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なんで?なんでここ、通れないんだ?どんどん人が向こうに行ってる!向こうに隼人がいるかもしれない!
隙間を通ろうとしたら、板が飛び出て来て、俺の行く手を阻んだ。
よく見たら、謎のカードをかざすと、板は飛び出さないらしい。
「あの、切符買うか、これ、こうゆうの買わないと電車は乗れないんですよ?」
女の子が、カードを俺に見せてきた。電車?ここ、電車に乗れるのか?
「あ!じゃあ!それ!!それ、貸してくれよ!!」
そのカードを借りれば、ここを越えられる!!俺は女の子からカードを借りて、隙間を突破した。
「えぇっ?!あ、ちょっと!!」
これは、1人しか通れないのか……。可哀想に、女の子は俺の代りに向こう側の隙間に取り残されてしまった。
「ごめん!これ、借りる!必ず帰しに来るから!」
そう言って俺は、人のいそうな階段をかけ上った。
「すみません!隼人どこに行ったか知りませんか?」
俺が人に話かけていたら、逆に後ろから話かけられた。
「あの、それ、貸してもいいけど、連絡先!!連絡先教えてください!!」
さっきの女の子だ!
「連絡先って何?」
「はぁ?」
俺が混乱していると、女の子が説明してくれた。
「連絡先聞いとかないと、後日絶対会えませんよね?」
ああ、なるほど、そうゆう事か。
俺は女の子の匂いをかいだ。
「よし、覚えた。君の匂い、覚えた。だから大丈夫!」
「何が大丈夫!?」
「あ、名前は?」
そうだよ!名前聞いて無かった!
「里梨 凜です。」
「サトナ?」
「サトナシ、リン!」
そんなに長い名前覚えられるか…………?
「じゃ、サトナも一緒に探してくれよ!」
「リン。名前、リンでいいよ。」
「リンか!そっちの方が覚えやすくていいな!」
そう言うと、リンは少し笑った。
「でも、私一緒に執事さんは探せないんだ。これから巣鴨に行かなきゃいけないから。」
「ヒツジさんは探してない。隼人だよ。隼人!」
リンは首を傾げて訊いた。
「執事じゃないの?じゃ、隼人って誰?」
「誰って…………家族。」
「家族って…………お兄さんとか?」
どっちかと言えば弟なんだけどな~?
「隼人は俺の飼い主なんだ。」
「飼い主ぃ?」
リンはまじまじと俺を見て言った。
「東京は変な人が沢山いるって聞いたけど…………実際に普通にいるんだ……こうゆう人……。いや、だから連絡先!!」
こうゆう人がどうゆう人かはわからなかったけど、どうやら俺は普通じゃないらしい。
普通の人間ってどんな風なんだろう?