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第46話

改訂しました

~出歩いて…落っこちて・第46話~






 さて、チビが大きくなったり小さくなれるようになった日から、さらに一カ月が経過した。


 結局チビは元には戻らず、巨大化も小型化もどちらも出来るままとなってしまった。


 だが、竜のブレスそのままな火球を吹けるのと、元が竜だから対魔力能力が高い。


 ある意味前衛にうってつけな為、現在紅が主体となって鍛えている最中である。



 その他は、特に何かあった訳ではないので、書くことが無いから割愛。


 何かやっていた事と言えば、いつもと変わらずシエルさんの研究の手伝い。


 後は紅との模擬戦、ウィンディが魔法の訓練をしてくれ、偶にゴー研に遊びに行くくらいだ。

 


 他はエル君が僕の魔法であるイマジンツールを、

 

 参考にしてみたいと聞いてきたので教えたことかな?


 最初聞かれた際、あまりにあっさりと、イマジンツールについて喋ったら茫然とされた。


 普通魔法使いは自ら作りだしたオリジナルは秘匿するらしい。


  

 どうもそこら辺僕は疎いんだよなぁ。


 まぁ秘密にしたところでどうにかなる魔法じゃ無いから良いけど。


 それにITは誰にでも出来る魔法じゃ無い。

 


 かなりのイメージと集中、それと継続した魔力運用が出来なければ扱えない魔法だ。


 そこら辺チートレベルで持っている僕だからこそ扱える魔法であると考えている。


 もっとも、エル君は1個だけ小さなナイフみたいなの作れたけどね。1日で・・・。






 ―――まぁこんな風に色んな事があったが、僕の契約期間はこれで終了である。






 今僕はシエルさんの研究室で、研究の最後のお手伝いをしている最中だ。


 この後は報酬として貰える建物と土地を見せてもらうと言う約束になっている。


 長かったようで、今思うと短く感じられるのだから不思議なものである。



「―――シエルさん、これでどうですか?」


「ん?どれどれ・・・」



 彼女はそう言うと、完成した魔法薬を魔力を当てて反応を調べたりして吟味する。


 これは、以前チビがかぶってしまった様な未完成品とは違う。

 

 魔力を当てられても中身が変質しないように、保存液と呼ばれる薬が配合された完成品だ。



 彼女はしばらく火や水とかの様な属性を当て、中身を調べた後薬を作業台に置いた。


 ど、どうだろう今度は?



「うん、ちゃんと言われた通りに作ってあるわね。貴方は今、傷薬・消毒・解毒の3点セットのポーションを作ることが出来る。基礎がようやく出来るくらいには成っているわ」


「本当ですか!?よかった~」



 どうやら合格レベルらしい。


 実の所、最後の手伝いとは名ばかりに、僕が彼女の助手として、


 何処ら辺までできる様になったかと言うのを計る目的もあった。



 あの基礎3点を覚えるのだって、結構大変だった。


 消毒は文字通りの意味だし、傷薬は所謂ゲームに出る様なポーションの事だ。


 だが解毒が一番難しかった。何せ解毒とは言うが毒だって色々種類がある。

 

 神経毒や溶解毒、生物系やケミカルなモノまで種類は恐ろしく多い。



 特殊な呪いの様な類で無い限り、大抵の毒物に対し効果を発揮できる魔法薬。


 ソレが“解毒”と呼ばれるポーションなのである。


 何せ蛇毒や虫さされ、果ては植物の毒までこのポーション一つで解毒する事が可能だ。


 流石は魔法薬、僕の世界では信じられない様な効果である。




「基礎が出来るようになったから、これ以上は自力で力を付けて行きなさい。

 知識や技術を得る事も大切だけど、どんなことも経験に勝るモノは無いのだから」


「はい!ありがとうございますシエルさん!」



 実を言うと、最近こう言った薬作りが面白くなってきたのだ。


 色々な効果がある薬を作るのは、確かに大変なのだがやりがいがある。


 いっその事薬師にでもなって見ようかしらん?とか考えていると――――



「さて、これでかなめ君は最後の助手としての仕事なのよねぇ?」


「はい、今日が最終日です。―――この後も何か?」


「うーん、本当は人手欲しかったけど・・・まぁ良いわ。それよりもこれ、ハイ」


「これは?」



 彼女はそう言うと、僕に何か古びた表紙をした広辞苑サイズの本を差し出してきた。


 かなり使いこまれてはいるが、丁寧に使われていたと言う感じである。


 なんだろうかと思って本を眺めていると、シエルさんは微笑ましそうに口を開いた。



「私からの個人的なプレゼントよ。せっかく魔法薬の基礎が作れる程度にはなれたんだもの。ココでおしまいって言うのは、勿体無いわ」


「と言う事は・・・」



 僕はそう思い本を開ける。表紙の裏に恐らく目次らしきものがあったので目を通した。


 中身はどうやら、この世界の文字で書かれた魔法薬のレシピであるようだった。



「私が若いころに作った、基礎の魔法薬が書かれたグリモワールよ」


「シエルさん・・・」



 僕は声も出なかった。グリモワールと言うのは奥義書の事。


 ここの図書室にある様なモノはそれ用のモノだが、これは明らかに個人のモノだ。


 つまり文字通りの奥義の様なものであり、簡単に他の魔法使いに見せて良いモノでは無い。


 例えソレが基礎的な魔法薬の本であっても、書いた本人の性質が現れるからだ。



「なんて顔してるのよ?貴方は魔法薬に関しては私の弟子みたいなものなのよ?

 だからソレ位のグリモワールくらい師匠の私の許可があれば読んでも構わないわ」


「シエルさん・・・いえ師匠と呼ばせてください」


「いやよ」



 感極まってそう言ったら、普通に断られた。


 思わずガクンとこけたのは僕の所為じゃ無い。



「いい?貴方の立場は弟子“みたい”なモノであり、私のお手伝い。

 それ以上でも以下でも無いわ。それに私弟子は取らない主義なの」


「なんか言っている事が矛盾してるような?」


「・・・まぁ簡単に言えば、対等って事なのよ。お疲れ様かなめ君。これまで本当に助かったわ」



 彼女は、どこか寂しそうな、ソレでいて楽しそうな表情で笑った。



「シエルさん・・・はい!こちらこそ貴重な研究時間の間に色々と教えていただき、感謝します!」


「ええ!感謝しなさい!」


「ってええ~!そう返しますか~?」



 そう言って僕等は笑いあう。


 何、仕事の契約期間が終わっただけで、いつでも会えるんだ。


 こういう笑える関係の方が、僕には丁度良い。



「それじゃあ、一応準備がありますので」


「ええ、そうね。引きとめてわるかったわね」


「いえいえ、ソレではまた後で」


「ええ。午後に門のところでね・・・・そうだ、他の所にもあいさつ回りに行っておきなさい。お世話になった人もいるんでしょ?」


「了解です」



そして僕は、シエルさんの研究室を後にした。


 


***




―――ゴー研・研究棟―――




「こんにちは、ミルドさん」


「ん?ああ、かなめさん今日は。今日はウチの大将に御用?」


「う~んソレもあるけど、実際は僕の契約期間が過ぎるから、お別れをね」



 食材をおまけして貰ったりした購買や、よく魔法薬の材料を仕入れに行った薬用植物温室。


 そこの人達には、すでに挨拶周りを済ませている。


 後、残っていて知り合いがいるのは、ココくらいだ。



「ああ、そう言えばかなめさんは、元々この学校の生徒さんじゃありませんものね」


「そう言う事だね。ここにも愛着がわいてきたとこだから、少しさみしいかな」


「ふふ、こちらもです。そっかー、お別れですか・・・そう言えば紅さんは?」



 少し下がった眼鏡の位置を直しながら彼女はそう聞いてきた。


 僕はすこし苦笑の表情を浮かべながら、彼女の問いに答える。



「彼女は修業中・・・と言いたいところだけど、実際は何かこういう湿っぽいの苦手なんだってさ」


「彼女らしいですね」



 別にどっか遠くに行っちゃうわけじゃないんだけど・・・まぁ気分ってヤツかね。


 その気持ちも解らんでも無いが、後でちゃんとあいさつ回りはさせるつもりである。


 お世話にあった人や、親しい人達にちゃんと挨拶をするのは、礼儀だからな。



「そう言えば前に行っていた、タロスの2号機ってアレ?」


「ええ、運動試験機だった1号機の制御術式を受け継いだ、いわば弟君ですね」


「術式を・・・大丈夫ですかね?」



 追いかけてくるアレは怖かったから、思わずそう聞いた。



「あ、今度は暴走もしませんし、変な改造もさせてませんよ?

 こちらとしてもあの騒動は色々と大変でしたからね。

 アレで人的被害でも出てたらゴー研がお取りつぶしになるとこでしたよ」



 そうケラケラ笑うミルドさんだが、僕は追いかけ回されたから、ある意味被害者なんだよね。


 ガントリーレーンから鎖で釣り上げられているタロス二号機は、まだ人型を為してはいない。


 だが基本的なフレームは完成しているらしく、取りつける準備の為か近くの棚に手足がおかれている。



「アレが完成するのを、見てみたかった様な気もするけど」


「なんなら起動試験の時に呼びましょうか?」



 そう彼女は言ってくれるが、僕は頭を振る。


 そしてここに来た目的を思い出し、彼女に訪ねた。



「ううん。僕は部外者だからね。そこまでは、ね。――所でヴァルさん達は?」


「あー、会長もヴァルさんも、今はちょっと学生会の方ですね。大方予算申請でしょうけど」



 そっか、そう言えばココ大規模だから忘れてたけど、一応学生組織なんだよね。


 予算は生徒会の方から捻出してる訳だから、しばらくは帰って来れないか。



「今頃生徒会長が、ウチの会長の覇気に当てられて泡吹いて無けりゃ良いんですけどね」



 ・・・・・やりかねないだろうなぁ。ソレを止めるヴァルさんの姿が目に浮かぶ。



「そっか・・・・じゃあ、伝言頼める?僕は午後になったらココを出なきゃいけないんだ」


「午後にですか?速いですね。でも了解しました。かなめさんが来たことをお伝えしておきます」


「うん、ありがとう。今度遊びにでもこれたら、何か皆に差し入れでもするよ」



 僕はゴーレム関係は素人だから、ここに来ても手伝えることは無い。


 でも只遊びに来るだけだと、なんか心苦しかったので、僕は何度か差し入れを作って持ってきた事がある。


 それなりに好評だったが、ヴァルさんの作ったのには及ばないらしいのが、ちょっと残念。



「あはは、みんな喜びますよ。それじゃあ、かなめさん」


「うん、それじゃまたね」



 うし!これで一応回らなきゃいけない所は全部回ったぜ。


 はー、しっかしこの学校に3カ月もいたのかー。



「・・・ちょっち、寂しいもんだねぇ。やっぱり」



 とりあえず、部屋を引き払う準備は終わっている。


 後は報酬の確認だけだし、貰える報酬は何と家だからね。


 一体どんな家なのか・・・今から楽しみだなぁ。




***




 午後となり、一応あいさつ回り(チビと紅も後でひっ捕まえてやらせた)も終わった僕たち。


 そのまま学校の門の所に集まっていた。報酬となる家の場所まで案内して貰うからである。


 しばらくして、シエルさんが門の所にやってきた。



「全員居るわね?それじゃ、向かうわよ」



 彼女はそう言うと僕達に歩くよう促し、彼女が頼んでおいた馬車の所に案内する。


 僕は空を飛べるが、彼女は飛べないので、道案内をして貰う為に今回は馬車で移動なのだ。






 そして適度に馬車に揺られる事2時間弱―――。






 そろそろお尻が痛くなりそうになってきた所で、馬車がギィっという音と共に止まる。


 どうやら目的地に着いたらしい。位置的にはガラクトマンとクノル間の森の中ってとこか。



「街道近くに隣接されてるの。すこし小道を抜けなきゃいけないけどね」



 そういわれ、街道から伸びる小道に入るシエルさんを追って、僕らも後に続く。


 よーくみると、小道にもちゃんと魔獣避けの石塔が並んでいる。




 ―――ん?でも少し街道にあるのと形が違う?




「ここの小道とこの先の家に付けられている魔獣避けは、学校側の試作モデルなのよ」


「試作モデルですか?」



 僕が不思議そうに石塔を見ていた事に気が付いたのだろう。 


 彼女は歩きながら、僕に説明をしてくれた。



「そう、街道沿いのが正式タイプだけど、安価に仕上げる為に太陽の光を触媒にしているわ。だけどこっちの試作魔獣避け石塔はね?大気中の魔力を使用するタイプなのよ。だから夜でもここいらの魔獣程度なら完璧に避ける事が出来るの」



 成程ねー。試作だからこそ最新の技術が付けられている訳か。


 道理で街道から外れてる小道なのに、魔獣が一匹も出ない訳だ。



「序でに言うと、この小道沿いの森には、この石塔が幾つも分散して立てられているから、魔獣はほぼいないわ。稀に強い個体が居たりするけど、ほぼそう言う事は起こらないから安心して」



 この先の家の周辺に魔獣は殆ど現れないわ――と更に捕捉をしてくれるシエルさん。


 まぁこの先住むかも知れないのに、魔獣が出まくる様な家だったら少し困る。


 

 でも、なんか試作品を使って有るとか・・・。


 もしかしてこの先の家にも何かしてあるのかな?


 そんなことを考えていると、少し視界が開けた。どうやら森の中の広場に出たらしい。


 大体広さ的にはテニスコート程度だろうか?その真ん中にポツンと家が建っていた。



「さ、着いたわ。この家が貴方達に報酬として渡される家よ」


「おお~よく見ると2階建てだ」


「緑っぽい屋根と・・・木造か」


「・・・・くぅ!」


『意外と手入れが行き届いてますね』



 うん、中々いい家だと思う。


 屋根は濃い緑色の塗料を施された三角屋根。


 壁は丸太を組んだログハウス調、窓にはちゃんと雨戸も取り付けられいる。


 見た目は地味だけど、頑丈で長く使えそうな感じだ。



「後で中は自分たちで見て貰おうことになるだろうけど、この家は地上2階建ての試験用木造住宅の一つよ。色々なテストを兼ねて、森の中に作られたモノの完成品なの」



 シエルさんの説明によると、対魔獣対策用の実験施設として、学校は幾つかこう言った建物を保有しているらしい。


 この家は特に魔獣対策を念頭に置いて作られた家で、外壁は一見すると木造であるが、中に錆びない様に魔法処理が施された鉄板が仕込まれているそうな。



 また、魔法使いが住む為の実験モデルも兼ねていたので、地下に工房的な場所も完備。


 水道は地下水から魔法で組み上げ、灯りも試作型の魔力ランプで取ってある。


 そして性能や機能検査が終わったので、この家を報酬として貰えるんだそうな。




 ソレを聞いた僕は、け、結構お高いんじゃないの?と脳内で考えた。


 だってなんか聞いてると至れる付くせりの機能ばかりである。


 僕らがクノルで拠点にしていた宿屋は井戸だったし、学校もそうだった。


 だけどココにきて水道があるのだ。蛇口をひねると水が出てくるとか・・・。



「本当はこの試作品達も取り外してから、貴方達に渡される予定だったのよ」


「・・・・・予定だった?」


「そう予定だった。だけど私がソレをやめさせて、そのままの形で貴方達の報酬にしたの。頑張ってくれたからね。モルモ・・・もとい、実験にもちゃんと参加してくれてたし」



 一瞬聞きたくないような単語が混ざっていた様な気もするが、気にしないようにしよう。


 むぅ、しかし・・・・



「なんか、本当にシエルさんには頭が上がりません。こんな素晴らしい住居が貰えるなんて」


「ふふ、もっと感謝しなさい。・・・まぁ一応一つだけ守って欲しい事はあるわ」


「何ですか?」


「一応見ての通り、この家は試作品の塊でもある。だから、もし引き払う時は必ず学校側に一言連絡を入れなさい。ソレとギルドの仕事とかで遠征に出る場合は、必ず出る前に家に結界を張る事。もし賊とかに入りこまれたら厄介だもの」



 それ以外なら家を建て直そうが、増築しようが全部貴方の自由よ。


 ―――とシエルさんは言ってきた。これはもう本当に頭が上がらん。足向けて寝られない。



「それじゃあ、後はこの書類を渡しておくわ。この周辺の土地の権利書とかね」


「はい、ありがとうございます。シエルさん」


「いいのよ、性能試験は終わってるけど、いまだモニターとかは欲しかったから」



 あ、やっぱそう言うのもあるんだ。



「言っておくけど、別にレポートとかはいらないわよ?」



 え?そうなの?



「あくまでもちゃんと住めるかの意味だから、貴方達が住めば住むほど、ソレが結果になるの」



 あー、そう言う事ですか。つまりは僕らは長期的なモニターな訳だ。


 魔獣などの危険あふれる世界で、家一つで安心してすめるかと言うヤツのね。


 とりあえず貰った書類は、かばんに入れておくことにしよう



「それじゃあ、私はこれで一度戻るわね。あとは好きにしても良いわよ」


「え、もう行くんですか?」


「まだまだ実験スケジュールはあるのよ。ねぇホント助手やらない?」


「あ、あはは、まぁ考えておきます」


「やるなら絶対連絡しなさい?良い給料で雇ってあげるから」



 そう言うと彼女は、この場を去って行った。


 ソレを見送った後、とりあえず僕らも家の中に入ったのだった。




***




 家の中は、一階は台所やお風呂やトイレの水回りが集中し、リビングが一つある構造だった。


 二階へは、リビングから吹き抜けのようになっている空間にある階段から上がり、寝室が二つある。一階はお客が来ても大丈夫で二階はプライベートスペースと言った感じか。



 地下室の方は途中まで石造りで、半分は魔法で強化されたコンクリートの様な物で出来ていた。


 暗いのかと思えば、試作型の魔力ランプが明るい為それ程では無く、むしろ明るい。


 またシエルさんの所でも扱った様な、魔法薬生成に使える設備もあった。



「こりゃ本当至れり尽くせりだわさ」


「ん?こっちにも扉が・・・」



 僕は紅と一緒に地下室を見に来たのだが、いやーホント研究室と大差ないわ。


 流石に地下だけあって少し狭いけど、でも一人で研究する程度には十分すぎる。


 ・・・・・ポーションでも作って売って歩こうかな?



「ふ~ん、食糧庫じゃねぇか?ココ」


「え!?――ホントだ」



 そして地下研究室の隣には地下食糧庫へと入れる扉もあった。


 こちらの食糧庫は、上の台所とも戸板一枚でつながっているらしい。


 もっとも、今は食材を補給していないので、食糧庫は空ッぽだけどね



「ふーむ、後で氷属性の刻印を刻んで・・・あ、そうだ。時間を遅くする刻印を刻んでおけば」


「へぇ、ココから台所につながってんだ」


「ってちょっと待って、おいてかないでよぉ」



 とりあえず、この後は食材を仕入れにクノルまで行かないといけないな。


 ガラクトマンは、僕たちはもう部外者だから、入れないだろうし・・・。


 さぁて、ITシールドボードで一っ飛びしてきますかねぇ。




***




「――――あれ?なんか人数が増えてる様な?」


「「「おかえり~」」」



 1人で一度クノルに行って食材を購入した僕。


 その後、大きなリュックを背負って帰宅したのだが―――


 

「エル君、ヴァルさん、それにクレアにシエルさんも?!よく見たらレンさんまで!」


「やぁカナメ、私に伝言のみとは水臭いな。だから此方から出向いてやったぞ」


「まぁ、本当は引っ越し祝いとかも兼ねてんだがね」


「僕はまたこの人に捕まって・・・でも、かなめさんの所に来たかったからちょうど良かったです」


「ふふふ、お酒も持ってきたから今日はパーティーよ!」


「クノルに行っておったのか?どうやら入れ違いじゃったようだの」



 片道2時間もあるのに、みんなでお祝いに来てくれたんだ。


 なんだろう?とっても嬉しいや・・・よぉっし!



「そ、それじゃ!すぐに料理とか色々作ります!」


「よし!手伝おう・・・・・ヴァルがな」


「はいはい、ま、会長に手伝わせるよかマシでしょう」


「それはどういう意味かな?」


「・・・覇気は止めてください。つーか以前俺ん家の調理場破壊したじゃないですか」


「うぐぅ・・・」



 調理場破壊?何したんだろう?っとそんな事よりも早い所作ろう。


 せっかく集まってくれたみたいだし、もてなさないのもアレだしね。



「あの、どうでもいいですけど、かなめさん行っちゃいましたですよ?」


「っと、この話は後にしよう。ヴァルよ!手伝って来い!」


「りょーかい」


『私もお手伝いしに行ってきますわ』


「おう、行ってこい行ってこい」


「つまみも作っておいてと、かなめ君に伝えておいてね」


『クスッ、解りましたわ』



 この後はまだ使われていなかった台所を余すことなく使い。


 ヴァルさんとウィンディも手伝って、引っ越し祝い的なパーティーの準備をした。


 やるとは思っていなかったので、家庭料理的な食材しか無かったけど、それでも皆は喜んでくれた。



 その日は夜遅くまで皆で騒ぎ、シエルさんが持ち込んだお酒を飲んだりした。


 結局皆泊って行く羽目になり、急きょ寝る場所を作った。


 勿論予備の毛布程度じゃ足りなかったので、僕のITを使って布団を作ったのだ。



 ちょっと疲れたけど、それなりに楽しかった。


 何だかちょっと合宿みたいだったしね。


 女性陣は二階の部屋で、レンさん、僕、ヴァルさんはリビングで雑魚寝した。



 そして次の日の朝早く、みんなそれぞれの場所へと戻って行った。


 でもレンさん、あなた何時の間に転移方陣を刻んでおいたのですか?


 しかもクノルとガラクトマンの両方につながるゲート作っちゃって・・・。



 クノルはともかく、ガラクトマンは許可居るんじゃないの?


 まぁ、行き来がしやすくなるのには賛成だけどさ。



「・・・・ふぅ、さてと今日はどうし「かなめ!大変だ!」どうしたの!?」



 そして慌てて入ってきた紅、一体何が―――



「昨日の宴会で、食材全部食われちまってるぜ!」


「・・・・・また買いに行くのか」



 うう、結構食料品の荷物を背負うの大変だったのに・・・。


 シールドボードに乗せたら、二人乗り出来そうも無かったから一人で運んだのに・・・。



『かなめ様、安心してください。レンさんの残したゲートを使ってクノルに行けばいいんですよ』


「・・・・よし、今日はとにかく全員でお買いモノだ!チビも手伝ってね?」


「くぁう!」




 そして我らは引っ越しをした次の日に、さっそく食材の補給へと向かったのだった。




*終わりじゃないけど一区切り。


 この後は少し改訂とかしたいので、少し更新が遅れます。


 ソレではまた次回に

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