第46話
身体強化を解除して、シーリャは息を吐いた。
「帝国の元副隊長か」
戦闘を思い出し、ドルウンに評価をつけるとすれば、普通っと言う答えが出てくる。
まあ、最後の死ぬ気で来たところはかなり評価できるのだが、それでもリーリンに届きそうかもっと言うくらいだった。
「でも動きの感じからすると、何年かまともに剣の修行をしていない感じだったし・・・。 それなら帝国に残ってまともに修行をしていたら、もう少しは強くなっていたかな」
そう考えると帝国って結構、戦力が整ってると思う。
帝国には大隊が1~5まである。
第1大隊が一番強いっと言うのもなく、その時々で、どの大隊が強いかはかわってくるそうだ。
でもこの人を基準に数年前の、帝国の状況はなんとなくわかった。
だが数年前の話で、今はもっと戦力は強化されていると思う。
帝国も、そろそろ魔族との戦争が始まるのは知っていることだから、それに合わせて戦力強化はしているはずだからだ。
っといっても、剣帝もかわいそうにな、育てている途中だった中隊長が一人抜けているんだから、新しく人を探すとか面倒だろうしね。
こっちもこっちで、戦争が近いっていうのに、まだまだ人材が足りないなって思ってるし。
まあ、それでも裕也がいるからボク達のほうは、ある意味運が良いよね。
今回の戦争はあまり関係ないかもしれないけど、裕也と誰か、できればボクとの子供が良いけど、その子が次の戦争の主力になる可能性が高いだろうし。
「っと、いけないいけない」
こうやって戦力とか色々考えていると、国のためにどうすれば良いっていう方向になって、裕也を戦力増強の道具って考えてしまう。
「でもそうは思いたくないよね」
好きな人を道具扱いしたくない、それは普通の事なんだけど、甘いって言われるだろうな。
「まあ、今考えてもどうにもならないし、そろそろ戻るかな」
戻る前に、一応怪我とかないかを確認していく。
服は魔術などのせいでボロボロになっているが、体は特に異常なし。
大剣を受けた脚もまったく問題なし。
「顔も問題ない・・・・・・」
顔を手で触って確認していると、手に何かがついた感触があった。
即座に手を見ると、そこには少しの血がついていた。
「あれ、顔なんて攻撃されてなかったのに何でだろ?」
返り血?
違うな、う~ん。
戦闘の状況を全部思い出しても、思い当たる物はない。
それにあの時使っていた魔力量の身体強化なら、ミスリル以上の防御力はあったはずなのにな。
「あ、そっか。 最後のやつか」
千切れそうな腕を無理矢理振って、耐えれなくて千切れたのかと思ってたけど、意図的にやったのか。
「最後の最後にそんな事をするなんて凄いな。 でも女の子の顔を傷つけるなんて許せないな」
頭のない死体を睨みつけると、跡形も無く消してやろうかと、少し考える。
「でもそれって八つ当たりか」
自分自身がもっと警戒していれば、こんな事にはならなかった。
それに相手が格下だと思って、油断してた部分もあるのだろう。
「ボクもまだまだって事だね」
顔の少し切れている部分に、魔力を回し、自己修復能力を強化する。
1秒ほど待って血を手で拭うと、切れた後はなくなっていた。
「帰る前に気がついてよかったよ」
リーリンに顔に傷が出来たなんて知られたら、商業都市に着くまで馬車から出れなくなる可能性もあったし、ほんと気付いてよかった。
再度他に傷がないか調べて、もうない事を確認すると、裕也達が待つ洞窟に向って走り出した。




