第30話
水を補給してから3日。
荒野の旅も、後半分と言うところまで来ていた。
この3日の間に、魔物と2回遭遇したが問題になるような強さのものではなく、逆に食料の補充として丁度いいくらいだった。
昼ご飯を食べて、日課の昼の分の瞑想をした後、魔術書の内容をメモした物はもう頭に入っているので、見返す必要もないのでぼーっと外の風景を見ていた。
「雨が降るかも」
シーリャが何かの雨の匂いを感じたのか、そういってきたのだが、空を見ても、ほとんど雲も無く、本当に降るのだろうか?
そう思う天気だ。
「雨の中走る?」
シーリャにそう聞くと、少し悩んだ後。
「順調に進んでるし、雨宿りしたほうが良いかな」
雨宿り聞いてすぐに、窓から辺りを見回したのだが、雨宿りできそうな場所は無かった。
「うーん、雨宿りできそうな場所はなさそうだけど」
「水を補充した池の近くにあった、高台みたいなのがあれば、それを掘って雨宿りできるんだけど」
高台があればと言われても、そういったものもなく、丘になってる場所はあるが、そこを掘ったりとかはできないだろうし、どうしようもない。
「雨って後どのくらいで降りそう?」
「今向ってる方向から、雨の匂いがするから。 このまま進めば、たぶん1か2時間以内に雨が降るかな。 ここで待ってるならもう少し先だろうけど」
「じゃあ、もう少し進んだらそこでテントを張って雨が通り過ぎるのを待つのがいいかな」
「そうしても良いんだけど、それじゃあ馬が濡れちゃうのがね」
そうか、馬に負担をかけないための雨宿りって事か。
うーん、テントに馬を入れる、って事もできないしな。
寝る時に使っているテントはそこそこ大きい物だが、それでも護衛が乗ってる馬と馬車を引いている馬二頭が入れるだけの大きさではない。
どうするかな・・・。
シーリャと二人で悩んでいると、荒野の地図を確認していたリーリンさんが、雨宿りをできそうな場所を見つけたようだ。
「少し南側に進めば、そういった地帯があるようです」
「南かー」
「なんか問題あるのか?」
「南側はそこそこ強い魔物が生息してるはずなんだよね。 リーリン、地図ではどうなってる?」
「この辺りならまだ、大丈夫そうですね」
「まあ、少し南にいけば、もしかしたら雨が降らないほうにいけるかもしれないし、そうしよっか」
「了解しました」
リーリンが他の護衛に今の話を伝えて、進路を少し南側に変更した。
そこから1時間ほど、ずっと空を見ていたのだが、本当に北の空に雨雲らしき物が見えてきた。
こっち側はすぐには降らないだろうけど、あの雲の感じだとここも雨が降りそうだな。
「発見」
北の空ばかり見ていたら、丁度シーリャが見ていた方角に雨宿りができそうな場所を見つけたようだ。
急いでシーリャが見つけた、雨宿りの場所に向うと、そこには池の近くにあった、高台が何個もある場所だった。
一番近い高台の前で馬車から降りると、そこには絶壁と言える物があった。
だけどこれって、雨宿りはできないよな。
壁を見上げても、雨を防いでくれるような物は何もなく、これでどうやって雨宿りするんだろう?
そういえばさっき、聞き流してたけど掘るとか言ってたけど、掘って洞窟みたいにするとしても道具がないしな。
「裕也、ちょっとはなれてね」
どうするんだろう?
そう思いながらも、少しはなれてシーリャがどうするのか気になって、じっと見た。
「じゃあさくっとやっちゃうね」
そういうと、壁から離れた位置から右の拳を突き出した。
突き出した時に、ゴーっと風の音がすると思ったら、目の前の壁が目で見てわかるくらいに、窪んでいた。
・・・うん、流石に予想外だ。
手で掘るとか、武器で掘るかとも思ったけど、拳を突き出すだけで掘るとは思ってなかったよ。
そんな事を感じている間に、シーリャは右と左の拳を突き出して、雨宿りの場所を作っていった。
10分ほどで馬も入れるくらいの広さの、洞窟が出来上がた。




