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知らないおばさんについて行ったら、地下に降りる階段を降りて、お店に入ろうとしていた。どうしよう…………人を代えた方がいいかな?
おばさんは、店のドアを押さえながら言った。
「入るの?入らないの?」
「…………入る。」
僕は慌ててお店の中に入った。
中は何だか煙草臭かった。
僕がお店の中を眺めていると、すぐに1人のおばあさんがおばさんを呼んだ。
「葵さん!こっちこっち!」
おばさんは、おばあさんの前の席に座った。
「ここ、座ったら?」
おばさんがそう言ってくれたから、僕は迷いながら、ゆっくりおばさんの隣に座った。
ここは…………喫茶店?
外国の音楽が鳴っていて、壁には外国のおじさんの写真が飾ってあった。
テーブルが…………ゲーム機?見た事もないゲーム機の上に、おばあさんの飲みかけのコーヒーカップが乗っていた。これ、絶対お母さんに怒られるやつ……。
「で、葵さん、いつの間にもう1人産んでたの?」
「いえ、違いますよ!この子、上野駅からついて来ちゃったんですよ!」
「え?じゃあ、人様の子?何やってるの?警察に届けないと!」
僕は立ち上がると言った。
「僕、帰ります。」
「帰り道、わかる?」
僕は、立ったままうつ向いた。
「…………。」
本当の事を言うと、帰り方なんてわからなかった。でも、警察に行って帰ったら、お母さん…………何て言うかな?また…………人に迷惑をかけたら、何て言うかな?
「君、どこから来たの?」
「練馬……。」
「じゃ、おばさんと帰ろうか。」
そう言っておばさんも立ち上がった。
「え?もう行くの?来たばっかりじゃない。まだ凜が来てないのに。」
「もうすぐ凜も着くと思うので…………連絡無いけど。」
「僕…………帰らない。」
僕はそう言って首を横に降った。まだ帰りたくない。
「シェロを見つけないと……。」
「あのね、その、シェ?」
「シェロ。」
「シェロを探すのは、お家の人と一緒に探したら?今から練馬だと、駅に着く頃には日暮れちゃうよ?」
お母さんはきっと、シェロの事なんか信じてくれない。僕の事も……。
「シェロって何?」
「龍を探してるんですって。」
「龍?それはまた奇妙な物を探してるのね~」
すると、おばあさんが立ち上がって言った。
「じゃあ、私が駅まで連れて行ってあげる。だから葵さんはここで凜を待ってなさいよ。」
「え?大丈夫ですか?お義母さん。」
「この子、駅で練馬までの行き方教えたらまた戻って来るから。じゃ、行こうか。」
そう言っておばあさんは僕を連れてお店を出た。
「駅、こっち……。」
おばあさんは、駅とは逆の方に歩いて行った。ついて行って大丈夫なのかな…………?少し不安になった。