第二話 「関西一の戦士達」
第二話 「関西一の戦士達」
・・・遅い
「ああー!遅すぎる!」
「うるさいぞ零治。ここは酒場だぞ、自宅じゃないんだ。周りに迷惑かけるな。」
「お前分かってるのか!?もうあれから二週間経ってるんだぞ!関西一って言われているくらいだから道中で死んだとは思えないが、いくらなんでも遅すぎないか!?」
そう、前に明日着くらしいと話していた日からもう二週間経っている。13日オーバーだ。
んで、超コミュ障な俺はちゃんと自己紹介及び挨拶が出来るか練習していたのだ。大抵の質問には答えれるように前もって考えていたり、そのセリフを忘れた時用にカンペを用意したりと、まあそれなりの準備をしていた訳だ。
しかし・・・
なかなか来ないのだ。『毎日ちゃんと出来るかな』と、びくびくしながら待っているのに。
精神的に地獄だ。
「でも、結構緊張がほぐれたんじゃないか?時間も経ったし。」
「馬鹿か!いつ現れるのかわからないから逆に余計緊張してるわ!」
「あ、そっすか。」
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────ガチャッ
「どーもでーす!関西から来ました!貞村海でーす!」
「もう、いきなり大声出したらみんなびっくりするでしょ。
突然すみません、関西から来た者です。」
「えー、そんな堅苦しくしなくてもいいじゃん。仲良くなっていくんだし。」
えぇー!来たああああ!
さっき轟と話してから3時間位たって、『はぁー。今日も来ないか・・・。』って諦めてたところを、不意打ちで来たああああ。
しかも男、女、女と女性の方が多いじゃないか。
コミュ障としては、異性は余計苦手なんだが。
のように、零治はびっくりして焦っている。
だが、轟は多少驚いているが冷静に・・・
「どうも、お待ちしてました。一応この村の村長です。品原轟と申します。
以後、お見知りおきを。」
「あっ、敬語使わなくても大丈夫ですよ。私たち3人とも16才なんで。あなたの方が年上でしょう?」
「そうだったのか、噂には聞いていたが16という若さで大活躍しているのは本当だったのか。」
「大活躍だなんて、そんな大層なことはしてませんよ。でもありがとうございます!」
轟は何で初対面の人にこうもスムーズに会話が出来るんだ!?さっぱり分からん。
俺も、早く自己紹介しないといけないのだが、固まって動けない。声が出ない。話せない。
「あれ?そういえば、関東で活躍している方も16才と聞いたのですが、その方は今居るのでしょうか?」
「ああ、そこで固まってるのがそれだよ。」
轟はそう言って、零治を指差した。
いきなり俺には振るな!という眼差しをしてきた。だが、立ち上がって自己紹介をしようとしたのだが・・・
「ああああ、ええと、関東で菊屋零治をしています、剣士と申しますっ!ななな何とぞよろしくお願いしまして、ふつつかものでしゅが初めましてアアアア舌噛んだああああ!」
「ええと。よろしく?」
「ほら、困っているじゃないか。だからもっと練習しとけって言ったのに。
ごめんね、こいつ人見知りなもので。関東一とは思えないでしょ?(笑)」
「あっ、そうなんですか。少し驚いちゃいました。」
「よし零治、一旦落ち着こうか。」
「・・・うん。」
「じゃあ私たちからも自己紹介を・・・って、二人とも何してるの!?それお酒だよ!私たちまだ未成年だよ!飲んじゃだめだってばぁ!」
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────数分後
「菊屋零治です。剣使いです。
年は同じ16才です。よろしく。」
「なんか違和感があるが、まあまともだからいいか。改めて、品原轟だ。よろしく!」
なんだかんだあったが、一応話せたからよしとするか。
「菊屋零治かあ。って零治か!?俺だよ海だよ。中学同じだっただろ。覚えてるか?」
そう言ったのは、最初に酒場に入ってきた男だ。
「おお!海か!久しぶりだな。元気にしてたか?」
「見ての通り元気だよ。零治も相変わらずコミュ障だな。」
「ほっとけ。」
零治がまともに会話している。轟はすぐにそこそこの知り合いだと悟った。
「なるほど、二人とも知り合いだったのか。」
「そうっす!自分、貞村海っていいます!零治とは中学が同じで、零治の唯一の友達っす!」
「余計なことをいうな。」
「これはネタになるなって、僕の直感が発動したものでねぇ。」
「なるほど、零治は中学の時からボッチ。(笑)」
「てめえ!」
「はいはい次々!」
次に自己紹介するのは、さっき轟と話していた女の子のようだ。
「えっと、花知咲未来です。年は同じ16で、弓などの遠距離が得意です。よろしくね。」
「未来は、目が紫っぽいのが特徴だよ♪」
「余計なことは言わないでって言ってるでしょ!」
海が口を挟んだが、やっぱりまともだ。俺もこんな感じに、自然な感じの自己紹介が出来るようになりたい。多分無理だが。
しかし、花知咲未来か、どこかで聞いたことがある気がする。まあいいか。
「ということで、最後に紹介するのが、このチビツインの・・・」
「誰がチビツインだ!
こほん。南優芽だよ!同じく16しゃい!この世で一番かわいいと評判の優芽って覚えてね!」
所々チャチャを入れる海が一番まともじゃないと思っていたが、こいつの方がヤバイぞ。
なんだこの痛々しい小娘は、しかも同い年。そしてぶりっ子発言。苦手だ・・・。
「あれえ?零治くん、よく見るとイケメンだねえ。決めた!私の彼氏にすりゅ!」
「はあ!?何言ってるんだ!馬鹿か?出会って早々彼氏にするって、やっぱりお前馬鹿なのか! ?」
「おっ、零治照れてる!」
「アホか!ドン引きや!海は隙なくチャチャ入れてくんな!」
「おーい、方言が出てるよ。今は東京に住んでいるけれど、零治は大阪出身なんだよ。」
「へえ、知らなかった。」
「轟は感心するな!そして海は、この痛々しい小娘を止めろ!」
「照れてるからって、『痛々しい小娘』はひどいよぉ。ちゃんと、『愛しの優芽たん』って言わないとぉ。」
「気持ち悪い!!!!!!」
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────コンコン
「零治、起きてる?」
「起きてるぞ、入ってもいいぞ。」
「それじゃあ失礼。」
ここは、ミレルヴァにある宿屋だ。今日は関西から来た3人も俺も、ここに泊まっている。
「どうだい?結構普通に話せていたけど、コミュ障が治ってきたのかな?」
「今日は、お前と痛々しい小娘に振り回されていただけだ。明日会ったら、挨拶すら出来ないかも知れない。てか、普通に話せてない。」
「早く治しなよ。」
「そう上手くいかないから困っているんだ。」
色々と振り回されたが、人見知りなのは変わらない。まともに話せるのは、もっと慣れてからだ。
「明日は、エネミーを倒しに行くみたいだけど、心の準備は出来てる?」
「あれから一年生き抜いてきたんだぞ。これくらいどうってことない。」
「同感だよ。
じゃあ、明日はお互い頑張ろうね。」
「当たり前だ。」
「そこは『おう!』とか、言ってほしかったんだけどね。」
「俺の性格だ。解れ。」
「はいはい。じゃあおやすみ。」
「おやすみ。」
to be continued
一気に主要キャラが増えてしまいましたが、口調等で区別が出来るように頑張りますのでよろしくお願いします!