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いくら待っても、お義母さんは帰って来ない。お義母さんの事だから、駅に向かっていない可能性もある。そう、嫌な予感がして、喫茶店を出ると…………


ちょうど目の前を、黒いスーツの男の人が走り抜けて行った。その後を、リンが走って行った。


え?リン?私ここ…………なんだけど?追ってる人は誰?私も小走りで追いかけて行くと、大福屋さんの前で二人は急に立ち止まった。


「隼人!!隼人がいた!!」

「僕……こんな人知らない……。」

「そんな事言うなよ!俺だよ!」


「僕、知らない!」

そう言って、男の子は逃げて行ってしまった。その後を、黒いスーツの男が追って行った。男がお義母さんの大福のパックにぶつかって、大福が辺りに散らばってしまった。


「あ、ごめん!ばあちゃん!」

男はそう言って行ってしまった。


あの人は誰?何故あの男の子を追いかけるの?


「おばあちゃん!」

「凜!」

「お義母さん、凜!」

まさか、こんな所で3人揃うなんて。


「凜、あの人は誰?」

「わかんない。あ!もういない!!」

「あ~あ、せっかく凜にあげようと思ってたのに……。」

凜と話をしていると、お義母さんが下に落ちた大福を拾っていた。


「大丈夫。これくらい、少し払えば食べられますよ。」

私が一緒に大福を拾っていると、凜がこう言った。

「いや、ダメでしょ。落ちたやつダメでしょ。」

「凜、ちゃんとおばあちゃんの気持ちも考えて。」


そう凜に注意すると、凜は肩を落としていた。そんなに気を落とす事じゃないのに……。

「あ、そうだ……。ごめんね、おばあちゃん。おばあちゃんにあげようと思ってたクッキー、シェロに全部食べられちゃったの。」

「シェロ?」


シェロ?シェロってどこかで聞いたような……ダメだ。全然出て来ない。


「あはははは!」

凜の話を聞いて、突然お義母さんが笑い出した。

「どうしたの?」


「あの男の人にICカード貸しちゃったんだって。やっぱり葵さんの子ね~!」

「やめてよ、私そんなにお人好しじゃないよ。」

いやいや、私だってそんなにお人好しじゃないよ。


「お人好しって言うより、凜は少し抜けてる所あるよね。まだ子供って事よね。」

「子供じゃないもん。もう中2だもん!!」

「もう中2になったの?子供の成長は早いわねぇ~!」


そんな事をゆっくり話をしていると、凜は何かに気がついて、走りだした。

「あ!ちょっと!凜?!」

「今あそこ、通った!なんか悔しいからICカード取り返しに行って来る!!」


そう言って、大通りの方へ走って行った。

凜の負けん気に火がついたみたいねぇ……。


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