スープ 君にきめた
俺、巫女ちゃん、そしてメタ子は朝食を食べるために共同ルームに集まっている。
「メタ子、早速今日から、店で働いてほしいんだけど」
俺は、朝食の席で、缶詰をじゅわじゅわしているメタ子に話しかけた。
「いいスラー。まかせてスラ―。ご主人様」
メタ子は、缶詰をじゅわじゅわさせてスラーと答える。
バッチこい。まかせろー的な感じだけど、大丈夫だろうか?
これまでの話を聞いた限りでは働いた経験どころか、おおよそ飯くって寝るくらいしかしていない。
やっぱり、最初は仕事を教えなきゃなと思っていると、
「戦艦にのったつもりでまかせるスラー。店番くらいよゆースラ」
「え? でも、やったことないだろ」
「やったことはないスラが、できる気がするスラ。まかせるスラ、ご主人様」
「でも、心配だなー」
ちらり、ちらりと俺は巫女ちゃんを見る。稲荷ずしをもぐもぐしている。
店の商品が少なくなってきているし、カレーがもうない。
カレーがないと、暴動がおきかねないので朝一でちょっくら仕入れにいきたい。
でも、ちょっと心配。いや、かな~~~り、心配。店番できるだろうか? とか、じゅわっとお客さんをしないかとか。
意を決して、俺は巫女ちゃんにお願いをする。
「イナリさん。ちょっと、お願いがあるんだけど。ちょっと、メタ子のサポートお願いできる?」
「なんじゃー? いやじゃー、いやじゃー。わしは巫女なのじゃー」
くっ。分かっていたこととはいえ、イラっとする。
「いや、そこをこれだけで」
俺は、右手の人差し指と中指をピっと立てて、巫女ちゃんに示した。
「ふむー。けちなのじゃー。もうちょっと、よこすのじゃー」
効果はばつぐんのようだ。でも、足りないだとー。
「じゃあ、3パックでいい?」
「うむ。交渉成立なのじゃ」
「よろしく、スラー」
俺と巫女ちゃんはがっしりと握手をする。
巫女ちゃんとメタ子はがっしりと握手する。
う~~~ん、よかった。
メタ子が「できる、できる」とか言ったら、どうしようかと思ったけど、よかった。
これで、朝一で仕入れだ―。
仕入れだ―と思い稲荷ずしをかじったら、なんかスープを飲みたくなった。
スープと言えば、巫女ちゃんに拾われたときに飲んだスープはまじかったなーとしみじみする。
「そういえば、イナリさん。前にイナリさんにスープ飲ませてもらったけど、あれまずかったね」
「仕方ないのじゃー。スープと言っても水に野菜を入れて、煮込むだけなのじゃから」
「どおりで、まずいはず」
「まずいのじゃー。じゃから、お主の持ってきたカレーというスープに人気が出たんじゃろ」
巫女ちゃんの一言に俺はおや? となる。カレーがスープだって。そりゃ、カレーはスープだっていう人もいるけど。
「カレーはスープじゃあないのに・・・・・・」
「スープじゃろ」
「スープじゃない」
「いや、スープじゃない」
「スープじゃろ」
・・・・・・。
・・・・・・。
「スラ?」
・・・・・・、俺と巫女ちゃんはぜーはーぜはーと言いながら、激しく疲れ切っている。
なんか、カレーはスープなのか、でないのか論争というむなしい言い争いをしてしまった。
そりゃ、疲れるよ。
メタ子なんか、はてなーという顔をしている。
そっか、そういえば、スープがまずいから塩とかコショウとか仕入れたんだっけ?
となると、スープなカレーがバカ売れしているから、真のスープも売れるに違いない。
いまは、カレーが主力商品になっているけど、少しづつ他の商品の販売も拡大したい。
よ~~~し。スープ、君に決めた。
◇
俺はいつもの要領で日本にやってきた。
今回はやることが2つある。
リヤカーの入手と仕入れだ。
まず、俺はホームセンターにやってきてリヤカーを購入した。
もう、段ボールとか手さげ袋でものを運ぶのはいやだ。なんか、疲れるし。メンド―だ。
リヤカーなら、いっぱい運べるし、メンド―でないはずだ。
次ぎに、スーパーへ向かった。
ガランゴロン、ガランゴロン、リヤカーを引きながらスーパーへ向かった。
そして、スーパーの駐車場にリヤカーを止めた。
・・・・・・。
あれ? なんか、これ、はずかしい。
・・・・・・、リヤカー作戦失敗。
ま~~~、いっか。今度考えよう。
俺は、スーパーでいつものようにいろいろものを購入する。
カレーにあれにあれに、と不足している商品を積み込んでいく。
特に、カレーはばかすこ売れるので大量にカートに積んでいく。
レジーン。
カートがいっぱいがいっぱいになるたびに、レジで精算をして、リヤカーに積み込む。
リヤカーは裸で駐車場に放置だけど、大丈夫だろ。ほうちなだけに。
警備員さん、頼みますよー。
そして、スープの商品棚へいざ出陣だ―。
スープ棚にある商品を端から端まで大人買いのごとくあさりまくる。
コーンポタージュをごっそり。
コンソメスープをごっそり。
たまごスープをごっそり。
オニオンスープをごっそり。
トマトスープをごっそり。
・・・・・・。
・・・・・・。
とにかく、ごっそりと取っていく。
商品棚がすかんすかんになって、他のお客さんが引くほど俺はスープをカートに入れまくった。
で、スープ、カレーやなにやらでいっぱいになったカートをレジの持って行って清算した。
清算した商品をリヤカーに持っていき、積み込む。
どうやら、商品は無事のようだ。ありがとうございます、警備員さん。
なんかいか、レジーンしたけど、まだまだ、200百万円近く残っている。
よ~~~し、儲けるぞー。
◇
店の前まで戻ると、なんだかいつもより、店内が静かそうだ。
やべー、やっぱりなんかあったか。
巫女ちゃんにしても、巫女だし。
やっぱり、俺が最初にメタ子に教えるべきだったかー。
と思い、店のドアを開けて俺は店内に踏み込んだ。
そこで俺はおどろきの光景を目撃する。
なんとー、カウンターの前に並んだお客さんがすごい勢いで処理されていた。
メタ子がすごい勢いでお客さんを処理していた。
おおー、と俺は驚く。
いい意味でフリーズする。
「帰ったかのじゃー。見ての通り、わしは用無しなのじゃー」
俺がフリーズしていたら、イナリさんが話しかけてきた。
「そうみたいだね」
「教えず、あれなのじゃー。おかしな、メタルスライムなのじゃー」
確かに、おかしなメタルスライムではあるが、ふふふ、これはいい誤算。
ゆったりへの初めのだいいっぽというやつだ。
よ~~~し、と思い俺は持ってきた商品を並べ始めた。
◇
「売れないスラ―。スープ売れないスラ―。ご主人様」
「そうだな。なんでだろーな。」
あれから数日、俺はメタ子のおかげでけっこうまったりと店番をしていたが・・・・・・・。
なんか、スープ売れない問題に直面していた。
カレーは売れるが、スープは売れない。
なんでだー。
グルン、グルン、グリーン。
グルン、グルン、グリーン。
カレーとスープの違い・・・・・・。
ピコーン。
そうだ、カレーは食べてもらってから売ったんだった。
スープも同じようりょうで食べてもらえばいいんだ。
よ~~~し。
俺は、スープをお客さんに試食してもらうことにした。
そうと決まれば・・・・・・。
俺は、店内で売れないで残っていた紙コップとスープを持ってきて、せっせと試食品を作り出した。
せっせ、せっせ。
せっせ、せっせ。
かんせ~~~い。
スープの試食品が完成した。
で、どうぞーと配り始める。
「スープ、おいしいですよー。どうですかー」
「おししい、スラよー」
メタ子も一緒に配り始める。
最初は試食品をきょとんと見ていたお客さんたち。
でも、最初に試食品を飲んだお客さんが「おいしー」というと、われさきにと試食品をかっさらっていく。
あれよ、あれよと用意したスープの試食品はなくなってしまった。
「「ほかにないのー」」
と、試食した人、できなかった人が口々に行ってくる。
作戦セイコー。
俺は、
「ええ、ありますよ」
と、スープの商品棚をばばーんと白日のもとにさらした。
「「おおー」」
その日、メタ子と俺はスープを買い求めるお客さんをさばきにさばきまくった。
「すごいお客さんスラー」
「おおー。頑張るぞ、メタ子」
てってれー。
スープは人気商品になりましたとさ。