第39話
獲物は20人、といっても今の殺気を出した事でわかってしまった。
20人全員がある一定以上の強さはあるが、やっぱり前の二人以外は弱い。
殺気を感じで少し恐怖で震えていたのが感じられた。
ボク程度の殺気で、震えるなんてほんとだめだ。
だめだめなら先にそれを掃除してから、あの二人と遊ぼう。
まあ、そういっても他の人を掃除しようとしたら、止めに来るのよね、だから。
右足を少し上げると、地面を強く踏み付けた。
地面にはひびが入り、破片が宙を舞う。
宙に舞う破片で良い大きさの物を掴むと、連続で前の二人に投げつけた。
凡庸な兵ならば、この石を防ぐ事もできないで、体に穴を開けて死ぬだろう。
だけどこの二人は、余裕で防ぐ。
飛んで来る石を見ると、大剣使いが前に出て構えると、大剣を横に一閃、全ての石を剣圧だけで粉々に砕いた。
やっぱり防がれたか。
そう考えると同時に、もう一度石を投げる。
防がれるとわかっているのにもう一度投げた石は、やはり大剣使いに同じように防がれた。
でもそれで良い。
今回は投げると同時に後ろにいる敵に向って走っていた。
前の二人にとっては1秒以下の時間稼ぎ。
それでも。
たった3歩で後ろのメイス使いに肉薄した。
間合に入ると、反射的に手に持ってたメイスを振ってくる。
この人が冷静なら、防御に徹して仲間が来る時間を稼いだだろう。
だけど、さっきの殺気で恐怖が植えつけられている。
恐怖から判断を鈍らせ、直線的な一撃。
シーリャはその一撃を、相手を飛び越えるように回避しながら、相手の頭を両手で掴んだ。
敵は打撃対策をしている。
ならどうすれば良いか。
それは簡単な話だ。
頭を掴んだまま、体を横に回転させる。
普通ならそれで、相手の身体強化も有り、首を折ったりなどは難しいのだが、シーリャは軽々と相手の首を捥いで、地面に着地した。
首など長々と持っていたくないので、すぐに投げ捨てると、次の獲物に走ろうとした。
が、そうはできなかった。
走り出す前に、横から大剣が追いついてきて、大上段から剣を叩き付けて来た。
後ろに大きく跳ぶ事で、その一撃を回避するシーリャ。
それを読んでいたのであろう大剣使いは、振り下ろした剣と手に、魔力を大量に注ぐ。
「はっ!」
裂帛の気合いと共に振り抜かれる大剣。
放たれた剣圧による衝撃波、辺りにある全てを薙ぎ倒しながらシーリャに迫った。
斬るタイプの衝撃波じゃない。
瞬時にそれを衝撃波の質を理解すると、相殺するために、地面に拳を突き立て、同威力の衝撃波を自分の前に作った。
衝撃波が通り過ぎると、シーリャが立っている場所以外は平らな地形になっていた。
「やれやれ」
手と服に付いた土埃を手で払うと、シーリャは立ち上がった。
「がんばってくれるのは嬉しいね」
そう言うと、敵リーダーの魔力香がする方向に見た。
そこには無数の火の矢が宙に浮いていた。
「狙いやすくする為に、邪魔な岩を掃除したって所か」
結構距離があるから聞こえなかったのか、それとも聞こえていたけど無視したのか、それはわからないが、無言で仲間に合図を出すと、火魔術の一つ、ファイア・アローがシーリャを射抜くため殺到した。




