第13章
〜出歩いて…落っこちて・第13章〜
さて、昨日の騒動から一夜明けた次の日。
僕&紅&チビは破壊されて修復中の市場を横目に、朝からギルドへと足を運んでいた。
なんでかって?昨日の騒ぎの所為で、お仕事して無いからですよ!
宿代は食事付きで一日50Gくらいで泊まれる格安宿だから、今の所持金を考えればしばらくは持つけど、
それでも最終目標は拠点となる家を手に入れる事だから、なるべく使わないで貯めておきたいのだ。
ちなみにここいらの一般的な住居の価格は、数十万Gかかるそうで
はぁ、時間掛かりそうだなぁ…でも、頑張って仕事しまくればその内たまるでしょ?
それなりに実入りがいい仕事だしね。
まぁ、そう言う訳で、ギルドカウンターに来た僕達。
紅達には休憩室に先に行ってて貰い昨日あったゴブリン討伐が、
まだ出来るのかどうかを調べようと思い、掲示板に向かった訳なんですが―――――
「ん?君は…」
「あ、昨日の怖いお兄さん」
「…………ちょっと裏に行こうか?」
―――――何故か昨日の人外魔法少年がギルドに……なぜ?つーか怖いは余計じゃ!
***
裏手でITハリセンをチラつかせながら“お話”をすると、
普通に良い子になった少年――エルダー・シェットランド君。
生意気な子供とか思ってたけど、話をすると意外と普通の感覚を持っている子だという事が解った。
でもさ、じゃあなぜ昨日暴走したんさ?僕、巻き込まれて大変だったんだよ?
お仕事出来ないくらい疲れちゃったし…まぁお互い怪我は無かったから良いけどさぁ…。
まぁそんな事を思いながら、彼が今日ギルドに赴いた理由を聞いてみた。
ちなみに市場の片づけは自分の分のノルマはとっくに終わらせてあるから平気なんだそうです……手際良いね。
「へー、ギルドに依頼をね」
「はいです。適正価格で売って貰えない以上、かなめさんが言ったみたいに、
この価格で探してくれる冒険者を募集する事にしたのです」
―――そう言うと、この魔法使い見習いのエルダー君は、依頼書を掲示板に張ろうとしていた。
―――まぁそれは置いといて…僕は一生懸命背伸びしている彼に、こう突っ込まなければならない。
「イス……借りてきたら?」
「………………ハイです。」
背が足りなくて、掲示板に届かないでやんの………ぷっ。
彼はいそいそとイスを取りに行きました。
しばらくして戻ってきたエルダー君。
借りて来たイスによじ登り掲示板に依頼書を張り付けた。
「コレで良し!です。」
「どれどれ、どんな依頼なんだ?」
書いてあった依頼は――――――
☆竜核化石求む。
・ちょっと隣国のドラニ公国に行って“化石洞窟”に行って“竜核化石”を掘りだしてきてくださいです。質が良ければ多くのお金を上げるです。
基本金300G〜
必要ギルドランクB
竜核化石一つで2000G差し上げますです。
――――――だそうで…。
「ねぇ、この竜核化石ってなに?」
「ん?かなめさん、この依頼受けるんですか?」
「まぁ、ちょっと気になってさ。で、竜核化石って何なの?」
「竜核化石というのは、魔力を含む化石の一つで、古の竜達の生命力だとか魔力だと言われているモノが 結晶化したのだとか言われているです。純度が悪くてもコレ単体で50世帯分の明かり用魔石をチャージ する事が出来るです。」
ほう、すごいねぇ。
宿屋にあった魔力ランプは、結構魔力容量があるみたいだから、かなりの保有魔力だねソレは。
「ボクは今この町のすぐ近くにある魔法学校で生徒をしてるです。
そこの卒業までにしなければならない課題の一つに、自分の杖を自作するというのがあるです。」
「つまり、コレはソレの為の材料なんだ?」
「お察しの通りです。魔法使いにとって杖は相棒の様なもの…
最高の杖を造る為にもお金に糸目はつけられないのです。」
はは、スゴイねぇ。ちゃんとした魔法使いが目の前にいるよ。
僕なんて自称神さまがチート改造しちゃってくれた、我流魔法使いなのにね。
でも、そうかぁ〜杖はあいぼうなのかぁ〜そうーなんかー。
……はは、僕この間折っちゃった。
「本当は竜核化石よりもいい媒体になる竜魂石というモノもあるのですが…
さすがに手持ちの資金では無理なのです。」
「竜魂石?」
「ハイです。生きた竜から手に入るらしいのですが、そうなるとギルドランクAでも無いと誰も受けてくれませんです。でもそうなると依頼料が最低50000Gにはなっちゃうです。」
あはは…それは幾らなんでも、学校の生徒さんには身が重いね。
ん?でも生きた竜?あれ?最近どこかで出会ったような?
……………
………
……
あっ!
「ねぇ?もしかして竜魂石って……これ?」
僕は以前、森にあったダンジョンを攻略したんだけど、その時に拾った宝珠を取り出して彼に見せてみた。
「………へ?…うそ…ほ、本物の竜魂石!?こ、コレを一体どこで?!」
「あーそれはね?」
僕が説明しようとすると――――――
「およ?そりゃアノ遺跡みたいなダンジョンの竜が落とした宝珠じゃねぇか」
「あ、ちょっと紅!」
―――――何時の間にか近くに来ていた紅に、先言われてしまった!悔しいなんか悔しい!!
「遺跡みたいなダンジョン?」
「おう、俺とかなめがこの町に来る前に居た森の中にあったヤツでよ?
そこの一番奥に居たヤツ倒したら手に入ったんだ。」
「そうなのですか…あ、自己紹介がまだですね。
初めましてボクはエルダー、エルダー・シェットランドと申します。よろしくなのです」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をするエルダー君。
結構良いとこの坊ちゃんなのかもしれないねぇ。
「俺は紅、かなめの相棒をやっている。よろしくな。
あと肩のコイツはチビってんだ。ホレ、挨拶しろチビ」
「くぁう!」
紅は簡単に、チビは小さな頭をぺこりと、まるでお辞儀しているかの様な仕草で返した。
―――――で、お互い自己紹介もすんだので、話を元に戻す。
「それで依頼だけど……その宝珠の方が良いヤツなんだよね?」
「はいです。詳しく調べてみないと何とも言えませんが…。
それでもかなりの魔力を秘めているみたいなので、魔導器の材料としては最高だと思うです!」
う〜んそうなのか、じゃあ。
「エルダー君、ソレあげようか?」
「え!?で、でもこんな高価なモノを頂く訳には…」
「あー良いって良いって、タダで手に入れた様なもんだしなぁ、なぁかなめ?」
「そうそう、まさか一撃で倒せるだなんて思っても見なかったし…」
ホントに最初の一撃で倒れるなんて思わなかったんよ。
アレには驚いたわ、マジで。
「い、一撃で!?有り得ないです!」
「いやいや、本当なんだぜ?かなめの放った魔法で一発でのしちまったんだからさ」
「それこそ有り得ないです!この竜魂石の大きさからして、中級クラスの竜である事が解るです!普通ソレ位になると対魔力が強くて魔法なんてほとんど効かないです!だから魔法で倒すなんて不可能なんです!」
「けどよぉ、現に倒しちまったしな」
「確かにねぇ。寿命だったのかな?」
―――――まぁ大体理由は解るんだけどね…多分、僕のこの自称神が付けた大魔力の所為だと思うし。
多分あの時撃った魔法が、あのドラゴンの耐えられる限界以上の威力があったんだと思う。
一応所障壁みたいなの張ってたけど、ガラスが割れるみたいな音立ててあっさり貫通してたしね。
でも、なんかゴリ押しみたいで嫌な結末だったなぁ。
「うう、それじゃあ貰う事にするです。いずれお礼はしますです」
「いや、別に礼がほしいわけじゃ…」
本当にたまたま拾っただけだしねぇ?
「でも、それだとボクの気が済まないです。お二人とも、何か欲しいモノとかありませんか?です」
「いやホントに…」
「いいじゃねぇかかなめ、くれるって言ってるんだし、貰うのも礼儀だぜ?」
君の口から礼儀って言葉が出るとは………予想外デス。
でもまぁ、確かにそうだよね。
「じゃあ、一応貰う事にするよ。」
「ハイです。では何が欲しいですか?一応それなりの資産はあるので、
ある程度ならばご用意できますですよ?」
う〜ん、しかしどうしてくれようか?
金はギルドで働けば手に入るし、かと言って今は別に欲しいモノがある訳でも無い。
拠点としての家は欲しいとこだが、流石に魔法学校で学生さんをしている彼に頼むのも……ん?
「ねぇ?エルダー君」
「エルで良いですよ?皆からはそう呼ばれてるです。」
「そう?じゃあエル君、キミって魔法学校の学生さんだよね?」
「ハイです。ガラクトマン魔法学校で飛び級して、今は八年生のクラスにいるです!」
誇らしげに胸を張って答えるエル君。
後に聞いた話だと、彼の学校は10年生まであって、
その後は社会に出ている魔法使いの所に見習いに行くんだって。
ちなみに、この後何故か彼の魔法学校の自慢話が始まったので、ちょっと割愛させてもらう。
とりあえず、彼は魔法学校で優秀である…そこまでは解った。で、ココからが本題。
「ねぇ、報酬なんだけどさ?初心者向けの魔導書ってある?」
―――――そう聞いた時、エル君は何故かポカーンとした顔になった。なんか可愛い。
「か、かなめさん魔法使いだったのですか!?」
「あーまぁ…なんて言うか?我流なんだけどね?」
というか、昨日魔法使ってたんだけどなぁ…。
この後、何で魔法使いになったか説明する羽目になった。
勿論自称神については信じては貰えないだろうから、
何時の間にか魔力が使えるようになっていたという事にした。
やや苦しい良い訳だったけど、それでもコレを押し通したので、何とか納得して貰えた。
………べ、別にめんどくさかった訳じゃにからね!ホント何だからね!!
何故か脳内にそのフレーズが浮かんで、心の内で吹いた。
毒電波でも拾ったのかな?なんか嫌だねソレ。まぁそんな事よりもだ!
「―――――で、さっきの話の続きなんだけど…」
「あ、えと…確か初心者用の魔導書の事ですね?」
「うんそう。一応魔力制御は出来るんだけど、
あくまで我流だからちゃんとしたのを知っておきたいんだ。ダメ…かな?」
「いえ、別にダメでは無いですが……そんなので良いんですか?」
「うん、僕としてはそっちの方が「書店で普通に売られてますですよ?初心者クラスの魔導書なら」………そなの?」
「ハイです。」
全然知らなかった……。
そう言えばこの町に来てから結局色々あって、まだそう言ったお店とかはみて無いなぁ…。
「あと、中級者クラスまでの魔導書なら、この町には無いですが図書館等で借りられるです。
流石に上級者・超上級者クラスは無理ですが…」
「そうなんだ…僕達ずっと旅してたから全然知らなかったよ。教えてくれてありがとね?エル君。」
「あ、いえいえ。それほどでもないです。」
てれてれと頭を掻く仕草をするエル君。
ふーむ、しかし書店で普通に売られていたとは……
やっぱりこの世界では魔法は結構身近な存在なんだねぇ。
「で、結局どうするですか?」
「う〜ん…どうしようかな?」
正直欲しかったモノは実は簡単に手に入るらしいし、今のところ欲しいモノは他には無いし……
「じゃあ貸し一つって事にしといてくれるかな?」
「貸しですか?」
「うんそう、貸し一つ。今のところ欲しいモノとか無いからさ、後でそう言ったのが出来た時くれれば良いから。」
「………解りました。でも、何か困った事があったら言ってくださいです。」
「うん、ありがとね」
クシャっとエル君の頭を撫でる。
エル君は一瞬アッという声を漏らしたが、その後は頭を伏せて撫でられるがままになっていた。
……………そして何故か隣に居る紅の機嫌が急降下中なんだけど――――何で?
少しの間僕はエル君の柔かい髪を撫で続け、十分に堪能したあと手を離した。
若干エル君の機嫌がいいのは何でだろう?―――それに伴い更に低下中の紅の機嫌の事も気になるけど…。
「それじゃあエル君、僕たち今日の仕事受けなきゃなんないから」
「ハイです。バイバイ…です。」
若干寂しそうな顔をしたエル君……よし。
「違うよエル君、君は僕に借りがあるんだ。だから別れのあいさつは“またね”だよ」
「またね…ですか?」
「そう、また後で合う事になるんだからさ…ね?」
「そう…ですね。解りました。それではお兄さん、またね…です。」
「ん、またねエル君」
「ほら、紅も…」
いまだ機嫌が低下中の紅に耳打ちし、エル君の方に顔を向けさせる。
何で機嫌が悪いのか解らないけど、別れのあいさつはしっかりとやらないとね。
それもちゃんとした礼儀の一つだしさ。
紅はエル君の方を向き、やや視線を別の方に向けて頬を指で掻き。
「……またな」
そう小さな声でしゃべると、その間そっぽを向いてしまった。
もう、子供っぽいなぁ。
「はいです。またね…です」
エル君はやや苦笑しながらもちゃんと挨拶を返してくれた。
う〜ん、大人だねぇ。その後僕たちはエル君と別れ、掲示板を除きこむのであった。
☆おまけ☆
「ねぇ…何怒ってるの?」
「……別に怒ってねぇ」
「うそ!機嫌が悪い時紅の尻尾はツンって上向くんだから!」
「……っ!」
「ねぇ…何か気に障るような事したなら謝るからさ。許してよ?」
「………………」
「そうだ、美味しいモノでも食べに行こうか?」
「……………ろ」
「え?なんて言ったの?小さくて聞き取れなくて」
「…………でろ」
「ごめん、もうちょっと大きな声で…」
「…俺も撫でろ」
「??なんで??」
「いいから撫でろ!!」
「わ、わかった」
―――はて?紅ってこんな子だったかいのう??
この後、随分と長い事撫で続け、漸く開放された時には昼を回っていた。
おまけに掲示板のすぐ近くだったから、随分色んな人に見られて恥ずかしかったぁ。
でも見る人達の眼が、どことなく微笑ましいモノを見る目だったのは何故だろう?
数日たってからこの件を思いだし、冷静に考えたら理由が理解できた為、
悶絶することになったけど、ソレはまた別のお話。
*おまけ*
☆紅の現在のステータス☆
HP(体力)……………………5180/5180
MP(精神力)…………………1130/1130
LV(現在のレベル) …………LV54
EXP(現在の経験値) ………370/5503
STR(力の強さ)………………8570
INT(知性) ……………………252
DEX(器用さ)…………………350
AGL(素早さ)…………………530
ATK(物理攻撃力)……………8573
MAG(魔力) ………………… 252
CON(耐久力)…………………4067
HIT(命中率)………………… 654
AVD(回避力)…………………530
RDM(物理防御力) …………4067
RST(魔法防御力)……………526
LUC(幸運)……………………900
AP(アビリティの装備容量) 60/60
CP(技及び魔法の装備容量)…80/80
★魔法および技★
・無し
★アビリティ★
・装備自動適応 必要AP0
【人型と犬型に合わせて、装備したモノが変化する】
★スキル★
・変しーん
【かなめに手伝って貰って人型へ変身、徐々にコントロール出来る様になる】
・野生の勘
【気配を察知しやすくなる】
・怪力
【岩を砕く?それは初歩だろ?―――というくらいの力を持つ】
・漢の娘
【女の子だが男の子っぽい】