表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/44

序幕

 け、此の世のほかより訪れし者達よ。かつて、此の地に彗星が堕ちた。

 天穹てんきゅうを割る一筋の光条こうじょうは、咆哮を上げ幾多いくたの星屑を産み出し、その輝きと共に神魔じんまは此の地へ降り立った。

 地は震え熱を持ち。大気は流れ空はいななく。天より降りし雨粒が神々の欠片を包み。青い青い胎水の中でたねは動き出した。

 そうだ……その数多の胎動の中に、我等も在ったのだ。


 け、玉座に侍る者の末裔達よ。産声を上げるのだ。種としての生誕を喜び給え。

 混じり無き純血か或いは望まれぬ混血かは此処で問う必要も無い……ただ泣き叫べば良いのだ。醜き嗚咽おえつを無様に晒せ、己は此処に在るとそらへ喚いて見せろ。


 そして……知るが良い。

 黒白こくびゃくの双子月が再び天穹へ昇る刻、二つの無色が世界から色を奪うだろう。訪れるは審判の時、奏でられるは復活の調べ……


 なれど、此の世に救いなど存在しない。慈悲は無く、ゆるしや情けも在りはしない。希望や夢という脆い虚像は全て崩れ去ったのだ。在るのは汚れた血、錆びた鉄と、果てなく広がる空シキ空のみ。


 数多の英雄達が、慟哭どうこくと憤怒の絶叫を上げながら無惨に散って逝ったのだ。然して……これより紡ぐは、彼等を謳う英雄譚ではない。


 ——我は聞く。

 これは、純白と漆黒の狭間で、未だ見ぬ世界を追い求めて醜く地を這い進んだ、欲深き愚か者達の……そう、果てなき旅の軌跡であると————

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ