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第36話

何かの移動速度からして、大体15分くらいで洞窟につく距離。

全速力なら2分もあれば、何かがいる場所にはつくだろう。

だけど、そんな事はしない。

音を使った探知で、魔物では無いだろうとは感じた。

魔物ではない、そうなら相手は人だろう。

そこから考えられるのは、魔術か魔道具による隠蔽。

この距離でまだ気配を感じられない、っという事はそこそこ以上の隠蔽魔術を使っているか魔道具を使っている。

そんな相手が探知を怠るだろうか?

いいや、それは無いだろう。

全速力で近づけば相手にすぐに探知される。

そうなれば、相手は臨戦態勢で迎え撃ってくるだろう。

臨戦態勢となれば、奇襲などは出来ない。

まあ、スピードを活かして、接触と同時に一人を蹴り殺す事は出来るかもしれない。

でもそうなるのは、相手がそこまで強くない場合だ。

リーリンと同等くらいのが一人でもいれば、そういう直線的な攻撃をすれば、逆に反撃をくらう。

それなら今回どう動くのが一番良いのか。


シーリャは少し考えて、すぐに結論を出した。


相手に油断してもらう、それが一番良いだろう。

相手の今の動きからどの道を通るのかはわかる。

通る道に先に行って、待っていれば良い。


そうきめると、走り方をいつもと違う物に変える。

足音を立てないように、気配を消すように走る。

魔術ではなく、獣人特有の獣としての隠蔽技術。

隠密部隊の長ならば、何重にも探知魔術で警戒している場所にでも、探知されずに侵入できるらしい。

シーリャの場合は隠蔽技術はそこまでの物ではないので、2種類くらい探知魔法を使われていた場合、みつかるだろう。

でも、今回は相手とはある程度距離がある。


たぶん大丈夫だよね。


少し不安もあるが、そのまま走った。





相手の移動方向から確実に通るだろうと、予想して待ち伏せた場所は、少し岩などがあるが、ほとんど隠れたりする物がない場所だった。


音で探知した時に知ったのだが、この場所以外は地形が複雑になっていて、予測している相手の人数からすると、ここ以外はあまり通りたくないだろう事はわかっている。


適当な岩の上に座ると、相手が来るのをじっと待った。


もしかしたら、この場所を通らない可能性はあるのだが、裕也から離れたのもあり、今は相手の魔力香で位置は把握できている。


やっぱりこっちに真っ直ぐ向ってきてるな。

・・・・・・そろそろ見えるかな。


立ち上がると、目を魔力で強化して、相手が来る方向をじっと見た。


うーん・・・・・・・・・、来た。


見えたのは20人。

ローブを着て、顔も隠れているから、この距離からだとまだ、人かそれ以外の種族なのかはわからない。

だが、一つわかった事がある。


あのローブ、魔道具だ。


個々の魔力香。

そして全員同じ魔力の匂いがローブからする。


ちょっとまずいかな。


20人全員に隠蔽の魔道具を持った集団。


どこかの国の隠密と考えるのが妥当だろう。

だけどもし、相手が盗賊だとするならば、国の隠密があの装備を揃えるのと、普通の盗賊が揃えるのでは、確実に盗賊が同じ装備を揃える方が難しいだろう。

そう考えると、盗賊だった場合、国の隠密を相手にするよりも面倒な可能性が高い。


考えていると、面倒だなと思い。


「聖王国辺りの隠密だったら良いな」


そんな事を呟いていた。

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