第15章
・今回やや長めでヤンス。
〜出歩いて…落っこちて・第15章〜
――――ゴブリン討伐依頼から数週間が経過しました。
結局、ゴブリン達は懲り無かったのか知らないけど、数日後にはまた畑に来ているとギルドからの連絡で知った。
でもまぁ、依頼主のエリヤさんはあんまし気にしてないみたい。
どうやら幾ら追い払っても現れる事はこれまでの経験上良くあるらしく、気にしない事にしたとか……豪胆な人だね、ホント。
どちらにしても、また依頼書がギルドの掲示板に張り出された為、僕らはまた討伐依頼を受け、ゴブリン達を吹き飛ばしていたけど……。
―――結局戻ってくるんだよねぇ、アレらはさ。
でも農場のオーナーたるエリヤさんにしてみれば、
何もしないでゴブリンに荒らされるよりかは、お金払ってでもギルドに依頼した方が安いんだそうで。
お陰で、家を買うという僕たちの目標には随分と近づけたけど……なんか罪悪感。
実はコレと似た様な状況の依頼は他にもう一件あったりする。
それは“畑を荒らすイノシシをぶっ殺して”という依頼で、
エリヤさんのところとは違う農場だけど、似たような感じでイノシシに畑を荒らされているらしい。
―――ぶっちゃけ、この二件のローテーションで大分お金が貯まった事は言うまでもない。
まぁそんな感じで、いつも通り依頼をすませた後紅達と別れ、日課になりつつある本屋での立ち読みをしに、本屋へと足を運んでおります。
あのエル君と親方さんの“値段交渉”という名の喧嘩に巻き込まれた町並みも、何時の間にか元に戻っていたりする。
なんでも、親方さんが特に頑張ったんだとか……実際は町の人に徹夜で作業させられてたらしいんだけどね。勿論、青年Aも一緒に…。
―――まぁ僕には関係ないっと♪
…………………
……………
…………
本屋に入り、もはや所定の位置となった窓際近くの本棚へと向かう。
ココの本棚がこの世界における魔法の入門書が多く置いてある棚だからだ。
やっぱりね、オリジナルも良いですけど、ある程度ちゃんとした系統も知っておいて損は無いですよ。
「よいしょっと…」
高め位置にある本を手に取り、そのまま立ち読み。
う〜ん、至福の時間だなぁ………買わないからお店の人には迷惑極まりないだろうけどね
流石に本屋だけあって色んな情報の宝庫である。
ここのお陰で、この世界における常識を学ぶ事が出来たと言っても過言じゃない。
例えばこのクノルの町は、グランシュバッテと呼ばれる国に属しており、隣国であるドラニ公国との国境近くにあるとか。
その昔、戦争状態だったときに砦であった名残として、今でも町全体を城壁で囲んであるとか。
現在ではドラニ公国と協定を結んだため、交易地として繁盛しているとか。
この町からホンの数時間の位置に、国営の学園都市が存在するとか。
何気に交易地である為に美味しいモノが沢山あり、そういったのを売る屋台が町の名物であるとか。
時折、嵐みたいな喧嘩をする人がいるとか。地下に謎の迷宮みたいになった地下水道があったりとかetcetc…。
とにかく、この世界にはまだうとい僕の様な存在にとっては、ありがたいほどの情報が沢山置いてあるのだ。
おまけに魔導書の類も置いてある―――これほど面白いところはそうは無い。
まぁそう言う訳で、今日も情報収集を行おうとした矢先――――
≪バスバスバス……≫
「ケホッ…ハタキ使うならもうチョイ向こうでやってくださいよ?」
「ふん、買わない客ほど邪魔なモンは無いもんじゃな」
――――案の定、お店の人に邪険にされちゃってたりする。
でもさ、娯楽が少ないんだし、これくらい許してほしいなぁ。
「大体、本は知識を得る為のモノじゃ。しかるに中の知識に価値がある。
なのにお主ときたらソレをタダで持っていこうとしてるのじゃからなぁ。」
「まぁまぁラジャニさん、良いじゃないですか少しくらい」
「……4時間も居座る輩を少しとは言わん。お主も少しは自重せい!」
このちょっと古風な喋り方…というかお爺さんみたいな喋り方をするのは、このお店の店主ラジャニさん。
長い長髪を結った、何だか侍みたいな感じのこの人は、そう言ってハタキ箒を振り上げる。
一応このヒトの栄誉の為に言っておくが、外見の年齢は二十歳くらいである。
………本当の年齢は解らない………というよりか誰も知らないらしく、おまけに性別も不明だったり―――。
まぁソレは置いといて、これまた埃が凄い事に…まぁ、このヒト悪い人じゃ無いからなぁ。立ち読みばっかしてる僕が悪い訳で…。
「解りました!今度ギルドの仕事でお金入ったら買いますから!!」
「……期待せんで待っておる」
そう言うと奥に引っ込むラジャニさん。
なんじゃかんじゃ言っても、そうこちらが言うと引っ込む辺り、優しい人なんだと思う。
この本屋を見つけたのも、思えば偶然だった。
たまたまその日は人混みが凄く、ギルドのお姉さんから聞いた本屋さんが人がいっぱい(といってもほとんどが立ち読み客)で全然入れなくて、
人込みから逃れようと思い入った脇道にポツンと建っていた。
娯楽の少ないこの世界、テレビもインターネットも無い為、あまりにも暇すぎる。
この際活字でも良いと考えて、あの時はこの店の戸を叩いたんだっけ…。
一応この世界の文字が読める事は、あの自称神に感謝だね。
アレのお陰でこの世界の言語が解るようにされているらしいからさ。
≪バサバサバサ…≫
「ケホッ…だから少しくらい立ち読みさせてくださって…」
「それよりも、とっととギルドでも何でも良いから金を稼いでこい。一つでも買ったら一時間は立ち読みを許可してやろうぞ」
「短ッ!しかも許可がいるって立ち読みと違く無い!?」
「う、うるさい!」
もう、少しくらい良いじゃんか…買わないなんて言って無いんだし…。
でもなぁ、多分僕の居た世界の値段に換算すると、一冊あたりの値段が安くて1万円〜で、
高いこっちの世界で言うところのハードカバーみたいなヤツだと、
一冊あたり数十万円〜って言うのがザラなんだよね。
ちなみに、魔道書のほとんどは、ハードカバー系で出来ています。
家すら持って無い今のところ貧乏なギルドの人間には買えませんわなw
「――――まったく、この私が特別に許可してやろうというのにコイツときたら…」
「え?なにか言いましたか?ラジャニさん」
「……何でも無い」
―――?なんだろう?このヒトの言う事は偶に解らないなぁ。
さて、こうして、いつものように、立ち読みをしていたんだけど、しばらくして突如鐘の音が鳴り響いた。
「?――ラジャニさん、なんの音なんでしょうか?」
「はて?夕方を知らせる鐘にしてはちょっと速いのう?」
どうしたんだと思い本屋の入り口から顔をのぞかせると…
「ま、魔獣の群れがきたぁー!!」
――――マジですか?
***
僕は急いでギルドへと向かっている。
この町の警備はギルドの管轄でもあるので、僕もギルドに所属している以上、
こう言った非常事態にはギルドに待機する事が、あらかじめ契約に盛り込まれているためだ。
紅の方は僕の警戒のスキルを全力にすると、ギルドの方角に向かい走っていたので、僕よか先にギルドに到達するだろう。
なにはともあれ、僕も急がないと……そう思い、更に足に力を込めてギルドへと急いだ。
…………………
……………
…………
「遅いぜかなめッ!」
「ゴメン紅ッ!」
ギルドに入ると予想していた通り紅が先に来ていた。
――っと今はそんな事気にしてる場合じゃなかったっけ!
すでに、何組かのギルドメンバーがチームを組んで魔物の迎撃に向かっていた。
僕達はランクがCな為、町を囲む壁の上に向かう後続の組みにまわされた。
紅は弓で、僕は魔法で上から魔物に攻撃を加える事になる。
―――ちなみに、この指示を出しているのは受付のお姉さんだ。
ここのギルドマスターはすでに迎撃に向かってしまったらしく、実質彼女が指揮を執る形になっている。
僕たちは、喋る暇もなく、どかどか忙しないギルドを出て、他のメンバーと共に町の城壁へと向かうのであった。
***
「いいかッ!テメェらはまだランクはC…言っちまえば、テメェらまだまだひよっこだッ!」
――――城壁の警備班長である老年の男性が声を張り上げる。
「だからまだ下で戦う事はないッ!そう言うのはランクが高い連中に任しておけば良い!
俺達は下の連中が取りこぼした魔獣を、ここから魔法や矢で倒せばいい!どうだぁ簡単だろうッ!」
「「「おおー!」」」
ギルドランクのCは、オークが倒せるレベル…しかし、ソレは単体での話…。
実質今回みたいな状況で、城壁の下に降りて戦うのは、荷が重い人達ばかりなのだ。
―――まぁ僕と紅は平気なんだけどね。大多数に囲まれるのは森での戦いで慣れてるし。
「魔法が使えるヤツは、今の内に精神集中しとけッ!他の奴らは各々投射武器を持って準備しとけよッ?
慌てなくて良いからしっかりやれッ!敵が来たら各々の判断で攻撃を加えろッ!」
―――ようは好き勝手やれって事だね。うん、解りやすいしギルドらしい指示だ。
指示を受けた僕たちは各々準備を開始する。
僕は魔法を使うので問題はないが、とりあえず紅の為にITツールでやや小型のハンティングボウを造り出す事にした。
ちなみに彼女は僕より強い力を持っているので、弓の弦の強さは常人では引けないくらい強めに設定してある。
矢の方も何本かは事前に魔力で造れるけど、一々戦闘中に造るのが大変なので、普通の木の矢を調達し、ソレを使って貰う事にした。
こうして各員が忙しく準備をしていると―――――――
≪ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!≫
―――――――徐々に遠方から地響きが響いてくるのがわかる。
「魔獣だ…」
誰かがそうつぶやくのがきこえる…確かに遠くの方に土煙が見え、沢山の魔獣達がこちらへと向かってきているのが解った。
その魔獣は僕達がこの世界にて最初に遭遇したアレ…イノシシ(仮)の群れだった。
なんで解るか?………土煙の上に【イノシシ(仮)の群れ】って表示が出てるんだよね。
いやまぁ解りやすいけど……何だかなぁ。
「いいかテメェ等ッ!!まだ撃つなよッ!!俺が合図したら攻撃しろッ!!」
警備班長が声を張り上げている……中々雰囲気出てるねぇ〜。
一方、こちらは――――――
「今夜はイノシシ鍋かな?」
「丸焼きってのも捨てがたいぜ?」
「おッ良いねぇ〜イノシシ肉は酒のつまみに…」
「ちょっとッ!アンタは飲んじゃ駄目ッ!」
「なんで?」
「……以前酒乱で大変な事になったじゃない」
「うぃ」
―――――全然緊張感の欠片も無かったりする。
まぁ、ランクがCとはいえ、みんな実戦は潜ってはいるんだし?このくらいじゃあ緊張もしないか。
≪ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド―――――――≫
大分近づいてきたのか、土煙が大きくなる。
そして群れ全体が視認できるくらいに近づいた。
その規模は前衛だけでも数百頭……
しかし2〜3mはあるイノシシの群れがそこまでいると、その迫力は恐ろしいモノがある。
良く城壁の下に展開している人達怖く無いなぁって思うよ。
「来たぞぉッ!!全員ぶっぱなせッ!!!」
「「「「ウオオッ!!」」」」
別に軍隊じゃないから、各々好きに撃ち始める。
僕らの居るところから下の階層から大型の矢が発射された所を見ると、どうやらバリスタが設置されているらしい。
魔法は詠唱しないと撃つ事が出来ない人が多いので、弓の方が先に発射されたのだ。
空中に発射された矢の群れは、まるで黒い烏の様に空間を覆い尽くし、放物線を描いて迫りくる魔獣達に降り注ぐ。
しかし、あんまり効果は無い、分厚い毛皮と脂肪が矢が致命傷を与えるのを防いでしまう為だ。
「“その力は天空の双子の片割れの力、来たれ5対の風塵の刃”エアリアル・ダガーッ!!」
「“断罪の斧、炎を纏いて罪人を燃やしつくせ”フレア・セルティスッ!!」
「“来たれ風神の投げ斧、目の前の敵を打ち砕け!”エアリアル・ファラリカッ!」
「“集まりし力は魔力、轟音と供に敵を屠れ”ブラストッ!」
「“地中に隠されしは父が埋めし名剣、立ち向かうモノを切り裂け”グランド・スクレップッ!!」
≪どこッーーーーンッ!!!≫
魔法使い隊も各々自分の得意な魔法を放つが、如何せん距離があり過ぎて途中で霧散したり、
運よく届いても減衰率が高くて、魔獣殺す程の威力が保てなかったりしていた。
僕は魔力の扱いに長けているお陰で、ブラストの魔力を収束させて細く撃ち出すことで、遠距離への攻撃を可能にしていたんだけど、
それやったら周りの正規の魔法使いの人から驚かれた。
何でも、ブラストという魔法は初歩の魔法だけあり、簡単に習得できて使えるらしいんだけど、
その分魔力が霧散しやすく、武器をかたどったエアリアル・ダガーとかの魔法に比べたら威力が物凄く落ちるんだって。
ちなみにエアリアル・ダガーとかいう魔法は僕のイマジンツールと似ているけど
あちらさんは密度が薄くて持てないんだそうで……閑話休題。
≪どどどどどどどどどどどどどどどどど―――――――≫
「怯まず撃ちまくれぇッ!!」
「「「応ッ!!」」」
未だに途切れる事の無い魔獣の群れ。
下ではギルドランクがB以上の人達が、奮戦している。
――――というかね、確かにアレは次元が違うわ。
下に居るヤツの一人は在り来たりな表現だけど、眼にも止まらぬ速さで近づく魔獣達を解体しちゃってるし、
ある奴は、大きなマサカリ担いで、ソレの一薙ぎで何十頭も屠っている。
見た目的にはパラディンって感じの重鎧を着けた人が、さっそうと戦場を動き回って、自身の身長と同じぐらいデカイ両刃の大剣をふるい、
剣圧で衝撃波を放って、射線上の魔獣が衝撃波喰らって宙を5mは舞っているなんて光景が、城壁の上から良く見えた。
うん、アレはね、確かに実力が同じくらいじゃないと、巻き込まれる事請け合いだね。
獅子奮迅というのか何と言うのか……正直僕達要らなくない?
多分ココに居る全員、そんな事考えていると思うよ?
自分たちがやっとこさ一頭倒した時、すでに下の人達は十頭は倒してたらめげるね。
でもかと言って、この場を放棄する理由にはならない。
なので僕たちも出来るだけ魔法を使って敵を倒そうとしてたんだけど―――――
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラスト」
「ブラ―――ああッ!もうッ!!キリが無いッ!!!」
―――――本当にキリがないッ!!
ちなみにイマジンツールの消費を含めると、すでに400程MPが減っている。
まぁ、僕の魔力総量からしたら数値上は微々たるものなんだけど……物凄い疲れる。
どうやら手帳の数値というのは、魔法が使える回数を表すもので、使い手の体力とかは考慮に入って無いみたい。
コレだけ撃てば少しは減るかと思ったんだけど、数百はいる群れの内、たったの十数匹倒した所で焼け石に水である。
「くッ!一匹ずつ倒してもしょうがないッ!!なにか手はないか!?」
一匹づつだとキリがないこの状況、どうしてくれようかと思った時、
僕の灰色の脳細胞が軋むかのように働き、数秒で一つの答えを導きだす。
実戦でいきなり試す事も無くやるのは不安だけど…ちょっと実行してみる。
――――と言っても使うのはブラストなんだけどね。
「ブラスト」
≪ギュォォォ―――!!≫
僕はブラストに多めに魔力をつぎ込んだ……僕の周りに波紋が出たけど気にしない。
魔獣の団体が固まっているところを狙い、溜めこんだブラストを発射した。
撃ちだされたブラストは、空中で華が開くかの如く分裂し、魔獣達を複数巻き込んで倒す事に成功したッ!
うわ〜魔法はイメージで操作できるけど……まさか本当にうまくいくなんて……。
序でに大量に倒したお陰で、懐の手帳からLVUPの音と、魔法を習得した時の音が聞こえるけど今は見る暇が無い。
「スゲェな坊主!!」
「コリャ…とんでもないヤツがいたモンだ」
「本当にCランクなのかい?」
「ウヲォォォッ!なんか燃えて来たぜッ!」
「「「やったろうじゃん!!」」」
今の僕の魔法を見て、疲れが見えていた魔法使いやギルドの戦士たちが活力を持ち直した。
イヤまさか某有名な龍玉の氣弾のイメージでココまでうまくいくとは……イメージって大事だね。
「ヤルなかなめ!よーし俺もッ!!」
紅はそう言うと、いきなり下へ駆け出し、そうかと思うとすぐに戻ってきた。
「かなめッ!弓の力もっと強くしてくれッ!!」
「え?わ、解った。」
僕は言われた通り、弓の弦が更に強くなるようにイメージを送った。
「よしッ!それじゃあ一発当ててやらぁッ!!」
そう言うと彼女は強化した弓の弦に、これまた大きな鉄製の矢を添え………ん?
「ねぇ紅、ソレってもしかして下の…」
「応、なんか下に置いてあった大きな弓の矢だ。コイツなら強力だぜッ!!」
ニカッと笑う紅、下の方がなんか騒がしいのはこの際無視しておこう……ウン。
「さ〜て……」
≪キリキリキリ……≫
紅はバリスタ用のもはや槍と言ってもいい鉄製の矢を、
弓に添えてスッと弦を限界まで引き絞る。
僕の魔力で出来た弓は普通の弓とは違い、そう簡単には壊れないけど……
なんか紅の怪力の前ではヤバいかも…。
「あたれぇー!!」
≪――――ボシュッ!!≫
もはや弓が出す音じゃ無くなったソレは、遠くの方に居た数匹を貫通してそのまま地面に衝突して折れてしまった。
「チッ、思ったほど倒せないな」
「………いやぁ十分凄いと思うけど?」
―――弦の力が強すぎて常人じゃ引けないもんねアノ弓。周りの人も唖然として見ていたりする。
―――というか今思ったんだけど……
「ねぇ、そのまま槍とか投げた方が強いんじゃない?」
「ん?そうなのか?」
だってアノ弓を軽々……というかスッて引けるッてどうなのよ?
多分その弓使うよりも自力の方がアナタ強いですよ?
「なんとなくだけど……ちょっと為しに槍投げてみてよ?」
「あいよ」
彼女はそう言うと、壁に立てかけてあった投的用の投槍を数本持ち
思いっきり振り被って魔獣の群れに向かって纏めて投げつけた。
≪―――ドカドカドカドカーンッ!!≫
わーお、地面にクレーター出来ちゃってるよ……魔獣達の方は……まぁアレだね。
口には出せない状態ってヤツ?――――簡単に言えば大きな風穴があいてるわ。
「よっしゃッ!!」
「………どんだけ魔改造したんだよ自称神?」
――――流石の僕も今の光景に、思わずそう呟かずにはいられなかった。
*おまけ*
〜紅が矢を持っていった後の下の様子〜
「おいッ!ココにあったバリスタ用の矢どこにやった?」
「えッ!?知らないっスよ!?そこに無いっスか!?」
「………どこにもねぇぞ?お前また――――」
「ち、ちがうッス!!今週はまだ備品は売ってないっス!!売ったのは先々週だからバリスタの矢はココにある筈っス!!」
「―――――とりあえず、先々週売っぱらった分は減俸な?」
「ノォォ―――――っス!!!!」
・どうも作者のQOLでございます。今回は町の防衛のお話でした。
やっぱ危険な魔獣がうろついている以上こういった事も有り得そうな気がするんですよね。
でも、投げた槍でクレーターってw
相変わらずベニちゃん強すぎな気がするなぁ〜。
――――以上、作者からでした。