百花爆散、花鳥風月戦
薊さんには元ネタがないんですよね。ツンツンデレなしみたいなキャラは近くに友人って存在が居るのでその意味の通り腐るほど見てるわけですが、触れたら戻れない(戒め)って意味ならば
同じかもしれません。そんなことを気にしつつ、第三話をお楽しみください!
盛者必衰の理 生きてる限りは必ず死ぬ それが常識だろうか、ああ常識だろう。
但し、生きている限りは必ず死ぬのではない。 何故なら心の中に生きた言葉が残っているからだ。
そして子孫が途絶えない限りはそれが消えることはない。消えるのは声だろう。
思いは引き継がれるのか?ああそうだ引き継がれるさ。 忘れ去られない限りはね。
「千駄ヶ谷高等学校、第五十四回花鳥風月戦を開始する。」
その放送は突然だった。高校生活二年目が始まって間もなく花鳥風月戦・・・前回僕が庭園戦の優勝旗を手に取った時の戦いがまさか一か月すら経たずに始まった。それは何かの始まる予兆で何かが終わる予兆だった。少なくとも不穏な生活が始まり、平穏な生活が終わるという事は分かった。
「えー、まず最初に注意しておく。この大会は厳粛かつ秘匿で行っているため、外に情報を漏らす様な行為は退学とする。但し、花鳥風月戦が終われば外に研究成果を出すために情報を流すため、本戦が終わり次第自由とする。」
説明しているのは無精髭が武士の様な雰囲気を醸し出している教頭だ。話しかけては危ないと思ってしまいそうだが、かなり優しく意外にも不良を優しく更生したり、テストのコツを教えてくれたりと優しい。
「今回の優勝旗は5つで、刀如戦、陰陽戦、庭園戦、茶室戦、天下戦だ。」
刀如戦は、『武士』と呼ばれる称号を持った生徒が戦う。武士は、輝刀を携え、己の身のみで戦う。主に力で押し切ると思われているが、技術力がないと己が身を斬る生徒も居るという。輝刀の力は限度が存在しておらず、虫すらも叩けないような輝刀から、次元と呼ばれるものに切れ目を入れる程の輝刀も存在する。
陰陽戦は、『陰陽師』と呼ばれる称号を持った生徒が戦う。日本古来から居た妖怪を、実体化して使うという召喚という技術を使う。妖怪は人によって違うが、まず人間の肉体の数十倍から数千倍までに及ぶ妖怪が出たこともあるという。確実に人間よりは強いだろう。しかし、妖怪とはいえ弱点も存在していてその弱点を破壊されたら死に至るという。もし相手の妖怪が死に至った場合、権限を剥奪されたうえで祟られるというこちらも危険な称号だ。
庭園戦は、僕が頂点に君臨する理由にもなった『庭師』と呼ばれる称号を持った生徒が戦う。種をばら撒き、相手の称号を乗っ取ったり、吸い取ったりすることができる。その上、使い魔と呼ばれる植物の特徴を持った仲間を呼び出すことも可能だ。しかしこの能力は使えば使うほど集中力が切れていくため、集中力が切れたその時が植物になるという恐ろしい能力だ。
茶室戦では、『茶人』と呼ばれる称号を持った生徒が戦う。茶人は恐ろしく危険な能力である。それは相手が自分より上に立たれた時に風流と呼ばれる奥義を扱うことができる。それは季節を操る事ができたり、天候を操る事ができたり、祟りを強制的に呼び出す事ができるようになるなど能力だ。正直言うと速攻で決めなければ同じ称号を持った生徒に倒されてしまうという事でもあるため、かなりリスキーな能力だ。もし負けたりした場合は、幻覚に四六時中襲われる。
天下戦はその全ての戦の勝者が最終決戦をする。能力同士の競合が起きるため、かなり激しくそして見ている側にも被害が及ぶ可能性も高い。
つまり、どの称号も負ければ死に至るかそれ以上の苦痛を与えられるという事だ。
「えー、これより第五十四回花鳥風月戦を開始する。」
その声と同時にホラ貝の音が鳴った。平穏な場などはほら貝の音に消し飛ばされ、辺り一帯は不穏な空気に包まれた。何故なら開始の合図が鳴った途端に校内全ての場所で戦闘が始まるからだ。僕はいま2-Bの教室に居るが、この教室ですら同じ称号持ちなら戦っていいからだ。
「へぇ、前年度一位の雨村君か。」
目の前に立つのは前回の二十位である紫沢 獄麻呂だ。親のネーミングセンスもどうかと思うが、何よりこの男は「汚い」のである。
「何?戦う気ならいつでも受けるけど。」
一応強がってみたものの、相手側には全くと言って反応がなかった。
「シードバレット、散弾、我が身を削りて我が敵を貫け。」
紫沢がそう呟き、手で合図を送るとそれと同時に僕に対して種銃の攻撃が来た。
「木々怪々(キギカイカイ)」
僕の使い魔は奇々怪々だ。そう奇々怪々で木々怪々だ。樫の木のような色合いの大木の使い魔が現れると、素手でシードバレットを栄養分として吸い取った。木々怪々は根を教室の床に張り巡らさせると、一気に耐久性を吸い取った。
「そうか、そんな能力なんだな。見せてしまったが最後、俺の勝ちだな。」
紫沢は今度は自分の能力をフルパワーで使用して、雪のように白い花、スノードロップの綺麗な使い魔を発生させた。
「スノードロップの花言葉ってさぁ、知ってるか?お前。」
使い魔に対して指示を出したのか、紫沢は手を僕の方向に向ける。一応木々怪々を身構えさせたが、その場しのぎの嘘かもしれないので、僕を護衛させた。
「「あなたの死を望みます」って言うんだぜ?なァ・・・スノードロップ。突っ込め。」
そう声を出すとスノードロップは(彼がスノードロップと呼んでいたのでそう呼ぶことにする。)綺麗な雪の結晶をまき散らし、木々怪々の"根"に対して突進した。
「ハッハァ!ほら見てみろよ、凄い勢いで今度はお前のが床に呑まれてるぜ。こりゃあ、このまま死んだら床だよなぁ!床だけに愉快愉快だなァ!」
実際物凄い勢いで僕の集中力が削がれていく、もう考えるだけの集中力もないかもしれない。鼬の最後っ屁として蔦を四方八方に撃ってみるも、集中力が足りずにあらぬ方向へ飛んでいく。
「ほら、床を見ろ。」
床の耐久は全て吸い尽くされ、ベシリと音を立てて床が抜けた。下からは叫び声と外に逃げる為にドアをあけ放ち、走って逃げだす足音がする。
「うっ・・・降参するから、これ以上の攻撃はやめてくれ・・。」
ここまで来た以上、死ぬ可能性も十分にある。僕の頭脳の使用率はとうに100%を超えていた。
「じゃあな、スノードロップを新しく植えなおしたしさ、スノードロップ。突っ込め。」
僕の目の前にスノードロップが迫ってきている。前から見ると垂れ下がった花びらから悪魔の牙がチラリと覗かせる笑みがあった。目の前が白一色に染まるころには僕は取り込まれてるんだなと思うとまだ生きたいなという欲張りな欲望が芽生えた。
「助けて。」
そう一言しか声が出なかった。その一言で結果は出た。
「アンタ、本当に威厳がないわね。」
するとセーラー服のすらりとした女子生徒が現れた。この影は見たことがある。
しかし、その傍らにはピンク色の髪の少女が一人、空間から孤立したような子が居た。
「薊は私と同じじゃない。私は私。だから、私には触れないで。」
多分、ピンク色の髪の少女の声だろう。それに見合うような少女のような声だった。しかしその言葉を口にした直後、爆裂するような音と共に薊の花が舞った。それと同時にスノードロップは、枯れた。
「誰だよお前ら。いきなり人がバトっている時に入ってきてさァ・・・。邪魔なんだよッ。」
紫沢はそう言うと再び、スノードロップを呼び出し、今度は檜の壁を創り出してスノードロップを突っ込ませた。スノードロップはその命令に答え、突進した。
「私の事かしら?私の名前は小倉薊よ。そこの奴を殺さないでくれる?」
やはり薊さんだった。この使い魔は見たことがある。名前は思い出せないが、強かったのは覚えている。それより薊さんは紫沢の使い魔が向かってきているのに反応をしない。
「おっと!お話に気を取られすぎですよ?ア・ザ・ミさん?」
煽り口調で話す事も気にせず薊さんの使い魔がスノードロップに当たると、髪の色がさらにピンクに染まった。まるで怒りを表しているかのようにピンクの髪はゆらゆら揺れていた。
「そういえば、紫沢っていうんだっけ?このガキは。薊の花言葉って知ってるかしら?」
そう言い、紫沢の方を向くと紫沢は首から上が無くなり、血飛沫によって赤に染まったスノードロップが群生していた。そしてその骸の傍らには紫沢の生首を持った薊さんの使い魔が。
「薊の花言葉は、復讐って言うのよ。」
初めましての方は初めましてそうじゃない方は上手投げでもどうぞ、華乙です。よくよく考えてみればやっと書き始めて7日目なんですね。更新したのはかなり後になりますが投稿日時を見れば一目瞭然。あっと驚き9/7~9/14日になっておりました!僕はかなり長い期間書いていたような錯覚をしてしまったようなのでここら辺で切り上げてしまいます(意味不明)。それでは!次回もよろしくお願いします。