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第16章

・前のと続いてます。


〜出歩いて…落っこちて・第16章〜







―――――戦いは今だ続いていた、すでに日も落ちて辺りは暗くなり始めている。

下で戦っていた高ランクのギルドの人達も、城壁の中に撤退した。

獣は人間よりかは夜目が効く為、夜に闘うのはある意味自殺行為である為だ。


魔獣の方も夜目が効くだけで、夜中は積極的には攻撃してこない為、今の内にそれぞれ休憩を取る運びとなった。

僕たちも、今日はもう交代して良いとい言われた為、いつも泊まっている安宿に戻って来ていた。


「それにしてもよぉ、今日はかなり倒しちまった気がするぜ。」


隣で紅がのんびりと伸びをして身体をほぐしながら言った。


「そうだね。なんせかなりの数だったし……あッ!そう言えば!」


僕は手帳からかなりLVUPの音が聞こえていたのを思い出し、どのくらい上がったのか確かめる事にした。



「さてさて、どのくらい上がったのかなぁっと――――」



HP(体力)………………………3600/3600     

MP(精神力)…………………6130/6350

LV(現在のレベル) ……………LV35       

EXP(現在の経験値) ………2705/12056

STR(力の強さ)………………145

INT(知性) ………………… 9400

DEX(器用さ)…………………122

AGL(素早さ)…………………234

CON(耐久力)…………………118

ATK(物理攻撃力)……………146

MAG(魔力) …………………9430

HIT(命中率)…………………125

AVD(回避力)…………………251    

RDM(物理防御力) …………143

RST(魔法防御力)……………955         

LUC(幸運)……………………10

AP(アビリティの装備容量) 113/129

CP(技及び魔法の装備容量)…53/139



お?おおッ!?上がってる!幸運が上がってるぅ!!!!ヤッタッーーーー!!!!

今まで上がんなかったけど良かったぁ〜コレだけは上がらないステータスなのかと思ったよ。


しっかし、イノシシ(仮)が相手なのにLVが6も上がるとは…………はて?

まぁ雲蚊の如く大軍だったからなぁ、ブラストをショットガンみたいにして集団で屠ってたお陰かな?


「どうだかなめ?上がってるか?」

「うん!幸運がやっと上がったよッ!!」

「へぇ?どれどれ……………………って、一つだけじゃねぇか?」

「立った一つ上がっただけでも僕にとっては大きな一歩!希望の光なんだよッ!!」


――――――だって幾らなんでもあの数値はヒドイと思うんだ。


「そんなもんか?」

「そんなもんだよ…」


紅はふ〜んと言うと、もう興味が無くなったのかチビでモフモフし始めた。

ふぅ、僕にとってこの幸運値の低さは、この世界における不安の中でも大多数を占めてるのに…

そこんところ解って無いよなぁ〜………まぁ解れって言う方が無茶か。


「そう言えばなんか魔法覚えたんだよね〜」


――――とりあえず話題を変える事にした。


「さてさてあの時は戦闘に集中していたからあんまり覚えて無いけど――――」


そう言いつつ、手帳の魔法の項目を見てみた。




New魔法


・シェルショット   

【ブラストの上位魔法、圧縮した魔力を空中にて広範囲に拡散させる。込める魔力で威力・範囲共に変化】

下級魔法・射程 中〜遠距離  消費MP50〜  必要CP25


ふむふむ、アレはブラストの上位魔法だったのね。

成程なるほど…まぁ感覚的に解ってたけどね。


僕は自分の使う魔法の事を完璧に理解している訳ではない、正直殆どフィーリングで使っている。

まぁ例えて言うなら………………家電みたいな感じ?

アレってさ、どうして動いているのか知らない人でも使えるじゃない?


テレビや電子レンジや冷蔵庫、エアコンがどんな原理で動いているかなんて普通の人には解らない。

だけど、ソレを使う事は出来る。

僕の魔法もそれと一緒、自称神のお陰かは知らないけど、魔力というモノを感覚的に知覚し、操作はできる。


ただ、使っている魔力がどんな原理でこうなって、ああなってとかなんて結うのは全然解らない。

解るのは、魔法を覚えた時に脳裏に投影される理解を超えた術式やら呪文やらそんなの。

それでも魔法が使えるのは、強くイメージするだけで発動するからだ。

まぁファンタジーで良くある話だよね。


お陰で色々無茶な魔法を考え付いても実行する事が出来るんだよね。

感覚だよりだから手探りではある訳なんだけど――――閑話休題。



(そう言えば…紅のステータスはどうなってるんだろう?)

なんとなく気になった僕は紅に了解を取り、手帳に記された紅のステータスを覗いてみた。


HP(体力)……………………10800/10800     

MP(精神力)…………………1380/1380

LV(現在のレベル) …………LV69       

EXP(現在の経験値) ………3570/30501

STR(力の強さ)………………8920

INT(知性)……………………360

DEX(器用さ)…………………480

AGL(素早さ)…………………730

ATK(物理攻撃力)……………9200

MAG(魔力) ………………… 362

CON(耐久力)…………………5600

HIT(命中率)………………… 804

AVD(回避力)…………………630    

RDM(物理防御力) …………4817

RST(魔法防御力)……………676         

LUC(幸運)……………………1000

AP(アビリティの装備容量) 120/120

CP(技及び魔法の装備容量)…160/160


「…………………………」

―――――うわぁ……LVが10も上がってる……。


そう言えば槍投げが有効だと知った瞬間、嬉々として投げまくってたもんね。

そりゃあLVも上がる訳だよ……………僕も鍛錬入れようかなぁ。


あ、もしかして僕のレベルが6も上がったのってパーティー経験値のお陰?

道理でね〜LV上がってる訳だよ…だって彼女の方がアノ後いっぱい倒してる訳だし。

彼女の幸運値も―――アレ?何だか僕の目からしょっぱい水が……く、悔しくなんか無いもん。


…………………


……………


…………


次の日の朝になったけど、いまだ魔獣の群れに町は囲まれている為、厳戒態勢は解除されていない。

宿屋の女将さん曰く以前の経験から察すると、あと数日もすればいなくなるらしい。

しかし、その間は当然のことながら外部への行き来が出来なくなる。


その為経済的な損失はかなり大きいと、たまたま外で食事をしに来ていた倉庫番のジョンさんから聞いた。

一日だけで損失は数十万Gに上るらしく、出来るならば早いとこ撃退して欲しいらしい。

眼の下に隈を作って蒼白な顔して『書類が…仕事が終わらない…』とブツブツ言っている姿はあまりにも痛ましい。

戦闘している僕たちも大変だが、事務方には事務方の苦労があるってこったね。ご愁傷様。



それから更に数日後……。

意外とあっさり魔獣の群れは去っていき、町の防衛戦は終わりを告げた。

でも本当の仕事はその後だったりする。


「では〜みなさ〜ん!剥ぎ取っちゃってください〜。」

「「「「了解〜♪」」」」


――――受付のお姉さん(未だ名称不明)のユル〜イ掛け声と共に、ギルドに所属している人々が一斉に魔獣の死体に群がった。


何をしているか?理由は単純、資源の有効活用だ。

この時期になると襲ってくる魔獣達は、イノシシ(仮)が殆どであり、彼らの肉、毛皮、骨の全てが資源として使う事が出来る。

しかも元手はタダ、そんな上手いモノを放っておく程、この町のギルドは甘く無い。


肉は食用に、毛皮は家具や服に、骨や牙は加工して家具や民芸品へと化けるのだ。

そう言う訳で大量の材料が必要な訳なので、町の外に転がっている死体が腐らない内に、

人海戦術で町の中に運び込むのである。

魔獣の群れの襲来はある意味自然災害……でもそれすら利用する人間の逞しさってヤツを垣間見たって感じだね。


―――――まぁそんな訳で、負傷とかはしていない人達は、殆どこの剥ぎ取り作業に参加してるんだ。

もちろん強制じゃ無いけど……そのなんて言うか場の空気がね……動けるならやらんか〜いッ!って感じなもんで……まぁそう言う訳。


「さてIT(イマジンツール)包丁ver」


僕はITで包丁を作る――――――と言っても普通の包丁じゃなくて、刃渡り1m程の解体用包丁だ。

魔力次第で長さの調整も出来る便利な代物である。


「じゃあ僕が解体するから、紅は毛皮とかの素材を運んでくれ。」

「あいよ」

「チビは………まぁそこで応援してて?」

「く〜ッ!」


僕は昔取った杵柄ならぬ、森で生活している内に覚えたやり方で、素早く魔獣の身体を解体していく。

いやまさかこんな場面で役に立つなんて、人生ホント何が起こるか解らないもんだね。


「お、アンさん達もガンバっとるなぁ?」

「あ、ギズボンさんっておおッ!?」


後ろから話しかけられ振り向くと、そこに居たのは毛玉のお化け………等では無く、大量の毛皮を一度に運んでいるギズボンさんでした。


「びっくりした〜、毛皮のお化けかと思っちゃいました」

「かかか、驚かせてすまヘンなぁ?一度に運んだ方が楽やさかい。」

「……いや、多すぎるだろう」


―――紅、そこら辺は突っ込んだらいけないよ。だってギズボンさんだし…。


「―――そういえばアンさん達、この町での魔獣の襲撃は初めてか?」

「そうですね、確かにこの町に来てからは初めてです。」


だってこの世界で最初の町がここだしね。


「ほうか、じゃあ素材剥ぎの作業が終わっても残ってみ?おもろいモンが見れるで?」

「おもろいモンって何だよギズボン?」

「紅嬢ちゃん、ソコは秘密ってヤツや。今ゆうたらおもろう無いやろ?」

「そんなもんか?」

「そんなもんやろ?」

「そんなもんだよね」


おもしろいモノ?なんだろうか?とりあえず言われた通り、作業が終わっても残る事にした。


……………………


…………………


………………


殆どの作業が終わりを迎えたのは正午になってからだった。

辺りには剥ぎ取る際にでたゴミが散乱し、地面は魔獣の血を吸って赤黒く変色し異臭を放っている。

僕たちはギズボンさんに言われた通り、残っているとギルドの受付のお姉さんが魔法使いの面々と共に現れた。


「それじゃあ〜皆さん〜いつも通りお願いしますねぇ〜?」

「「「「「了解」」」」」


彼らは軽く返事をすると、赤黒く変色した大地を蹴って、方々に散らばって行った。

なにが始まるんだろうか?


「お姉さん」

「あや?イガラシ君とベニちゃん〜どうしたの〜?」


―――――何をしているのか気になって、お姉さんに話しかけた。


「あら〜?そう言えば〜イガラシ君たちは今回見るのは初めて〜?」

「はい、だからつい気になって…」

「そうなの〜?でも私の口から〜聞くよりも〜見ていた方がはやいわ〜。ほら〜始まった〜」


彼女が指さした方を見ると、方々に散らばった魔法使いたちが杖を大地に突き立てている姿が見えた。

別にコレと言って何かしてるって訳じゃあ……


「なぁかなめ、なんか寒く無いか?」

「そう言えば……」


おかしいな?まだ昼間だから暖かい時間の筈なんだけど?


「うふふ〜始まりましたね〜」


受付のお姉さんはそう言うと笑みを浮かべてこちらを見ている。

でも何で突然気温が下がったんだろう?


≪バリ≫

「ん?コレは――――――霜?」


ふと気が付けばここいら一帯の地面が霜に覆われている。

むしろ地面が凍っている?なんで?


「完全に凍りつきましたね〜?それじゃあ第二段階〜おねがいしま〜す」


お姉さんがそう号令をかけると、遠くにいた魔法使いの人が杖を振う。

すると今度は風が巻き起こった。ただの風じゃあ無くて魔法の風だ。


その風は凍った地面を抉り取ると、竜巻のようにつむじを造り、中心部に向けて抉り取った地面を集めていく。

完全に集まったと思った瞬間、その凍った土が巨大な炎に包まれて燃えていった。

どうやら魔法使い複数人が同時に操作しているらしい。


血を吸った土はその炎で完全に燃やし尽され、残ったのはあまりの熱量に解けてガラス状になった砂だけになった。

辺りは抉り取られはしたものの、血の一滴も入っていない土地に仕上がっている。

正直この工程を見て唖然としている僕と紅を尻目に、作業は最後の工程に進んでいった。


「最後仕上げ〜お願いします〜」

「「「了解!」」」


最初に地面を凍らせた魔法使いたちは、何かを蒔いた後、再度杖を大地に突き立てた。


「うそぉ…」

「すげぇ」



―――――思わず僕達の口からそんな声が漏れる。



目の前では魔法使いの人が付きたてた杖から、まるで波紋が広がるかのように、緑の波が荒れ地を染め上げていくのだ。

そう緑……抉り取られ無残な姿をさらしていた土地が、ドンドン緑の草に覆われていく……というか驚くなと言う方が無理だ。

まるで奇跡の様なその光景も、土地が緑の草原に変りすぐに終わることになったけど、一度見たら忘れられない程衝撃的だった。



なるほど、コレは確かにギズボンさんが言った事にも頷ける――――コレは確かに面白い。

先ほど何か蒔いていたのは種だったんだろう……恐らく魔法か何かで一気に成長を促したんだ。

コレほど驚き、また面白いモノはそうは無いね。


「何だか夢みたいな感じだったな?かなめ」

「うん……正直まだ信じられないよ……でも」

「かなめ?」

「魔法って……凄いなぁ。」

「ああ、そいつは同感だ」


――――本当に不思議な光景だった……異世界に来てから一番凄いと思えたよ。


そうだ、今度ラジャニさんの本屋に行こう。

もしかしたら、さっきの魔法について何か書物があるかもしれない。


「紅、帰ろうか?」

「ああ」




――――魔法って本当に凄いッ!今日はまさにその言葉が似合う日になった。





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