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第20章

日常編かな?多分…。

~出歩いて…落っこちて・第20章~



 





「弓ってのはよ?狙うか狙わないじゃ無くて、すでに当っているっていうビジョンが

 自分の中に無いと当らねぇのよ」

「へぇ~そうなんですか?」

「そうよ、そんでもってそのビジョンを持つ為に、自分と戦う訳だ」

「自分と戦う?」

「当らんとか、どうせダメだっていう心を持っちまうと矢はブレちまう。

 迷いがある時もそうだ。その心の内面にいかにウチ勝つかが弓を放つ上で大切なこった」

「なるほど…勉強になります」

「良いってことよ」



―――――クノルを離れてすでに3日目に突入した。

馬車の横を歩きながら、たまたま弓の話をしたら、

ロアルさんのうんちくが始まり色々と話してました。



流石にご自分の獲物の事だけあり、詳しいですハイ……でも――――



「それに見てくれよ俺のこの弓…普通は動物の骨と木を合わせて作るモンだが、珍しい事に金属製の金属弓なんだ。クロム鉱とモリブデン鋼と少量の魔法金属を合わせて作り上げたコイツは弾力性を失わずそれなのに軽くて丈夫、錆びない上に刃も取り付けてあるから近接戦にも対応可能、おまけに――――」



ご自分の世界に入り込みやすい人物だったようで、もう誰も聞いて無いのに説明し続けるその姿は、

なんかとってもシュールだと思う。

ちなみに何でこうなったかというと、あの寡黙なルードさんにIT(イマジンツール)について

色々と聞かれたからなんだ。


ほら、この間のギガースとの戦いで、いきなりパイクやら杖やら武器こさえてたじゃない?

それが面白かったんだそうで…。

ルードさん、口数がものすご~く少ないから、断片的な情報を組み合わせたので、

どっか抜けてそうだけど多分そんな感じ。


で、ソレを横で聞いていたロアルさんも話に参加。

気が付いたらロアルさんが自分の弓の心構えやらなんやら色々説明始めたってワケ。



「―――――本当ならミスリル製とかアダマンタイト製が欲しかったんだが、そんな高価な代物は一般には出回らねぇ…だから俺は―――――」



この説明……はよう終わらんやろうか?



***



………さて。



「な、なんでこうなったんだろう?」

「…………」



昼時に僕が馬にエサあげる為に離れた後、みんな先に食事を始めた筈なんだけど…

戻ってみたらシエルさん以外死屍累々…なんでやねん。



「シエルさん、僕が離れている間に一体何が?」

「解らないのよ…みんなご飯食べたら突然苦しみ出して…」


お皿に残っているモノに目を向けると、普通に美味しそうなスープが湯気を立てている。

普通の人なら出されたら食べてしまうだろう…でも魔法使いの僕には解る。

―――――――なんか物凄く禍々しい魔力が、皿から溢れ出ているのが!!。


「な、なんというダークマター」

「ダークマターは地上に存在出来ないのよ?すぐに拡散しちゃうから専用の魔力釜が―――――」


いやいや、そういう魔法学的意味では無くてですね?

というかなに訳わかんない事言ってるの僕?


「今日の料理作った人は誰なんです?」

「私よ?おかしいわねぇ?いつもとおんなじように作ったのに…元気が出る様に薬も混ぜたのに…」

「……明らかにソレが原因じゃないですか?シエルさん」


シエルさんが懐から取り出した、これまた危険色ばっちしな液体の入ったビン。

つーか表示にドクロついてますよ?どう考えても原因それですね?


「あら?あたしも同じモノ食べて平気だったのだけど?」

「……ちなみになんですけど、その薬って本当に栄養剤なんですか?」

「ええ、あたしの若さの秘訣の一つなのよ?せっかくだから皆におすそわけしようと思ったのに…」

「若さについては聞いて無いですけど…材料何なんですか?」

「えーと、ドラゴンの生肝にマンドラゴラのエキス、ベヒモスの牙の粉にドライアドの花を加えて、

 フングスの胞子を混ぜた上に――――」

「それ、魔法使いじゃ無い普通の人間が食べても、平気なんですか?」


どの材料も容易には手に入らない上、自称神から貰ったと思われる僕の中の魔法知識によると、

下手に魔法耐性が低い人間に使うとヤバいみたいなんですけど?


どれもコレも混沌やら闇やらの魔力を内包してあるモノばっかだし…

闇属性に耐性ないと死ななくても寝込む事確実だと思うなぁ…。


「……………あ!そっか!」

「忘れてたんですね?そうなんですね?」

「楊枝のほんの先っちょ程度だから大丈夫かと思ったんだけど…」


――――――――ちょっと~シエルさん?コッチ向いて喋って下さいヨ?


「あの…とりあえず皆を介抱しないと、なんかヤバそうですけど?」

「そうねぇ、面倒臭いけどしょうがないか。全くこの程度の魔力で倒れるなんて情けない」


いや、普通食事で倒れるなんて想像出来ないと思いますよ?

しかし紅すらも倒すとは…恐ろしいですね。

こう言うのを“敵は内にアリ”っていうんだっけ?――――違うか。


「ぐぉ…あのいけすかねぇガキが10人!?」

「ネギこわい…ネギ怖い…ネギコワイ…」

「あは…ここどこかな?…え?天国?」

「………………むぅ」

「弓も良いけど…剣もいいなぁ…」

「か、かなめ~…ご飯抜きは勘弁…」


―――――皆結構うなされてるなぁ…。

ちなみに上から親方、青年Aことルーズさん。

そろそろ本気でヤバそうなとこに迷い込んでるのがキースさん。

―――――後はまぁ…台詞で解るでしょ?


「とりあえずキースさんの体力が本気でヤバそうですから、回復魔法かけときます…」

「そうねぇ、じゃあかなめ君お願いね?こうなったら自然と魔力が抜けるのを待つしかないわ」

「……町につくの遅れそうですね」

「まぁ…ゆっくり行くのも良いんじゃない?」


まだ昼間だし、街道沿いに居るから魔獣の心配はあまり無いけど、遅れちゃわないか心配だ。

幸いなことに予定よりも順調に進んでたらしいから時間的余裕は十分にあるんだよね。


「う、うう…ウリィィィィ!!」

「はいはいキースさん、いま楽にしますからね?キュアウィンド」

「ガ、ガク…」

「いやガクって口で言う普通?」


回復魔法をちょっと意識無いくせに錯乱中のキースさんにかける。

――――考えてみると、この回復魔法も万能なんだよねぇ。


傷を治すのは勿論のこと、傷口の消毒や解毒、解呪まで何でもござれだもん。

風邪だって引き始めだったら効果あるし、マジで万能っス!

まぁその代わりブラストの三倍疲れやすいんだよねぇ…魔力的な意味と体力的な意味でもさ。

何気に僕の魔法、体力も使うみたいだし。


「おおう…か、かなめぇ~ご飯野菜だけなんて…」


一体紅はなんの悪夢を見てるんだろうか?というかご飯のことばっかじゃない?


「ぐ…ガ、ガキが来るんじゃねぇ!親方流気合砲!!」

≪ドゥン!!≫

「ミギャっ!!」


あらら、こっちはコッチで大変な事に、意識が無いから威力は無いけどルーズさんご愁傷様。

一応回復魔法かけとくから、まぁ頑張って?


「…あ~アルテミスの弓だぁ~…」

「………………………………むぅ」


一方コッチは静かなモンで…というかルードさんどんな夢見てんだ?

一人だけ沈黙を守るなんてルードさんらしいと言えばらしいんだけど…何だかなぁ。


「さて、とりあえず平らな場所に寝かさないと…」

「私も手伝うわ」


とりあえず、僕は倒れたメンバーそれぞれを寝袋広げた所に運ぶ事にする。

何気に皆を運ぶ時、魔法でシエルさんも手伝ってくれたから、罪悪感はあるみたい。

最初は近寄りがたい人だったけど…良い人なんですね。


「う~…水くれぇ~」

「「「みずくれ~」」」


―――――――実は皆…本当は起きてんるんじゃないでしょうね?


***


結局この不幸な事故(人災とも言う)の所為で、半日は強制休憩の時間になってしまった。

まぁ運の良い事に、ココはすでにドラニ公国領に入っていて、町にほど近い場所だ。

町に近づけば近づくほど、強盗窃盗盗賊その他は出にくくなる。

魔獣はそうでもないが街道の魔獣避けの石塔がある為、余程の大物でも無い限り襲ってはこないだろう。


「ふぃー皆なんとか落ちついたよ」

「お疲れ様ね」


―――――――まぁ、その半日の間殆ど僕とシエルさんが皆の看病してたんだけどね。


「みんな意識飛んでる筈なのに動き過ぎだよホント…」

「まさか私の料理でこんな事になるなんて、思っても見なかったわ」


何故か意識無い筈なのに、寝言は言うわ技を繰り出すわ…

あまりに酷いからIT大盾裏返してかぶせちゃったくらいだもんね。


なんかIT大盾の裏で阿鼻叫喚な叫び声が2人分程聞こえたけど…まぁ大丈夫でしょ。

二三回様子見ては回復魔法乱れ撃ちしといたからね。


「まぁとりあえず一息入れましょう?はいコレ」

「あ、どうもありがとうございます。お?スープですか?結局お昼食べて無かったからちょうどよかった」

≪――――ゴクゴク≫

「ふぅー温まるなぁ……………ん」






―――――はいココで問題!!

Qみんなが倒れた時の原因は?――――Aシエルさんのスープ。 






「あ、あのぅ…コレってあのスープ?」

「ええそうよ?温めなおしたの。何か問題ある?」

「いや問題ありで……あり?何とも無い?」


おかしい!確かに飲んでしまった筈だぞ?!もしかして皆が倒れたヤツじゃないのかコレ?


「あなた一応魔法使いなんでしょ?これくらいの魔力でどうにかなるもんじゃないわよ」

「あ、そう言えば僕、一応魔法使いだったっけ…あ、でもちょっとくらくらするかな?」


う~ん、何だか胸やけッポイ感覚…いやどっちかっていうと船酔い系?

とりあえず慣れて無い感じが気持ち悪い。


「くらくらする程度なら問題ないわ。むしろ効果が出ていると考えて良いわね」

「はぁ?まぁ良いですけど……あ、ホントだ。だんだん治まってきた。」


なんか身体が適応したのか、飲んでも全然平気になってきた。

魔力に慣れてしまえば、このスープ美味しいなぁ。


「しっかし、なんじゃかんじゃあって騒がしい護衛任務でしたね?」

「あらあら、帰りもあるんだからこの程度はまだ普通の範疇よ?」

「――――そうですね……もう絶対変な薬は入れないでくださいよ?」

「そうねぇ確かに皆に倒れられると厄介だし“みんな”のヤツには入れない事にするわ」



―――――――なんだかある部分が強調されていたような気もするけど……まぁいいか。



「ところでどう?なんか身体楽になって来たんじゃない?」

「おろ?言われてみれば――――」


そう言えばさっきまで介護…じゃなくて看護で疲れてたのに、なんだ楽になってるぞ?

えーと、やっぱりあの薬のお陰でしょうか?


「とりあえず魔法使いに使う分には大丈夫そうね」

「みたいですね……皆大丈夫かな?」


ここまで気が動転してた所為でずっと介抱してたけど…

まさか紅まで倒れるとは思っても見なかったなぁ。


「多分大丈夫よ。むしろ起きたら身体が楽になっていて驚くかもしれないわよ?」

「まぁ皆の場合只単に“魔力酔い”ですからね」

「そういうこと」


魔力酔いとは―――――魔力に酔う事ですハイ。

え?そのまんま?仕方無いねぇ、じゃあ延々ダラダラとした説明を……え?ソレはいい?


じゃあ、まぁ簡単に―――――――


魔力酔いっていうのは、その名の通り自身の持つ魔力以外の強力な魔力に対する拒否反応の事だ。

この症例にかかるのは、例えば長時間高濃度の魔力に晒されたとか…

何か大魔力を含む何かを体内に取り込んだ時に起こる。


本来、生物における体内に留めて置ける魔力の量は、鍛錬した・して無い等の個人差があるけども通常は一定である。その上限以上に、魔力を無理やり取り込もうとすれば、当然、器たる身体が耐えきれなくなって拒絶反応をおこすって訳。


皆が倒れたのも、上限以上の魔力を身体の中に取りこんじゃって、

その所為で身体の防衛機構が働いた結果という事だ。


ありとあらゆる…森羅万象のモノに宿る魔力は、

物質だけじゃなくてアストラルとか呼ばれる領域にも関与がある訳で……。

下手すると異形の姿に原子配列変換が起こっちゃったり、

精神が破壊されて一生廃人なんてことになりかねない。


まぁ簡単に言えば取り過ぎ吸いすぎには気をつけましょうって事なのさ。

――――――――お酒やタバコとおんなじだね。


以上、自称神から頂いていた知識と、ラジャニさんの本屋にて手に入れた知識を

つなぎ合わせた穴だらけ魔法理論のコーナーでした!!あーしんど…。



「………ふむ、楊枝程度でも副作用アリ。製品化にはまだ程遠いわね」



……なんかシエルさんが手帳片手にブツブツ言ってるけど……。

もう説明とかで疲れたから気にしない事にしよう…ウン。



「やっぱりバンシーの涙は強力すぎたわ…次は妖精の粉を試してみましょ。」



訂正、やっぱり気になります。

誰かこのヒト何とかしてぇぇぇ!!!



「「「「「「う~ん」」」」」」



―――――――――皆ダウン中でした……アカンやん。



ちなみに次の日の朝、ダウンしていた皆さんは完全復活を果たしました。

序でにお肌つやつやの、髪のキューティクルも復活の、滲みそばかすが消え去るだの、

という効果が発揮され、紅除く全員が5歳は若返っていた。


そして、何故か昨日のお昼時からの記憶が、全員消え去っていました。

どうやら無意識のうちに封印したッポイです。




――――――――さ、流石現役の魔法使いの薬……恐るべし。





・ども作者のQOLでっせ。


久しぶりにアクセスのヤツみたらPVが何時の間にか8万超えていました。

いやホント、この作品を読んでくれてくださる皆様に感謝って奴ですハイ。

これからも更新遅めですけど頑張ろうと思います。

―――――――以上、作者からでした。


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