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第11章

・今回やや短め

〜出歩いて…落っこちて・第11章〜








暗い…暗い…水の中…




身体が沈む…沈み込む…




落ちて行く…落ちて行く…




何処までも続く…まどろみ…




ふと感じる…明るい光…




徐々に大きく…大きく…




今度は浮かぶ…浮き上がる…




―――そして僕は理解する…“ああ、目覚める時間だ”…と。









――窓から漏れる朝日を感じ、僕は目が覚めた。


***


う〜ん、ぐっども〜にん…

あたまがまだねむたいよ〜……うにゅ〜。

とりあえず顔洗おう…。





よし!顔を洗い頭がはっきりしてきた!しかし、やっぱり中世クラスなんだよね〜。


ん?やあ皆さんこんにちは。

今僕たちが居るのは、クノルの町一番の宿……では無く、ほどほどのお宿でございます。

ところで何が中世クラスかというと、水道とかが無いってとこなんだよね。


井戸はあるんだけど、家の中に引いて無いって言うのかな?

だから顔洗うにしても、洗面器に組んでおいた水差しから水を入れて使うって感じ。


昨日の倉庫の中が結構な技術力がありそうな感じでビックリしたけど、

どうやら庶民の生活様式はそれほどのレベルでは無いみたいなんだよね。


まぁ、電灯の代わりのランプとかは?

所謂ファンタジーではお約束な“魔力のこもった光る石”を利用したエコランプだったのは面白かった。


魔力があればある程強く光りるらしく、魔力持ちの人が偶に充電?充魔?すれば良いらしい。

面白い技術だよねぇ〜。


さて、雑談は置いておいて、そろそろ紅とチビを起さないと。



***



僕は隣ベットに寝ている一人と一匹を起す為に近づいていく。

言葉がわかるのと、昨日飯を食べて親交を深めたおかげなのか、意気投合したチビと紅。

仲良く一緒のベッドで眠っております。



チビを抱き枕にして眠る紅のあどけない寝顔は、見る人が見れば涎モンだろうけど…



「朝だよ紅、チビ。そろそろ起きてご飯食べにいこう?」



―――あいにくと僕はその気が無いので普通に起します。え?つまんない?何が?



「あふぁ〜……おはよう…かなめ」

「くう。」

「はい、おはよう。」


まだ眠たいのか眼をこする紅と伸びをするチビ。平和だねぇ〜。


「とりあえず朝ごはん貰ってくるから、紅は顔洗ってきなよ?一応人型なんだしさ」

「う〜、メンドくせぇから犬になる〜。」

「ダメだって…まだ自分で制御出来てないでしょうが」

「けっ、人間ってのはどうしてこうめんどくさい事が好きかねぇ?顔洗わなくても死なないだろうによ」

「はいはい、ぶつくさ言わないで顔洗っておいでよ?口元に涎付いてるよ?」

「……わぁったよ。」


そう言いながら洗面台に向かう紅。

まったく、なんだか保父さんな気分だよ。


でもそう言った意味なら獣姿は楽だよねぇ。

チビなんかもう自慢の白い毛の毛繕い終わらせて、僕の肩に乗ってるしね。


「くぅ?」

「ん、何でもないよチビ」

「くーくぁう♪」

「はいはい、撫でろってね。」

「くー♪」


チビが頭をすりよせて来たので、撫でてやると眼を細め気持ちよさそうにしている。

なんとなくだけど、僕もチビの言いたい事はわかるみたいだね。

お?紅も顔洗い終えたみたいだし、とりあえず外に繰り出しますか!



***



朝食を適当に済ませ、とりあえずギルドに向かう。

いや〜やっぱ自分で朝食造らなくて済むのって楽だわ。

今まで自分で材料とって、自分で調理して食べてたもんね。


誰かに作って貰えるのがこんなに楽だなんて…癖になりそうだよ。

まぁそれは置いといて、今日は依頼も受けるけど、受付のお姉さんにとある事を聞きに来たんだ。


「おはようございます」

「ああ〜イガラシ君おはようございます〜紅ちゃんとチビちゃんもおはよう〜」

「おう、おはようさん」

「くー!」


知り合いにはマズ挨拶!人間関係の基本でござる!!…なんてね。


「ん?なんやアンさん達、随分と早い時間にきよるんやな〜?」

「あ、ギズボンさん、おはようございます」

「おはようさん!」「くー!」

「はい、おはようさん。今日も元気に稼ごうや!」


そう軽い感じで掲示板に向かうギズボンさん。

でも本当、改めてみるとスゴイ世界だよねぇ〜。

人外な人が普通に仕事してて、おまけに関西弁………そこはスルーしとこう、それよりも用事用事!


「あ、お姉さん、聞きたい事あるんですけど?」

「あら〜?なぁに〜?恋人は募集中よ〜?」

「いや、聞きたい事違いますって…」


まぁ気になる事でもあるんだけどね。

って紅!何で睨むのさ!?え、知らない?何で怒ってんの?

……ゴメンあやまるから足踏まないでください…地味に痛いっス。


「いえ、聞きたいのはお金を預けられる所を教えてもらいたいんです」


いや一回の依頼でコレだけお金が手に入ったのは良いんですけどね?

正直かなり重たいものですから、金貨だから余計に…


―――僕がそう言うと、受付のお姉さんは、驚いた表情で…


「え?もしかして今まで〜ギルドにある保管庫の事〜知らなかったの〜?」

「ええ、初耳ですけど?」


だってこちとら昨日採用になったばかりの、一応ペーペーの新米ですよ?

まだこっちのシステムなんて解らない事ばかりです。


「あら〜御免なさいね〜?保管庫の事〜私が伝達してなかったのね〜?」

「ええ、ところで保管庫ってなんですか?」

「そのままの意味よ〜?貴重品を入れる場所なのよ〜一応ギルド内にあるから〜盗難は絶対に出来ないし〜」

「絶対の出来ないんですか?」

「そうよ〜?皆の大事な財産が入ってるから〜下手に盗もうとしたらギルド全体を敵に回すんですもの〜

 誰も盗みなんてしないわ〜」


――ああ、確かに盗み辛いですねソレは。

一応ギルドには腕っ節が強い人たちばかり集まるのが常だから、幾ら盗人でもココには入り辛いわ。

……バトルジャンキーも多そうだしね。


「じゃあ、保管庫って僕も利用できますか?」

「うん、できるわよ〜だってもうイガラシ君も〜このギルドの一員な訳なんだし〜

じゃあ登録するから〜ちょっと待っててね〜?少し時間掛かるから〜また後で来てね〜?」


そう言うと彼女はカウンターの奥へと消えて行った。


「ねぇ紅?ちょっと時間掛かるらしいから、ギルドの建物の中を見て回らない?」

「ん、いいぜ。ちょうど暇してたところだ」


ちょっと待ちそうなので、ギルドの中を歩く事にした僕と紅。

考えてみたら僕たち、まだこのギルドの建物の構造を把握してないんだよね。


この先お世話になるだろうから、今の内に見て回るのも悪くない。

どこに何があるのかも知りたい事だしね。


「じゃあ行こうか2人とも?」

「あいよ」「くー!」


さてさて、どんな部屋があるのかな?


***


――ココからセリフオンリーでお送りいたします。――


〜地下1F・闘技場と医務室と保管庫〜


「まずは闘技場、ココは昨日使った所だから良く知ってる。」

「見るもんもねぇし上に行こうぜ?」

「そだね。」


〜1F・ギルドカウンター〜


「今の現在位置はココ。一言で言うならココはギルドの玄関口だ。」

「俺達が一番良くいる場所だな」「クークー!」

「うん、ココは民間や個人からの依頼の受注から、

 その依頼をギルドメンバーへ斡旋するのまで全部ココで執り行われるんだって。

 そうカウンターの横に置いてあったパンフレットには書いてあった。」

「パンフレットなんて何で置いてあるんだ?」

「まぁ一般から依頼を受けている手前、一般受けしてくれないと商売あがったりだからねぇ。

 しょうがないんだろうさ。」

「??そんなもんなのか?俺には良くわからんが?」

「そんなもんだよ?なお、奥の部屋は待合室と休憩室も兼ねており、疲れた時はちょっと休めるのだとか……

 まぁその休憩室は何故か御近所の御老体たちによって占領されているらしいんだけどね。

 その理由は1Fまでは一般人も出入り自由だからだ何だって。」

「良いのかそれで?」

「さぁ?まぁ良いんじゃない?さて1Fはコレだけだから次に行こう。」


〜2F・飯屋兼酒場〜


「さて、身体を使うお仕事には欠かせないご飯を食べる所と、お酒が飲める酒場がセットになっている二階です」

「酒は嫌いだぜ。マズイからな!」

「飯屋としてのココのお勧めは、ギルド特製ランダムランチ!

 毎回味が変るのが自慢だけど、時折殺人級のご飯があるのだとか…」

「………嫌な飯だな。飯くらいリラックスして食いたいぜ。」

「それは同感だね」

「くーくぁう!」

「チビもそう思う?まぁとりあえずココはコレだけだし、上に行こうか?」


〜3F・事務室〜


「肉体労働だけがギルドじゃない!ちゃんとした経営をする為に頭も使うのもギルドの仕事なのだ!」

「どうでもいいから早いとこ行こうぜ?俺数字見ると頭痛くなるんだ。」

「まぁ紅はそう言うの苦手だったよね?じゃあ最後に屋上に行こうか?」

「了〜解!」「く〜く!」


〜ギルド屋上〜


「ココはギルドメンバーがいつでも利用可能な練兵場となっております。以上かなめウォッチングからの報告でした!」

「なぁ?誰に向かって喋ってんだ?」

「ん〜?何でか知らないけど、こうしないといけないというお言葉が…」

「電波だな…」「くー…」

「そ、そんな目でみないでよ〜!!」



―――異常…もとい以上ギルドの中の探検でした。以下から通常に戻ります。――――


***


さて、ギルド内の探索も終え、1Fに戻ってくるとカウンターにお姉さんの姿が…


「あっ〜イガラシ君〜!保管庫の準備できたから〜いつでも利用可能だからね〜?」

「あ、それはありがとうございます!」


やった!コレで重たい金貨から解放されるよ!


「じゃあ早速コレお願いしますね?」

「はい〜承りました〜!」


僕は今日使う分以外の金貨の入った袋を彼女に預けた。

彼女が金貨袋を保管庫に入れに行っている間に、保管庫使用の書類を書いておく。


コレで一応楽に行動が出来る様になった。

常に全財産持って歩いてたら、スリに狙ってくださいって言ってる様なモンだしね。

これからも、保管庫利用してドンドン稼いで行こうかな!



――こういうのも、ギルドの楽しみかたの一つだよね♪





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