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コミカライズ開始日決定記念閑話・天界

※今更ですが、簡易版と完全版は、世界観含め似た別の何かです。

 とんでもない所に来てしまった、と、今更ながらに思う。


  




 それは、俺のちょっとした疑問から始まった。


「しかし⋯⋯今更だが」


「なに? エリウス」


「何で、俺に『導』のスキルが与えられたんだろうな」


 道中の暇つぶしを兼ねた、ちょっとした会話のつもりだった。

 どうせ、俺やアラン、レナに答えなど出せるはずもない。

 だから、あれやこれやと話のタネにでもなれば良いな、と。


 だが、俺は忘れていた。

 その疑問を解決しうる人物が、このパーティーにはいたのだ。


「聞きに行ってみる?」


 アランがあっさりと提案してきた。

 もちろん俺は尋ねた。


「誰に?」


「え? 神様だけど⋯⋯」


 当たり前でしょ? とでも言わんばかりの表情でアランは小首を傾げた。



 ⋯⋯あ、そっか。

 こいつ、俺を蘇生させるために天界に行ったんだった。









「良く来たな」


 てなわけで、天界。

 そして今、とても眩しい。


 ボンヤリとした姿で目の前にいるのが、どうやら神らしい。

 らしい、というのは、後光がさしているせいで直視できないのだ。


 まあ、神なんて本来、その姿を人に見せたりしないのだろう。

 何を話そうか、まずは挨拶か? と俺が悩んでいると⋯⋯。


「ちょっとー、神様! それ眩しいからボクが来たときは止めてっていったじゃないですかー!」


「ちょ、ちょっと、アランさん?」


 俺が慌てて止めようとすると⋯⋯。


「あ、ごめんごめん! バックライト・オフ!」


 ふっ⋯⋯と。

 後光が消え、どこにでもいそうな冴えない感じのオッサンが姿を見せた。


 ⋯⋯消せるのか、あれ。


「なんか、冴えないオッサンって感じね」


 レナがまあまあの声量で言う。

 やめとけって⋯⋯。


 神様はレナの言葉に、少し傷ついたような表情を浮かべたが、「コホン」と咳払いして表情を戻した。


「で⋯⋯何の用だ? もう蘇生は済ませたし、みだりに天界に来るではない」


「すみません、ちょっと聞きたい事があって」


 アランはなぜ、導が俺に与えられたのか、という疑問を神にぶつけた。


 すると⋯⋯。


「そのスキルについては、ワシもよくわからん。歴史上⋯⋯今までソイツを含めて三人だったか? にその本は与えられたが⋯⋯恐らくその本自体に『意志』があるのではないかな」


 本自体に『意志』がある⋯⋯。


「だいたいワシなら、そんなスキル創らんよ。時間を巻き戻し、しかも運命を変えるなど⋯⋯とんでも無い所行だ」


 まあ確かに。

 世界を管理する神からすれば、時間を巻き戻すなど混乱を招く行いだ。

 だから俺の蘇生を渋ったのだろう。


「なーんだ。結局わかんないんだ。なんか、神様って思ったよりすごくないのね」


 だからレナさん? 声大きいよ?

 レナの言葉に、神はまた傷ついた顔になったが、また気を取り直したのか言葉を続けた。


「ふん、だがワシはその本の秘密、その一端を知っておる!」


「秘密?」


「そうだ、ソイツを含めて三人には、共通点があるのだ! つまり、その本を持つ『資格』のようなものがな⋯⋯」


「資格⋯⋯ですか?」


「そうじゃ。ワシはこれまでの三人、その共通点に気が付いたのだ!」


「それは何ですか?」


「ふふ、知りたいか?」


「是非!」


「でもなー。思ったより凄くないらしいしなー」


 気にしてたのか。


「そんな事ないですよ! 流石神様!」


「ふふん、そうか? では教えてやるとするか」


「ありがとうございます!」 


 俺の追従に、神は機嫌を取り戻したのか、満足げに頷いた。


「三人の共通点⋯⋯それはな」


 そこで沈黙する。

 神は一度天井を見上げ、かなり引っ張るように間を取ったあと、厳かに告げた。


「⋯⋯字が読める!」


「よし、帰るか」



 帰った。




 


コミカライズ開始日決定!

詳細は活動報告をご覧ください!


柳井伸彦先生のお力で、とても面白く仕上がっております! 自信を持ってオススメできます。お見逃しなく!

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