第37話
シーリャは近づいてくる人達を、じっと観察し続けた。
距離が近くなれば、相手の動きや装備が細部までわかってくる。
そこから、相手が盗賊かそうでないかを見極めようとしていた。
うーん、ある程度統率のとれた動きしてるなー。
先頭から二番目の人、背中に柄が見えてるし、あれ大剣を持ってるよね。
左端の人はたぶん手斧。
他の人達も、武器はばらばらって見たいだね。
隠密なら大剣なんて持たないだろうし、ていうか斧も無いよね。
結論として、隠密ではない。
それなら相手はなんだろう?
そう考えた時、出てくる答えは二つ。
傭兵団か盗賊。
傭兵団なら隠蔽の魔道具を使う必要性はないだろうから、結局答えは盗賊だろうね。
シーリャの考えがまとまる頃には、相手もシーリャが岩の上にいるのを確認し、散開した。
先頭と二番目に走ってた二人はそのままシーリャに向って走り、残りの18人は左右に9人ずつ分かれて、周りにある岩を使いながら囲むように動いた。
二人はシーリャがいる、岩のしたまで来ると、攻撃するのではなく、先頭を走っていた男は話しかけてきた。
「お譲ちゃん、こんな時間に一人でいると危ないよ」
ローブのフードを取って話しかけてきた男は、大体30歳前後のいかにも戦士とか傭兵って感じの男だった。
「ちょっと夜空が見たかっただけだから、すぐみんながいるところに戻るよ」
「そうかい、この辺りは危ないから俺達二人が、そのみんながいる場所まで送ってやるよ」
シーリャを気遣うような言葉を、その口から言っているが、本気でそう思っていないのはすぐにわかった。
「おじさん下手だね」
「そうかい? これでも俺の言葉を信じてほいほい付いて来た子供もいるんだぜ」
「ふーん、そうなんだ。 それであんた達の目的は何?」
「それはな・・・・・・」
答えが返ってくる、そうは思ってい。
それに今の話の流れから、こっちが相手の事を盗賊だとわかっている事は理解している。
それなら、すぐに周りに潜ませているのと同時に攻撃してこないのか。
それは奇襲の成功率を上げるためだろう。
話すことで油断を誘うそんな感じかな。
それなら。
シーリャは意図的に、前に二人に意識を集中するように見せかける。
「それは?」
話を続け、後ろの警戒が薄くなってるように見えるように。
「こうするんだよ!」
大剣を背負う男が急に声を上げると、ダンッ!と一歩踏み込みながら、大剣の柄を握る。
それと同時に後ろに潜伏していた、手斧使いとメイス使いが死角から飛び出してきた。
前のあの踏み込みは意識を向けさせる物。
すぐには攻撃してこないだろう、それなら。
前の二人を無視すると、大きく下がる。
下がりながら、気配で位置を把握している後ろの二人を攻撃間合に入れると、振り返ると同時に一人を右回し蹴りで胴を蹴り吹き飛ばし、右足が地面に着く前にそのまま左足でもう一人の顎を蹴り上げた。
「へー、なかなかやるじゃないか」
先頭の男が、そんな事を言ってきた。
「褒めていただきありがとうございます、とでも言えば良いのかな?」
「ああ」
「それで、あんた達の目的は馬車の荷物を盗んで、その馬車に乗っていた人は奴隷商人にでも売るって感じかな?」
「すごいな、そこまですぐに理解したやつははじめてだよ。 だけどその答えは100点ではないな」
「それなら答えを教えてよ」
「答え、それはな」
男が答えようとすると同時に指を鳴らすと、周りに潜んでいた者達と、さっき吹き飛ばした二人が出てきた。
「獣人専門の人攫いって事さ」




