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第18章

〜出歩いて…落っこちて・第18章〜






3日後、倉庫区画にある集合地点に僕たちは来ていた。他の護衛メンバーと合流する為だ。

今回のメンバーは僕たちを含めて6名で、それにプラスして馬車を操る人が2名追加される。

ちなみに集合場所は馬車をとめておくためのスペースで、ココから護衛する馬車に乗り込むのだ。


「13番…13番……あった!ここだ」

「馬だらけだな」

「まぁ馬車止めておく場所だしね」

「クソもいっぱいだ…」

「……紅にはキツイかもね」


匂いがね…まぁそれよりもだ。


「とりあえず一番乗りだねコレは」

「早かったかのか?」

「かな?まぁ気軽に待とうよ」

「………正直長いしたく無いけどな」

「……くぅ」


――――気持ちは解らないでも無いけどね。


***


「―――ねぇ君達、ちょっと良いかい?」

「はい、なんですか?」


待ち合わせ場所の馬車乗り場にて待っていると、革製の鎧と楯とブロードソードを装備した、

いかにも冒険者らしい出で立ちの男性が話しかけてきた。

たたずまいから察するに、まだ駆け出しッポイ感じを受けるなぁ……Dか良くてCってとこかな?


「―――あの、聞いてるかい?」

「あっ…すいません。なんでしたっけ?」

「いやあの…ここってギルドにあった護衛依頼の待ち合わせ場所だよね?」


おろ?このヒトも一緒に行くパーティーの一人かな?


「そうですけど…あなt「ああ!よかったぁ〜これたぁ〜!!」……はい?」

「ちゃんとこれてよかったぁよ〜!!!」


えと……この場合どう反応してあげればいいのかな?


「あ、あの〜「…なぁ、お前誰だ?お前も護衛組の一人なのか?」」


紅もやや呆れた感じで目の前の彼に話しかける。


「ん?ああゴメンゴメン自己紹介して無かったね?今回この依頼で一緒に護衛をする冒険者ギルドのキースだ」

「僕は五十嵐かなめ」

「紅だ。よろしくだぜ。あとコイツはチビ」

「くぅ!」


おお、やっぱり同じ依頼を受けた人だったのね。

で、ところで―――


「あのぅ…何故に先ほど叫んだのでしょうか?」

「ギク」


いやギクってあーた。


「あ、あはは…実はその…オレは地図を見るのが苦手っていうか」

「方向音痴か?」

「い、いいや違うぞぉ!断じて違う!只単に…」

「只単に?」

「…………はい、すいません…ワタクシ方向音痴です。」


うわぁ…マジで?というか冒険者としてソレはどうなのよ?

つーか暴露するの速いなぁ。


「方向音痴って…」

「うん、生まれつきらしくてさ。前にパーティー組んだ時なんてダンジョンの中で一人迷って一週間出られなかった。」


………よく生きてられましたね?いやホント。


「アンタ…よく生きられたな?」

「ゴメン、僕もそう思う。」

「あはは…笑うが良いさ…」


――――いや、笑わないけど…ねぇ?


「それって冒険者として致命的なんじゃねぇの?」

「グハッ!!」

「キ、キースさん?!ちょっと紅!いくらホントの事でも言わないであげるのも優しさだよ!!」

「君が一番…残酷だぁ…」


バタンと倒れるキースさん…あは、止め刺しちった☆


***


「―――まぁその事は置いといて」

「立ち直るのはや――モガ」

「(しーッ!下手な事言うと落ち込むから黙ってようよ!!)」


ふぅ、危ない危ない…下手なこと言ってまた鬱な空間が広がったら堪ったモンじゃ無い。

こう言うのはスルーするに限るのさ。処世術処世術。


「――――という訳でオレは剣を使うんだけど、キミたちは?」

「え?ああっと―――」


ゴメン、さっきから話し全然聞いてませんでした。

ええと多分自分の獲物自慢……だよね?


「僕は一応魔法使えるから基本はスタッフかな?」

「俺は武器ならどれでも臨機応変に使えるぜ?ちなみに今回はポールアックスとブロードソードだ」


そう言って紅は武具を見せる――あ、僕はIT(イマジンツール)で造るから、今は持ってないよ?ココじゃあ良いスタッフ買えなかったしね。

キースさんは紅の武器を見て少ししたらいきなり固まった。ステータス異常が表示されるなら石化って表示されそうなくらいに。


「ね、ねぇ?その武器ってもしかして魔法銀製?」

「?魔法銀?なんだそりゃ」

「魔法銀…ミスリルの事ですね?」


まぁミスリル製なんて普通は手に入らないモンなぁ。


「そう、ソレ!ミスリル!で、どうなの?」

「えと…確かにミスリル製ですけど?」

「本当に?」

「本当ですけど何か?」

「冒険者なら一度は手にしてみたいと思うあのミスリル製なのか?」

「さっきから言ってるけどそうですよ」


どうやらミスリルってヤツはかなり貴重品らしいね。

いままで誰も言ってこなかったから気が付かなかったけどさ。


「もしかして…君たちってかなりのベテラン?」

「いいえ?僕たちこの仕事はじめて一カ月もたって無いですよ?この武器もダンジョンで拾ったモノだし…なぁ紅?」

「ああ、実質俺達のギルドランクはCだしな。」


やっぱり豪華過ぎなのかなぁ?この装備。でもコレがあったダンジョンはこの町の近くだったけどなぁ?もしかして未発見のダンジョンなのかな?

でもまぁその前に―――――


「おーい、キースさん大丈夫ですかぁ?」

「…………」

「ダメだ、完全に固まってやがる」

「くぅ」


ショックで固まっているキースさんをおこさなきゃね。


***


――――さて、なんとかショックから立ち直ったキースさん。

いまだ全員集まらない為、色々と会話をして情報を交換し合った。


どうやらこのキースさん、見た目通りの駆けだしで、一カ月前にギルドに入ったばかりなんだそうな。

一応色々と経験は積んだものの、生来の方向音痴の所為か、とにかく良く迷う為依頼人の居る場所にたどり着けないことも多かったらしい。

この間の魔獣が襲来した時などは、自分が行くべき城壁への行き方が解らず、さまよっている内に何故か下の門から出てしまったからさあ大変。

Aランクの人の背後に周り必死で逃げ回ったお陰で助かったんだそうな……というか本当に今まで良く生きてたねこのヒト。


――――で、キースさんの不幸話に引いていたら、徐々に周りに護衛の人が集まり始めていた。


集まったのは僕たちを含めて6人。

僕や紅、キースさんの他に、剣士さんであるルードさんや弓使いであるロアルさん、そして僕と同じく魔法使いであるシエルさんだ。


ちなみに剣士のルードさんは、物腰が静か…というか無口で何話しても反応が薄い人で、ロアルさんはややガラが悪い。

シエルさんは名前から解る通り女性であるが、なんというか近寄りがたい雰囲気を持っている人だった。

で、人数もそろい、しばらくして指定された時間通りに依頼人がやって来たんだけど――――


「ありゃ?親方さん?」

「あん?オメェあん時の坊主か?」


―――――なんと依頼主は親方さん(第12章参照)だった!

そうかぁ親方さんの名前ゲイルさんっていうのかぁ…全然知らなかった。

そう言えばこのヒトも商人だったっけ?最初あった時はエル君と取引してたもんね。


「なんと運が良いこった!オメェらがこの仕事引き受けてくれるとはなぁ?期待してるぜ!」

「えと、あのソレはどういう…?」

「しらねぇのか?お前ら商人連中の間じゃ結構噂になってるんだぜ?仕事をキチッとこなすし、礼儀正しいってな?」

「まぁ…出来る事をしていただけですし…」

「おまけに一度も依頼で失敗した事ないそうじゃねぇか?それだけでもこの業界じゃ噂になるってモンだぜ?」


なんとまぁ、確かに出来る事しかしてこなかったけど…出来る範囲でしかしてこなかったしなぁ。

まぁギルドの仕事は信用第一だから?小さな仕事でもコツコツとちゃんと出来る方が待遇がいいのかもねぇ。


「それだけでもスゲェと俺は思うがな」

「あ、ありがとうございますゲイルさん」

「親方で良い、周りは皆そう呼ぶ。名前で呼ばれるとくすぐったくていけねぇ」

「解りました親方」


あぁ周りからの視線が痛い…でも何故かキースさんからの視線は尊敬の視線でこそばゆいよぉ。


「な、なんだか他の連中からの視線が変だぜかなめ?」

「う、うんそうだね。」

「さて、全員集まってる事だし、出発すんぞ?ルーズが馬車持ってきたからそれぞれ乗りこんでくれ」

「「「了解〜」」」


そう言って親方さんとルーズ(12章に出てきた青年A)さんが持ってきた馬車に乗り込む僕等。

ふぅ、なんじゃかんじゃ何気にハードルあげてくれたけど、とりあえず僕たちは出来る事をしますかね。



***



ガタゴトと馬車がのんびりとした歩調で街道を進む。

車とかになれた現代人の感覚からしたら物凄く遅い。

僕はのんびりとした雰囲気の中で―――――


「お尻痛い(泣)」


――――馬車から下りて横を歩いていた。いやだって座ってたら痛いんだもの……痔じゃないよ?


この世界は文明のレベル的にほぼ中世の時代だけあり、街道は未整備なんだよねコリが……。

で、凸凹とした道が続いている訳なんだけど、なんと馬車には衝撃を吸収するサスペンションが付いて無いのだ!

当然、長時間ゆられていれば、こういったのに慣れて無い僕とかはすぐに身体が痛くなっちゃう訳で……まぁそう言う事。


とりあえずホントの事言うと恥ずかしいから、見張りって感じで馬車の横を並走してるって訳なんさ。

でも、ホントのんびりとした旅だなぁ。と言ってもまだ町を出てから1時間も経って無いけどね。


「考えてみりゃ久しぶりの外だよな?かなめ」

「ん?ああ、そう言えばそうだよね。結構アノ町に長い事いたモンなぁ」


歩いていると、馬車から顔だけ覗かせた紅に話しかけられた。


「あの森に居た時はまさかこんな風な生活する事になるとは思わなかったぜ」

「ふふそうだね。でもあの森かぁ…何気に生活するには良いところだったなぁ…空気美味しかったし」

「マッ、今はこう言った風に旅出来るのも楽しいけどな」

「言えてる」

「なぁ何の話ししてんだお前ら?」

「お、キースさん。いや暇だからちょっとね」

「確かにのんびりしてるモンなぁ〜」


のんびり街道を歩きながら雑談をする僕たち。

その日は特に何か起こる事も無く、日が傾いたところで、野営する事となった。


***


≪パチパチパチ……≫


薪が燃える音を聞きながら、夜の見張りを行う。

炎というモノは、獣を寄せ付けない様にもするが、逆に寄せ付けてしまう場合もあるからだ。

そう言った訳で交代で見張りをしているのである。


暗闇に漂うは静寂……なんちゃってとか思いつつ、正直あまりにも暇である。

スキルを使えば数キロ単位での気配の察知が可能な為、ある程度きを付けていれば良いのだから。

最初のウチは星を眺めていたりしたんだけど、考えてみたらこの世界の星座と僕の居た世界との星座が符合する訳も無い。

ソレを思い出してちょい鬱になったけど、まぁ満天の星空は見ていて気分が良い。


――――とりあえず、他の人と交代するまで、魔力を使って色々遊ぶことにした。


「………ん」


目を閉じ意識を集中させる。

丹田や心臓から腕を通って指先に一本の線が付くよう意識して、魔力が通るラインを作ってやる。

すると、まるで血管の中を暖かい血液が巡るかのような感覚が、より一層強く感じられる様になってくる。

後は指先に集まったソレを更に収束させ、指の先にボールの様なものが浮かんでいるのをイメージしてやれば―――


「―――出来た」


―――――1個の魔力の玉が完成するのデス。


「後は…集中ッ!」


浮かんでいる魔力球…今度はそれに魔力を更に注ぎ込む。

只注ぎ込むのでは無く、大きさをそのままに圧縮し収束させ、それでもなお魔力を注ぎ込む。

ある程度やってやればあら不思議、見た目は変わらない癖に、有り得ない程魔力を内包した球が完成した。


―――――まぁココまではいつも通りなんだけどね。


「ふん」


僕はその魔力球をそのまま投げた。

ビューンという擬音が付きそうな感じで跳んでいく魔力球。


「おっと…戻れ」


そう言うと、まるでヨーヨーの様に戻ってくる魔力球…フー危ない危ない。

あれアア見えて実質トンでも無い魔力が内包されているのから、下手に何かに当って魔力が解放されたらヤバい事になるんだよね。

以前アレの3分の1程度で圧縮したヤツが壊れた時、辺り30m位が吹き飛んだ位だ。


「うん、誘導制御の方は問題無いね」


――――そう、実はコレ魔力の誘導制御の訓練なんだ。


ラジャニさんの本屋にあった魔導書に記されていた訓練法の一つで、

自分の身体から離した魔力を自在に操る為の訓練法の一つなんだそうな。


この訓練は何気に毎日行ってたりする。何故かというと魔力は身体から

離れると制御が凄く難しくなるのは以前話したよね?


一応誰にも負けない魔力は持っているモノの、用心に越したことは無いし、

何よりこうして未知の力を自在に操れるようになるのは面白い。

それに最初のウチはまったく自分の意志では動かす事が出来なかったんだけど、

最近になって遠隔操作のコツを掴むことが出来てきた。


「よっと」


魔力球を左右に動かす、ちゃんと動くことがわかったら今度は上下前後斜めと続き、最終的には夜空をまるで鳥の様に飛翔させる。

まだかなりの集中力を入れないと使えないけど、それでも大分形になってきた事に、自然と頬がゆるんでくる。


そして、最後に魔力球を空高く打ち上げ、自身の操作が届く限界を見極る為、いけるところまで粘ってみた。

魔力を大分込めた為、かなりのスピードで飛んでいく光の玉、すでに肉眼では見えないけど感覚的につながっているのはまだ解る。

大体30kmを超えただろうか?正直かなり離れてしまった為、どれほど離れたのか解らない。

でも未だに感覚的には感じられる為、飛ばした魔力球が健在なのは解った。

というかあまりに射程長く無いかコレ?目視出来ないとこまでいけるってどうなのよ?


「―――まぁいっか…戻ってこ〜い」


僕はそう念じて魔力球を帰還させることにした。やっぱ規格外だよねぇこのステータスは。

もうチョイ練習すればホーミング弾みたいに追尾させることも可能になったりして…。

序でにIT(イマジンツール)も発動させてれば、空飛ぶ剣とか……うわぁファンタジーというかカオス。

で、それからしばらくすると、目の前に打ち上げた時とは変わらない魔力球が浮かんでいた。


「ふぅ…」


僕はいつも通り、戻ってきた魔力球への魔力供給をとめて、霧散させてやる。

コレでいつもの訓練は終わった。

で、見張りに戻ろうと思い警戒のスキルを発動させる……ん?


「誰ですか?」


なんかかなり薄いけど人の気配が感じられた。この気配はたしか……


「……シエルさんですか?」

「あら、気配を消す魔法は使ってたのにバレてしまったのね」


ふと気が付けばいるシエルさん、そう言えば次の見張り役はこの人だっけ?

でもなんで気配消してるんですか?


「その方が面白いからよ」


どうやら顔に出てたらしい…といかアナタそんな性格でしたっけ?


「あら、面白いモノを見て喜ばない人間がいて?」

「面白い…モノ?」

「ええ、貴方の魔法…かなり面白いわ」


そりゃ神さまからのチート補正いれられてますからw


「ねぇ?さっきの魔法、どこでおぼえたの?」

「えと…魔導書で覚えました」

「ホントに?誰かに師事した訳じゃ無くて?」

「ええ、ラジャニさんとこの本屋で見た魔導書をよんで…」

「ラジャニですって!?」


突然目を見開いくシエルさん。


「ココんとこ姿を見ないと思ったらクノルに居たのね…まったく」

「あ、あのシエルさん?」

「ねぇラジャニにあった事あるのよね?」

「えと、確かにあった事ありますよ?顔見知りですし…」


≪ガシッ!≫

「え?ええ!?」

「教えなさい!クノルの何処にラジャニが居るのか!」


いきなり肩掴まれた?!うわっ!ちょっとゆすらないで!!


「い、言いますから!ゆすらないで!というか落ちついてください!!」

「あらごめんなさい」


あぅぅ…頭が揺れるぅ…何なんだよぉ一体?。

彼女は興奮を抑える為一息ついた後、見てる方が底冷えする様な笑みで――――


「ふぅ…さて教えてくれるわよね?」

「イ、イエスマム…(ガタガタ)」


――――そう聞いて来た…ラジャニさん、アナタ一体何したんですか?


この後、彼女に僕が知っている事を全て話した。

結局ラジャニさんと何があったのかは教えては貰えなかったし、正直聞きたいとは思わなかった。

僕が覚えている事を全て話し終えると彼女は――――


「情報ありがとね?それじゃあ、おやすみなさい」


――――といって帰ってしまった。


正直やっと解放されたので、安心したのもつかの間…。


「あれ?僕見張り続行?」


結局次の交代のキースさんが来るまで、見張りを続けるハメになってしまった。

でもラジャニさんとシエルさん、意外なところで人のつながりがあったんだなぁ。

そんな事を考えながら結局見張りをやっちゃった僕は甘い人なのかしら?まぁ良いけど…。


―――ちなみにその次に交代に来るはずだったキースさんがまったく起きなかった為、結局寝ずの番をしてしまったのは余談である。






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