第31話
拳圧だけで掘られた洞窟は、結構確りしていた。
っというか、掘ってるのを見ていた時思ったのだが、シーリャって以外に几帳面なんだよな。
みんなが入れるくらいの広さになった後に、細かく天井と拳圧を打ち込んで、高さを調整したり、少し地面がでこぼこになってるからって、緩めに足で踏む事で平らにしたり、ほんと意外だった。
そんな事を考えるより、空を見るとそろそろ雨が降りそうな感じになってきたので、急いで馬を入れて、雨が止むゆっくりする事になった。
もしも魔物が来た時対策として、護衛の5人とリーリンが入口近くで待機して、裕也とシーリャは奥の方でお茶を飲みながら休憩していた。
「そういえば、気になってたんだけど、普通に殴った方が速く掘れたんじゃないの?」
拳圧だけで掘るのは凄いと思ったけど、拳圧であれなら、直接殴った方が速いだろっと思っていたので、時間もある事だし、丁度いいので聞いてみた。
「直接殴る場合、調整が難しいんだよ」
「綺麗に作るとか、そういう意味の調整?」
「そっちじゃなくて、やり過ぎるとこの高台自体を割っちゃうし、加減しても変に崩れてくる可能性が高いんだよ」
「う~ん・・・。 一箇所に力を集中させて殴るとか」
「それが意外に難しいんだよね。 簡単にいえば、槍とハンマーって感じかな」
槍とハンマーか。
壁をハンマーで叩くと崩れてしまう、槍だと打ち込んだ拳と同じ大きさの穴が開くだけって事かな。
「普通はその二種類のやり方ができれば十分だし、拳で掘るなんてめったにする事じゃないしね」
シーリャなら戦闘とかそういう関連なら、結構何でもできると思ってたけど、できないことってあるんだな。
そういえば、二種類ができればって言ってるけど、漫画とかなら手刀で敵を切ったりとかあるよな。
「たとえば、手刀で物を切るってのはできないの?」
「出来るよー」
「素手って意外に便利なんだな」
「ある程度以上になれば便利だね。そうでないと鎧とかのせいで、敵にダメージを与えられない、そんな感じかな」
あっそうか、魔物相手だと鱗とか、人相手だと鎧、盾、それを貫通できる技術、もしくは魔力での身体強化、どちらかが出来ないと弱いのか。
「じゃあ、もし俺が戦うとしたら、素手じゃなくて、武器を持った方がいいかな」
「裕也の場合は、その魔力を完全にコントロールできれば魔術と素手の組み合わせが良いかもね。 まあ、簡単な話、それだけの魔力があれば、身体強化で伝説に出てくるような鎧と同じ硬度になるんじゃないかなって思うんだよ」
伝説に出てくる鎧って、どんなレベルだよって話だけど・・・。
「俺と同じくらい魔力のある人の、身体強化を見たことでもあるの?」
「うん。 土の賢者のヘイゼって人だね」
「へー・・・、って賢者!?」
「そうそう賢者」
シーリャって、獣王国の姫だし、そういう有名な人と知り合いでもおかしくはないのか。
賢者と同じくらいの魔力か。
人間側だと、勇者の次に強いのが賢者って話だから、魔力量だけならチートレベルなのかもな。
でも、使えないなら宝の持ち腐れってヤツだよな・・・。
なんかちょっと、悲しくなってきた。
「そ、それよりさ。 雨ってまだ止まないのかな?」
「リーリン、どんな感じー」
シーリャがリーリンさんを呼ぶとすぐに外の様子を伝えてくれた。
「かなり雨が強いので、夜まで降る可能性があります」
「そっかー」
「それなら、護衛の人達もここまでの旅で疲れているだろうし、今日一日はここで休憩でいいんじゃないかな」
「うーん・・・、うん、そうだねそうしようか」
今日一日休憩すると決めると、すぐに護衛の人達に言って馬車に積んでいる、毛布などを持って来てもらい、シーリャ毛布の上で猫のようにゴロゴロとしていた。




