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第33章

~出歩いて…落っこちて・第33章~









あらすじなのかー


*タロスから逃げまわる。しかし何かの法則でもあるのか逃げきれない。


*迫る瓦礫の弾幕、あまりの多さに魔法を使った。


*せいとうぼうえいと言う事で、タロスを行動不能にすべく魔法発射、しかし防がれる。


*油断して捕まり、グルグル回され眼を回す。駆け付けた紅達に助けられる。


*反撃か?それとも逃亡か?と言うところで、謎の声が聞こえた。←今ココ




***



「そこのお前達!死にたくなければ時計塔へ向かって逃げろ!!」



聞きなれないけど、凛と良く通る声が辺りに響く。


「だれだおまえは!?」


紅が警戒し、問いかける。

声が聞こえた場所に居たのは――――――


「ワタシか?ワタシは・・・いや、今はそれどころではない」


栗色の豊かな髪を腰のあたりまで伸ばし、どこかギリシャの彫刻を思わせる顔立ち。

理知的なコバルトグリーンの瞳を持つ、この学校の制服を来た女子生徒だった。


「説明は後で行う!出来ればこちらの言う通りにしてほしい!」


その手には大きな翼の飾りが付いた、槍のように先端がとがっている杖を握っている。

見た目の感じからして、彼女はこの学校の上級学年の生徒であるようだ。


彼女はタロスから視線を離すことなく、僕達の前に進み出た。

どうやらココでようやく、この事態を収拾してくれる人間が現れた様である。


「・・・アレ、結構強いけど、逃げて大丈夫?」


一応心配して声をかけてみる。

生半可な強さでは、返り打ちに会うのがオチだ。


「平気だ。アレは自壊を始めている。逃げる分には問題無い」


僕の心配をよそに、淡々と言葉が返ってくる。

その声はただ事実を告げているだけという風な感じだ。


「――ふっ」


こっちを向いてはいないけど、きっと彼女の顔は笑っている。

何故だか解らないけど、なんかそんな風に感じた。


「ようは・・・僕達に一緒に後退してほしいと?」

「物わかりが良くて助かる」

「お、おい待てよ!いきなりそんな事を――――!」


突如現れた人物を警戒していたからか、紅が声を荒げた。


「紅」

「んぐぅ・・」


僕は紅が突っかかろうとしたのを、手をかざして黙らせる。


「後で説明して貰えるんでしょう?」

「無論だ」


・・・・どうやら、ブラフじゃ無いみたいだ。


「解った。紅!ウィンディ!」

『解りました!後退します!』

「・・・ッチ!どうなってもしらねぇぞ!!」

「ついて来い!絶対離されるなよ?」


彼女はそう言うと、全身に魔力を通して強化し、一気に後方へと飛び去った。

僕たちもそれに習い僕は魔力で、紅は気で、ウィンディは自前で空を飛びそれぞれ後退する。




『再起動完了ダ。エモノ対象増加、逃亡開始、追尾スル。高速移動用システム展開』

≪ガチャン・・・ギュイィィィィン!!≫




タロスが完全に再起動し、僕達をエモノとして認識し直したみたい。

おまけに脚部から車輪が展開。

どうやら逃げる僕達を追いかける気は満々の様である。


「な!さっきはあんなの出て来なかったのに?!」

「まずいな・・・装備術式へのプロテクトが、機体が損傷した時に外れたか?」


驚愕の声を漏らす僕に、時計塔へと続く道を走り続けながら、謎の女子生徒はそう呟く。


「随分、アレの構造に詳しいんですね?」

「・・・説明は後だ!飛ばすぞ!!」


彼女は僕の質問に答えることなく、そのままスピードを上げた。

僕達も同じくスピードを上げる。


「・・・・なぁかなめ、どう思う?」

「なに?」


紅が僕に近寄り、走りながら脚は止めずに小声で問いかけてくる。


「正直なところ、信用できんのか?アレ」

「う~ん、どうだろう?」


紅が至極当然な疑問を漏らす。

しかし全速力で走っているのに良く喋れるよね?僕達。


「大丈夫だと思うよ?」

「何でだよ?」

「そうだね・・・・」


一瞬すれ違った時に見た彼女の眼、そして今なお彼女から放たれる雰囲気。

そのどれもが、彼女は信用に値する人間であると、僕の勘が告げていた。

不思議な感じ・・・普通は疑うモノだけど、なんて言うんだろうか?


「勘・・じゃなくて、カリスマかな?」

「なんじゃそりゃ?ワケわかんね」


まぁねぇ。


「僕もそう思うよ」

「おいおい」

「お前達!喋ってないで、脚を動かせ!!」


案内として先頭を走る彼女から叱責が飛んできたので、話を打ち切る僕達。

時たまに、初対面であっても逆らえない雰囲気を持つ人っているらしいけど・・・。



―――――多分、今目の前を走っているこのヒトがそうなんだろうなぁ。



そんな事を考えつつ、僕たちは彼女の跡を追いかけた。






***






ガラクトマン魔法学校は、中央に大きなレンガ造りの棟が鎮座している。

それは中央棟と呼ばれ、この学校設立以来から立てれられている建築物の一つである。

また、その中央棟には大きな時計塔が付いており、東西南北から文字盤を見る事が出来る。


ガラクトマン魔法学校では、この時計塔より高い構造物は無い。

その為、目印にするにはちょうどいい建物と言えるのだ。

ちなみに、外観の感じはロンドンの時計塔そっくしである。



―――――その時計塔の前には広場があり、現在僕達はそこに逃れていた。



「あう、何で僕までタロスの暴走に巻き込まれているんです?」

「あはは・・ゴメン巻きこんじゃって?」


隣に居るエル君が溜息をついている。だってしょうがないじゃん


「あのまま放っておいたら、タロスの餌食だったろうしね」

「・・・時計塔に行かないで、とっとと教室に行くべきだったです。タロスから離れたところだったから油断してしまいました・・・です」


車輪が出て早くなったタロスから逃れる為に、建物の間を縫ってジグザグに逃げていたんだけど。

こっちもまさかタロスから逃げている道の途中で、エル君と会う事になるとは思わなかった。

たまたま建物から出て来たところを、謎の女子生徒がひっつかんで連れて来ちゃったんだよね。


「まさかエル君が彼女と知り合いだなんてね」

「・・・腐れ縁ですよ。彼女とは――――」


僕たちを先導していた謎の女子生徒は、どうやらエル君と知り合いだったようなのだ。

エル君は彼女を見た瞬間、思いっきり回れ右をしようとしてたんだが、

彼女は彼を有無を言わさずひっつかんで、ココまで連れて(強制連行)きた。


「あう~、杖の外装作りに手間取って、部屋を出るのが遅くなったのが悪かったです」

「え~と、なんて言うか、ご愁傷様?」

「エル坊も案外トラブルに巻き込まれやすいんだな?」

「・・・・そうなったのはあなた達が来てからの様な気がしますです、ハイ」



あはは、まぁじゃれあいはさて置き――――――



「・・・で、ココまで来たんだけど、なにか策があるんですよね?」


僕はココまで連れて来た謎の女子生徒に問いかける。

今僕達がいるココには、数名の生徒達が忙しなく動き回っていた。


現在位置の時計塔前広場を囲むように、

1m程の円錐に四角い箱を浮かべた様な装置が、彼らの手によって設置されてゆく。

どうやら流れでる魔力の感じから察するに、特殊な魔導機械であるようだ。


「――――無論だ。ヴァル!」

「あいよ会長。こっちの準備は出来ている」


謎の女子生徒が誰かの名を呼ぶと、装置の近くで作業していた男子生徒がこちらにやって来た。

彼女との掛け合いから察するに、どうやら彼女の部下の様な立場らしい。


「そうか、ご苦労だった」

「そう思うなら休ませてくれ会長・・・」


あまり寝ていないのか、彼の眼の下に隈が出来ている。


「コレが終わってからだ」

「・・・了解した。まぁぼちぼち行くかね」


そう言って、フラフラと装置のところに歩いていく。

どこか飄々とした雰囲気を持っている感じだ。


しかし服装は赤い帽子をかぶり、腕が隠れてしまうほど長い袖のついた制服の上に、

これまたヨレヨレの白衣を身につけており、だらしない感じなんだけど何故か似合ってる。


いやむしろ見た感じからすると、コレは博士風ファッションというところだろうか?

いやむしろハカセ?・・・・なんか銜えタバコが妙に似合いそうなそんな感じ。



「そいじゃ、会長とお前さん達はコッチの方に来てほしい」

「ほれ、時間が無いんだからいそぐんだ」


彼は手に小さな操作機を持って戻ってくると、僕たちが四の五の言う前に指示をだした。

僕たちは彼と謎の女子生徒らに背中を押されて、何かの装置の後ろに立たされた。

それにもう、僕達が恨み事を含めて何か言う暇なんて無かった。何故なら―――――







『エモノ発見~~~~~~~!』







―――――既にタロスはすぐ近くに迫っていたからだ。


「来たな?そりじゃ全員配置につけ」


ヨレヨレの白衣の男子生徒は、そう言って今まで作業していた他の生徒を下がらせる。

全員が下がるのを確認した彼も、後退しようとしていたのだが、

ふと何かを思い出したかのように踵を返すと、小走りでこちらに駆けよってきた。


「そうそう、会長とお前さん等はココより先には出ない様に、下手すると死ぬから」


彼はチョークで書かれた線を指さしそう言い残す。

そして、先に退避した生徒たちを追い物陰に隠れた。


隠れた彼らは『安全第一』とこの世界の言葉で書かれたヘルメットを着用している。

一体どこから取り出したんだろう?


「さぁ、そろそろタロスが来るぞ?覚悟は良いか?」


なんとなく動く事が憚られる雰囲気とでも言えばいいかな?

動けない空気だったので、僕たちは大人しく指示に従っていた。

ちなみにエル君も“何で僕まで・・・”と呟きつつも指示に従っている。



≪ギューン、ガシン、ぐぽーん≫

『エモノ、破壊スル』



僕達から12~14m程離れたところで止まったタロスは、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

先の紅の攻撃により、右腕から先が取れてしまっているが、胴体が無事な為まだ動いている。

タロスが僕達にあと5mというところまで近づいたその瞬間――――――


「スタン・フィールド作動・・・・ってな」


さっきの赤い帽子の人が、何時の間にか持っていた手元のスイッチを押した。


≪バリバリバリバリバリ!!!!≫

『!!!!』


その瞬間、辺りは青白い閃光に包まれ―――――


≪キューン―――・・・・ズン≫


其の閃光が消えた時、アレだけしつこかったタロスは膝をついていた。

イオン臭が漂っている事から、どうやら魔法を用いた強烈な電磁場を使ったようだ。


大電流が青銅製という伝導率が高いタロスの中を駆け巡り、制御用術式をショートさせたのかな?

しかし、人工的に落雷を発生させる装置ってあるけど、僕たちよく感電しなかったなぁ・・・。



「ほい、終わり・・・っと、さて解体ショーといきますか」

「一時的にショートさせたとはいえ、内部機構がどうなっているか心配だな」

「ですな。あー誰か外れた腕持って来てくれ。壊れてても貴重品だからな」


なんか、僕たち放置で目の前でタロスの解体が行われている。

アレだけ騒いだ割には、タロスは随分とあっさりとした幕引きであった。

ああ、しかも経験値が入らないや・・・自分で手を下して無いし・・・はぁ。


…………………


……………


………


目の前でタロスの解体が行われていく中、作業の邪魔なので片隅に追いやられた僕達。


「あの・・」

「うん?・・・ああ君たちか、どうした?」


とりあえず、ただ立っているのも時間の無駄なので、あの謎の女子生徒に話しかけてみた。


「どうしたって・・・説明して貰えるのでは?」

「ああ、そうだったな。まぁここじゃアレだ?場所を変えることにしよう。ついて来てくれ」

「解りました」


僕達4人はなんだか若干諦めた顔をして、彼女の後ろについて行った。



***


彼女に率いられてやって来たのは、学生用研究棟の一室だった。

それなりに年季の入った扉の鍵を開け、招き入れられる。


≪ガチャ≫

「まぁ狭いところだが、遠慮せずに入ってくれてかまわん」

「それじゃ、失礼します」

「邪魔するぜー」

『お邪魔いたします』


中は金属、木材、岩石に至るまで、様々な“材料”が所せましと置かれており、確かにやや狭い。

僕たちが中に入ると、殿だったあの赤い帽子の人が扉を閉めた。


「あの、何で僕までココに居るのです?僕は授業が・・」

「いまさら向かっても間に合わんさ。それにお前は既に課題を終えている。今更出る意味はないだろう?」

「いやそれは、そうですけど・・・」

「――――あのう」


このまま放っておくと、軽く流されてしまいそうなので、僕は二人の間に入りこむ。


「こっちとしては、そろそろ自己紹介とかして貰えるとありがたいんですけど?」

「ふむ、確かにタロス捕獲を手伝って貰った君達に名乗らないのは失礼だ」

「会長・・・また有無を言わさず連れて来たんですか?」


赤い帽子の人が若干呆れた眼で彼女を見る。

どうやら、そう言った事は日常茶飯事の様だ

だが彼女はそんな視線どこ吹く風と言った感じで構えていた。


「なに、説明するヒマが無かっただけさ。それはさて置き君達、お茶でも飲むかな?」

「あ、頂きます」

「了解した。ヴァル!」


彼女は赤い帽子の彼を呼ぶ、彼は若干顔をしかめた。


「え~、たまには会長が入れてくださいよ」

「何を言う。自慢ではないがワタシの家事全般に置ける技能は須く全滅だ。大体ワタシよりもヴァルが入れた方が何倍も美味しいではないか」

「・・・・はぁ~、5人分お持ちしますよ」

「いや、お前を含めて6人分だ」

「はいはい」


そう言うと、彼は渋々ながら奥の方に引っ込んでいった。

なんだろう・・・この熟年夫婦なノリ?


「さて、彼がお茶を入れている間にワタシも自己紹介をしておくことにしよう。私の名前はクレア・ディスパテール。自律魔導人形(ゴーレム)研究会、通称ゴー研の会長を務めさせてもらっている。クレアと呼んでくれてかまわん」

「あ、僕はクノルの町のギルドに所属している五十嵐かなめです」

「俺はかなめの相棒をしている五十嵐 紅だ。紅で良いぜ?」

『私はウィンディーネ・イガラシと申します。ウィンディと呼んでください』


目の前の女子生徒ことクレアさんが自己紹介をしてくれたので、僕たちも自己紹介で返す。

というかウィンディと紅。なんでさりげなーく、僕の名字使ってるの?


「ふむ、イガラシカナメ・・・珍しい名だな」

「そうですか?」

「いや、ここらでは珍しいだけだ。ワタシは良い名だと思うよ?カナメ・・・うむ、いい響きだ」


いきなり呼び捨てかい。


「カナメ、ベニ、ウィンディ・・・よし、覚えたぞ」

「そ、それはどうも」


な、なぜだ?なんか妙な迫力が・・・コレがカリスマと言うモノなの?


「会長、また悪い癖出てますよ?初対面の人間に覇気を飛ばさんといてください」

「む?漏れているのか?」

「ええ、奥に居る俺にまで感じ取れる程でしたよ?あ、これお茶な?」


そう言ってお茶を差し出してくれたのは、あの赤い帽子の人だった。

ああ、ありがとう帽子の人、この雰囲気を変えてくれて。

彼が入れてくれたお茶を飲んで、少しだけ気分が落ち着いてきた。


「・・・良いお茶ですね?紅茶ですか?」

「安モンだがな?それなりに上手いから愛用してる品ってヤツさ」

「コレこの学校の購買でも買えますか?えーと・・・」

「ヴァルだ。ヴァルカン・H・ウルカヌス。ゴー研での副会長兼研究主任みたいな事もやっている」


そう言うと彼は手を出してきた。


「五十嵐かなめです。よろしくウルカヌスさん」

「ヴァルでいい。ちなみに質問の回答だが、欲しい場合は喫茶店で分けてもらう事をお勧めする」

≪ギュ≫


彼とは軽く握手を交わし、その後紅とウィンディとも挨拶を終えた。

そして、用はすんだとばかりに、彼はそのまま部屋の隅にあったパイプいすに腰掛けた。


「そう言えばエル君」

「ハイなんですか?かなめさん」

「この人たちと知り合いなの?さっき腐れ縁とか言っていたけど」

「ふむ、腐れ縁か・・・言い得て妙だな」


僕の言葉を聞いたクレアさんがそう漏らす。


「現にその通りでしょうが、クレア会長」

「なに、ソレもこれも君が首を縦に振らなかったからだ。それよりも今日この場に居るのだから」

「入らないですよ。ゴー研に入ったら魔法の研究時間がつぶれてしまうです」

「相変わらず辛辣だな。その魔法の才をゴー研で使えば、かなり世の中の役に立つと言うのに」

「だからって、無理やり入会書にサインを書かせようとする人は苦手です」

「はっは、コレはコレは・・・ずいぶんと嫌われたものだ」

「嫌いじゃないです・・・・それでも、苦手なモノは苦手です」


どうやらエル君は彼らにちょっと苦手意識があるようだ。


「さて、前置きはこれくらいでいいだろう」


彼女がそう言うと、部屋の空気が真面目なモノへと彩られていく。

アレ?またアノなんか逆らえないオーラが・・・。


「先ほどは事情が事情であったとはいえ・・・」


彼女は立ち上がると僕たちの方を向き――――


「我々の作り上げた作品であるタロスの暴走に巻きこんでしまい本当に申し訳なかった」


――――そう謝罪し、見ていてすがすがしい程の最敬礼をした。

だがすぐに顔を上げると、僕達全員を見渡し、言葉を続ける。


「自動魔導人形研究会の長として、今ココに非礼を詫びよう。許していただきたい」


そして再度、彼女はこうべを下げた。


「・・・・僕達に被害は、あまりありませんでしたから」

「・・・・そうか、感謝する」


いや、まぁ巻きこまれた手前、ちょっと腹に据えかねるモノがありますけどね?

何と言うか・・・逆らえないオーラってヤツを感じると言うか。まぁ、なんにせよ――――


「あなたほどの女史に、ココまでされたら、此方も許さない訳にはいきませんよ」


人を屈服させる程のカリスマ、それとそれに伴う覇気と言うモノは恐ろしいモノである。

こういうのは抵抗すると苦しいから、適当に流しておくのが一番だ。


無論まだ憤り的なモノはあるけどね。一々気にしても意味が無い。

軽い?軽くて結構。無駄な争いするよかましだ。ただでさえ幸運値低いんだから。


「会長・・また覇気が漏れ出てます」

「む?すまん。今止める」


彼女がそう言った途端、部屋に充満していた威圧感と言える圧力が霧散した。

どうやら、彼女は無意識のうちにオーラをまき散らすタイプの人間の様である。

僕の後ろではウィンディや紅、それとエル君が覇気に当てられ真っ青な顔をしていた。


『「うう、苦しかった」』


?息苦しかったけど、そんなに顔を青くするような事なのかな?


「アレ?みんなどうかしたの?」

「・・・・・なんで、かなめはアレ受けて平気なんだよ」


いや何でって聞かれても・・・・。


「ん~解んない。僕はちょっと圧迫感を感じただけだったし・・・」

「・・・かなめは、色んな意味でスゲェな」

『私ですら苦しかったと言うのに・・・かなめ様、恐ろしい子!!』


いや色んな意味とか子ってなんだよ子って?

大体ヴァルさんだって平気そうじゃないか。


「いや、俺の場合は慣れだ。会長に初めてあった人間は大抵ああなる」

「・・・・慣れるというのも、大概にスゴイ気もするんだけど?」

「気の所為だ」

「いやだけど・・・」

「気の所為だ」

「でも」

「気 の 所 為 だ」

「・・・了解しました」


どうやらこの話題は掘り下げられたくは無いらしい。

ヴァルさんに強制的に終わらせられてしまった。


しかしクレアさんも凄いなぁ。

あそこまで威圧感を与えられる程の覇気を出せるとなると、もうコレは武技の領域だね。

戦っている時にあの覇気を出されたら身体硬直しそうだから、なんか勝てる気がしないよ。


まぁ、僕が魔力を全力で出せば別だろうけど・・・しないけどね。

なるべくなら敵対したく無いなぁ。穏便に行きたい。うん。


こうして、すさまじい覇気を常に放つクレア女史。

それを受けても飄々とした態度を崩さないヴァルさん。

この二人との邂逅と、タロスに関する謝罪を受け取った。


……………………


………………


…………


「ん?そう言えばエル坊が静か・・っておいどうした?!」

「・・・・」

「・・・気絶してやがる。覇気にあてられたのか」

『・・・・』

「ん?ウィンディ、どうかしたのか?」

『いえ、別に・・(言えない、この子も結構可愛いから、あんなことやこんなことを!!』

「言いたくないけど、本心ダダ漏れだぞ?」

『はあう!?』


次回へと続く・・・のだ。





*ああ、ようやく書けた。最近スランプだ・・・。


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