰還していないと・・・。



「で、お姉さんは僕にその話を聞かせてどうしてほしんですか?」


「ん~?んふふ~」



 お姉さんが目を細めて笑っている、まぁ大体予想はつく。



「かなめくんには~、この依頼を受けて欲しいの~」


「ほいほい、ソレじゃあ行ってきます」


「おねがいね~。その代わり薬の販売には目をつぶっておくから~」



 げ!バレてました?



「ギルドの情報網は結構優秀よ~?それに最近妙にキースくんの回復薬が充実してたしね~」



 ・・・・まぁ、営利目的じゃないからいいか。

 商人ギルドに目をつけられる可能性はあるけど、個人相手だしね。

 大々的に売らない限りは大丈夫だと思う。法律もないしね。








 とりあえずギルドを後にした僕は、歩きながら依頼書を確認する。

 案の定、キースさんの探索、もしくは消息を辿る依頼が入っていた。

 受付のお姉さんが何を思ってコレを僕に渡したのかはわからない。


 けど、キースさんとは知らない間柄じゃないしね。

 ああ見えてあの人は僕のお得意様になる訳だし、それに友達だ。

 探しに行くのも、やぶさかじゃないというか、むしろ心配だから喜んで受けよう。


 とりあえずすべきことは――――



「薬とかいろいろ準備しないと・・・久々の旅かな?」



 ―――家に帰って旅の準備でもしますかね。



***



 さて、一度家に戻った僕は薬だなにある薬を持てるだけ持ち家を出た。

 今回は何とひとりで依頼を受ける事にした。

 考えてみれば今まで大抵紅とかと一緒だったから初めての試みである。

 とはいえ、ウェンディはその性質上、僕の中に居るのであるが気にしない。



「うんと、なんかのほほんとしてる人通らなかった?え、僕?いや僕じゃなくて金髪系の人」



 とりあえず家の方は紅に任せてある。

 一緒に行きたがったものの、家に誰も残さないのは不安なのだ。

 この世界は強盗空き巣が結構あるからね。万が一の為に紅はお留守番という訳だ。

 見た目少女だけど、彼女に勝てる人間は少ないから大丈夫だとは思う。



「この先に村があるの?うん、ありがとう。コレお礼ね?」



 所で僕はさっきから何をしているのかと言うと、道を聞いているのだ。

 ちなみに聞いている相手は人間では無い。かと言って亜人とかでもない。

 僕が話を聞いていたのは、道端にいた精霊さん達である。


 精霊と言う存在は何処にでもいる、いわばこの世界を構成する空気の様なモノ。

 彼らと上手く接触出来れば、これほど楽しい事は無い。

 魔法の使用効率も上昇するし、何よりも色んな事が理解できるようになるからだ。



 あ、それと話を聞くと言っても言語で会話している訳じゃないよ?

 道端に居るのはあくまでも下級精霊しかいない。

 幾らウェインディと契約したお陰で精霊が知覚できる僕でも、彼らと話せる訳じゃない。

 意思があるというのは解るけど、それを伝える言葉の様な術を持っていないからだ。

 

 だけど、それでも何を伝えたいのかはおぼろげに理解する事が出来る。

 イメージを送ってきたり、フヨフヨと動き回ったり、組み体操したりして伝えてくれる。

 人間で言うところのボディランゲージみたいな感じだろうか?


 ソレのお返しに魔力を分けてあげると、下級精霊たちに非常に喜ばれる。

 何と無くだけど、動物にご飯を上げた時の気分ってヤツかな?それに近い。

 そしてどういう原理か知らないけど、この事は他の場所の精霊にも解るらしいのだ。

 お陰でドンドン魔法の使い勝手が上がっている様な気がするよ。



 ともかく、こんな感じでのんびりと道を精霊さん達に聞いて旅をした。

 情報によれば、別にこのあたりで魔獣とかが一杯でたとか言う訳では無さそうだ。

 そしてやはり、キースさんの様な人間が帰って来たという情報も無い。


 以前ここを村に向けて通ったのはキースさんのみであるらしい。

 月に一度クノルから商人がいくか行かないかの村だ。

 キースさんと誰かを間違えるという事は少ないだろう。



……………………………



………………………



…………………



 さて、旅とは言ったモノの、実を言えばその道のりは非常に短い。

 僕は空を飛べるため、間の工程を非常に短縮する事が出来た為である。

 もっとも、それでも普通に歩いて一日程度の位置にある村らしいので飛ぶ必要も無い。

 ただ少し走っただけで半日程度に縮める事が出来た。


 草原を走り、小さな森を抜けて、湖へと到達する。

 クノルから南西にある湖、正式な名は無いらしい。

 けど、湖周辺に白い砂利が多い事から白の湖と呼ばれている。



「・・・・うん、あそこかな?」



 湖についたので辺りを見回せば、対岸という訳ではないが少し遠くに集落が見えた。

 それ以外に人の居そうな場所が無さそうなので、おそらくそこがそうなのだろう。

 周辺の精霊さんにも確かめたから、恐らく間違いは無い筈だ。



「・・・すんすん、魚の匂いかな?」



 その村へと向けて歩いていると、魚の匂いを感じる事が出来た。

 何でだろうと思ったのだが、すぐにわかった。


 この村はいわゆる漁村であり、湖の魚を漁師さんが引き上げている。

 そしてそれをさばき、日持ちさせるために天日干しにしているのだ。


 そのさばいた魚の匂いが、村の周辺にも流れているのだろう。

 まぁ魚は嫌いじゃないから特に問題は無い。

 多少匂いが付きそうだが、お手製の魔法消臭剤もあるから大丈夫だ。


 とりあえず村の門番と思わしき人物の元へとより、話しかける事にした。



「あの、すみません」


「・・・・・」



 門番の人に話しかけるが、何やら元気が無い。

 何と言うか上の空というか、力が出ないといった感じだろうか?

 門番なのにソレで良いのかと一瞬思ったけど、ソレは口に出さないでおこう。



「あ、あのう。すみません!」


「・・・・・あ?あんた、誰?」


「クノルのギルドから派遣された五十嵐と言います」


「あ、ああ・・・そのイガラシさんが何のようかい?見ての通りこの村には何もないが・・・」


「えーと、以前この村に訪れているギルドの人が居る筈なんですが、ご存じ無いでしょうか?」


「・・・ギルドの人間?」


「その人を探しています」



 門番さんは答えるのも億劫といった感じで、壁に寄りかかりながら応えてくる。

 何でココまで元気が無さそうなのだろうか?

 そう思っていると、門番さんが何かを思い出したかのように手をポンとする。



「ああ、あの薬をぎょーさん分けてくれた人か・・」


「薬?もしかしてこの薬と同じ薬ですか?」


「おお、それだ。なんであんたが?」


「僕の手製ですから」


「何と・・・」



 どうやら間違いなくこの村にキースさんは訪れていたらしい。

 いまだ滞在しているのだろうか?その事を尋ねると門番はかぶりをふった。



「昨日まではいた。入れ違いだ」


「入れ違い?彼は帰ろうとしたのですか?」


「いや、この村の現状をみて良い薬を貰って来ると言って出て行ったきりだ」



 この後聞きだした話しによると、どうやらこの村は今病気が蔓延しているらしい。

 体力が低下し、元気が出ない上、原因が分からないらしい。

 唯一魔法薬系を服用すると、一時的に体調が回復するのだそうだ。

 漁に出ているから人が居ないと思っていたんだけど、どうやら違ったっぽいね。



「(なるほど、だからキースさん帰って来なかったんだ)」



 あの人はお人よしだ。大方この村の現状を見て自分の薬を分け与えたのだろう。

 村の規模から考えれば焼け石に水だっただろうけど、関わっちゃった所為か余計に見捨てられなかったんだ。


 んで、倒れた村人の看病とかも買って出たんだろう。

 聞くとどうやらその通りらしく、昨日まで不眠不休で看病を行っていたらしい。

 ・・・・・非常にいやな予感がする。


 僕は門番さんに情報をありがとうと言い、村を後にした。

 そして一応近隣の精霊さん達にキースさんが通って無いかを聞いて探す。

 でも、大体彼が行きそうな場所が解ったので、そっちに向かう事にしたのだった。



次回更新未定、気が向いたら、かな。

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