第33話
雨をシャワー代わりっていうのは、まあちょっとは不満があるが、久しぶりにシャワーを浴びれるのは凄く気持ちがいい。
シャンプーを使い頭を洗い、タオルに石鹸をつけて体を洗っていく。
元々はこの世界にはシャンプーはなかったそうだ。
シャンプーが無かった時代に召喚された勇者の中で、石鹸で頭を洗っていた人がいたらしいのだが、それが原因かわからないが、若いのに禿げたらしい。
禿げてしまったのを切っ掛けに、魔王を倒した後の全ての人生を、シャンプーの開発だけにつかった。
自分は禿げてしまった。
だが、自分の子供が同じような事にならないようにと。
完成したシャンプーは日本にあるような物よりは劣るけども、それでもなかなか良い出来で、販売されてすぐに、貴族の女性に気に入られ使う人が増えていった。
最初は値段がそこそこしたらしく、庶民では手が出せなかったが、色々とあって、石鹸より少し高いくらいの値段までなり、庶民でも買える物になって言った。
まあ、なんでこんな話を考えているのかと言うと、馬車の中での暇つぶしに、この頃聞いたから。
それとっというか、こっちがこんな事を考えている理由なのだが、久しぶりのシャワーでご機嫌なのか、鼻歌まじりにシャワー浴びてるシーリャの方が気になってしまう。
すぐ近くで、女の子が無防備にシャワーを浴びている、そう考えると、妄想が膨らんだりするし、そのせいで、色々とまずい。
そう思うと、桶に溜まった水で、一気に体を流すとタオルを腰に巻き、すぐに洞窟に戻った。
本当は入る前に、リーリンさんにでも声をかけてから入ったらよかったのだが、それを忘れていたせいで、洞窟に入ると同時に、全員からタオル一枚腰に巻いただけの状態をじっくりと見られてしまった。
恥ずかしさのあまり、叫びそうになったが、その前にリーリンさんが準備していた新しいタオルと着替えを渡してくれたので、すぐに奥へ戻った。
やっちまった・・・。
元々力仕事をしていたからお腹が出ているとかは無いんだけど、それでも全裸に近い状態を女の子に見られるのは恥ずかしい。
「はぁ・・・」
自分のお腹を触ると、ちょっと脂肪がついてきたような感じがする。
まあそりゃ、毎日馬車で座ってるだけで、運動なんて野営の準備をしている時と、寝る前に腕立て腹筋とかをするくらいだ。
これも結局は、ぶくぶく太って、豚はいらないっとか言われて、捨てられないための対策みたいなものだ。
もう少し鍛えるか、もしくは食べる量を減らすか。
食事量を減らして、ダイエットでもするかな。
ダイエットについて考えていると、シーリャがシャワーから戻ってきた。
「裕也、どうしたの」
「なんでもないぞ、本当になんでもない」
シーリャに知られるのはなんか嫌だ。
そんな理由からなんでもないと言うと、シーリャは首をかしげていた。
「そんな事よりさ、尻尾の手入れしよっか」
「いいの? じゃあお願いね」
そう言うと裕也に櫛を渡し、尻尾を向けた。
実家の猫と同じような感じでいいんだよな?
少し濡れている尻尾をタオルで拭いてから、ゆっくりと櫛で梳かしていく。
優しくゆっくりと。
後ろを向いているので顔は見えない、それでも耳が嬉しそうな感じに動いているので、駄目って感じじゃないようだ。
「気持ち良い?」
「うん。 裕也ってこういうの上手いんだね」
実家の猫でこういうの慣れているんだ。
ってのは流石に言えないよな。
「こういうことやった事ないけど、気持ち良いならよかった」
「裕也って撫でるの上手かったし、こういうこと上手なのかもね」
上手いって言われるのは、良い気分だな。
丁寧に続けていると、そろそろいいかなっと思い。
「これで終わり」
「ありがとね」
シーリャは尻尾の感じを確かめるように、手でモフモフと触っていると、俺の手入れが気に入ったのか、嬉しそうに耳が動いた。
「これからは毎日やって欲しいかも」
毎日か。
櫛で梳いていると、やっぱりモフモフでさわり心地が凄く良いってのは思った。
でも、女の子の尻尾を毎日触るのはどうなんだろ?
そう思ったので毎日ではなく。
「3日に1回くらいでもいい?」
「それでもいいよー」
こうして、3日に1回の尻尾の手入れをする事になった。




