うさぴょん 困ったぴょん アー〇レット 君に決めた
「まいどスラー」
と、メタ子がお客さんに商品を手渡す。
いつもながら、すごいなーと俺はメタ子に感心する。
メタ子さまさまで、俺一人で働いていたとき比べてだいぶ楽になった。
いまは、俺が仕入れとか品出しとか役。
メタ子がお客さんをさばくとか役。
で、店を回している。
最近は、特にこまったことは起きていない。
いっぱい仕入れて、いっぱい売ってうはうは儲けている。
で、今日も、平和だなーと俺が思っていたら・・・・・・、そうは問屋が卸さなかった。
「ぴょん~~~」
店のドアを開けて、突然、うさぴょんがやってきた。
肩をがっくり落としていて、うさみみもだら~~~んとしている。
なんだか、全体的に落ち込んでいるようだ。
いちおう、俺はこのうさぴょんから不動産を買った身。近寄って、なんか聞いてみる。
「どうしたんですか?」
「なんか、噂で、この店が便利グッズを売っていると聞いて、やってきたぴょん」
はーっと、ため息をつきつきうさぴょんはそういった。
しょんぼりんりん。
うさぴょんは、不動産屋の店主なので非幼女なのはわかっているが、身長が1mでうさみみぴょんぴょんだから、かわいい。
どうも、かわいいものを見る目でみてしまう。
だめだ、だめだ・・・・・・、彼女は非幼女。
俺は、努めて紳士的にうさぴょんに話しかける。
「なにか? 便利グッズがいるような事態でも?」
にんま~~~りと努めて紳士的に。
「ぴょん。そうだぴょん。大変だぴょん。出たぴょん」
「出たって、何がです?」
「何がって、ぴょん、口に出すのもおぞましいものがうちの不動産に出ちゃったぴょん。やばいぴょん」
うさぴょんは想像するのもおぞましいとばかりにいやいやする。
なんだ、なんだー。そんなにやばいものがでたのかー。
「口に出すのがやばいって、何ですかー」
「うぅー、ぴょん」
うさぴょんは本当に口に出すのも嫌なようだ。
なんだか、要領を得ない。これでは、手伝えるものも手伝えない。
そうしていると、
「ご主人様ー。もしかして、ごきゅぶりのことじゃないスラー」
メタ子が、なんだか聞いたことのあるような生物の名を口にした。
ごきゅぶりって、ゴキブリの異世界版?
メタ子の言葉を聞いたうさぴょんがううーと両手でうさみみを押さえる。
聞こえないー、聞こえない―としている。
「あってますか?」
「あってるぴょん」
俺の問いに、観念したようにうさぴょんが答える。
どうやら、メタ子が言った名前が正解のようだ。
メタ子、やるなー。というか、最近まで荒野で生活してたよなー。ファンタジーか?
「で、そのごきゅぶりというやつが不動産にでたと。何か、問題なのですか?」
「何をいってるぴょん。大問題だぴょん。気持ち悪いし、それだけじゃないぴょん。このままだと建物のレンガがぼこぼこ穴だらけにされちゃうぴょん。なんとか、ならないぴょん?」
「穴だらけ?」
「そうぴょん。ごきゅぶりは無人の建物で大量に繁殖して、建物のレンガを食い散らかすぴょん。不動産屋の大敵ぴょん」
こわいな、ごきゅぶり。無人の建物に繁殖するだけでなくて、レンガ食い散らかすって。
怖さの比はゴキブリ以上と見た。
でも、俺になんとかできるのか? 異世界特有のなんかすげー生き物とかなら手におえないが・・・・・・。
「どんな生き物なんですか?」
「うー、ぴょん。口に出すのはいやだけど・・・・・・、しかたないぴょん。これも、これも、駆除のため」
うさぴょんは、うるうるしながら話し出した。
「まず、黒いぴょん」
ほう、黒い。メモメモ。
「それから、てかてかしてて」
てかてか。メモメモ。
「がさごそ、素早く移動して」
おやー?
「羽があって、飛ぶこともあるぴょん」
ふむー。
って、やっぱりゴキブリかー。
Gかー。
どうするかと、俺はいろいろと考える。
いろいろ、いろいろ。いろいろ、いろいろ。
ピコーン。
そうだ、あれが使えるではないか。
「メタ子、留守番を頼む。うさぴょん、待っててください」
俺は、走り出した。
◇
俺は、いつものように日本に行った。
で、そっこーでスーパーに行き、例のものを探す。
もーくもく、もーくもく、どこかなー。
もーくもく、もーくもく、どこかなー。
スーパーのもくもくコーナーを一生懸命どこかなーする。
あったぞー。
害虫退治に同じ二の煙がもくもくするやつを発見した。
パッケージには、ゴキブリ・ダニ・ノミ対応と書いてある。
例のものをレジに持っていき清算する。
よ~~~し、例のものゲットだぜー。
そして、俺は異世界屋プログラマに戻った。
◇
「うさぴょん、いいものがありました。これです」
俺は、店に戻ってからすばやくうさぴょんに例のものを手渡した。
じゃじゃーん。
アー○レット。
「なんだぴょん。これは」
うさぴょんがうさ右みみを傾けながら、聞いてきた。
「ふふ。これこそが、伝説のアー○レットです」
俺は、どうだーというように胸を張って答える。当然、ひんにゅーだ。
「アー○レット?」
「そうです。これを使えば、煙で害虫なんていちころです。当然、ごきゅぶりもやっつけられると思います」
「これから、煙がでるぴょん?」
「そうですよ」
うさぴょんがはてなーとしているので、俺はパッケージを読んで使い方を教える。
こうだよー、こうだよー。こうだよー、こうだよー。こうするんだよー。
うさぴょんは最初わからないように聞いていたけど、最終的に「分かったぴょん」と言ってくれた。
説明を聞き終えたうさぴょんは、アー○レットを見つめながら、
「もし、これでごきゅぶりを退治できたら画期的ぴょん。今までは、嫌がる冒険者に無理を言って依頼していたぴょん。それでなんとかはなってたぴょんが、退治方法が実力行使すぎて不動産がけっこうよごれていたぴょん。でも、これを使えばそういうこともなくなるぴょん」
と、やったーとしている。
そして、うさぴょんは「さっそくためしてみる」と言い、店を去っていった。
――後日。
「すごかったぴょん。ごきゅぶりが全滅ぴょん。アー○レットをおいて、ちょっとほっといたらこれぴょん」
うさぴょんがやってきて、にこにこ笑いながらアー○レットをほめちぎった。
「よかったです」
「よかたスラ」
うさぴょんの笑顔を見てたら、俺はなんだかうれしくなった。メタ子の方をみるとなんだか彼女もうれしそうだ。
なんだか、商売ってうはうはうはうはだな。お金を儲けてうはうは。そして、笑顔を見てうはうは。
そんなことを考えていると、
「これは他の不動産屋にも教えるぴょん」
と言い、うさぴょんはまた去っていった。
◇
うさぴょんんはなかなかに顔が広かったようで、彼女から話を聞きつけた町の不動産屋が後日結構来てくれた。
で、町の不動産屋から噂を聞いたほかの町の不動産屋もどしどしと店に訪れるようになった。
そして、アー○レットは不動産屋の必須アイテムとなり、店のちょっとした人気商品になった。
よ~~~し、明日は何があるかなー。