第26話
高台に登るときに、同じように跳躍していたのだが、今回は先ほどとは違う。
今は何もない空を跳んでいる。
先ほどは壁のように高台があったから、たぶんそんなに怖くなかったのだろう。
怖い、その思いからシーリャの首に回していた腕に力が入る。
「どうしたの?」
「・・・・・・怖い、マジで怖い!」
もしここ東京タワーがあったのなら、それと同じくらいの高さを跳んでいる。
そんなの怖いに決まってるじゃないか。
いや、まあ、飛行機とかならそれ以上の高さを飛んでいて、それは怖いとは感じない。
身一つで、こんな高さを飛んでいるのが怖いんだ。
「もー、裕也は臆病だなー」
「いやいや、そんな事ないって、高所恐怖症の人ならショックで死ぬレベルだよ!」
「高所恐怖症?」
「高いところが怖いって人のこと」
「ふーん、そうなんだ」
話していると、少し気もまぎれるのだが、そろそろあれが来る。
そう、跳んだのであれば、上がった後は下に落ちていくものだ。
ふっと、重力がなくなったかのような感じがすると、恐怖から目を閉じ、歯を食いしばり、シーリャに力いっぱい抱きつく。
「裕也は、甘えんぼさんだね」
「ちがうわー!」
そうして裕也は叫びながらシーリャと共に、リーリン達のもとに落ちていっく。
早く地面についてくれ。
地面につくまで、それほど時間がかからないはずなのだがまだつかない。
風の音しか聞こえない。
怖い怖い怖い。
恐怖で震えていると、急に風の音が消えた。
だが着地の衝撃はなく、何が起きているのかわからない。
「祐也様、大丈夫ですか?」
リーリンさん?
声を聞いた祐也は、少しずつ目を開けと、もう地面についていて、回りには蛇の死体の山、目の前にリーリンがたっていた。
「流石にあんな高さから落ちるのは、ほんとに怖かった・・・」
「シーリャ様、あまり危ない事はしないで下さい」
「えー、危なくないよ」
「それはシーリャ様だからです。 もし空で魔物や、他の何かの拍子に祐也様が一人で落ちる事になったのなら、魔力制御の出来ないため、確実に死んでいました」
確実に死んでた。
そう言われると、また怖くなってくるので、とにかく話題を変えよう。
でも、話題を変えるって・・・・・・、やっぱりこの蛇の話しかないよね。
「今回は無事だったんだし、この話題は終わりってことで。 それよりも、このヴァイパーカットが、何でこんなに大量にいたのかが、気になるんだけど」
シーリャもそこは気になっていたみたいで、うーんといった感じに思考を巡らしているようだが、リーリンはすぐに考えをまとめて、話はじめた。
「 ヴァイパーカットは普通だと、もっと南に生息しているはずでした。 そこから考えるに南の方で何かがあって、ここまで移動してきた、と言ったところでしょう」
まあそれが、一番自然な考え方だよな。
「うーん、それにしては、数が多すぎないかな?」
シーリャがそういったので、気になって回りの死体の数をざっくり数えてみると、たぶん、200匹近くの死体が転がっていた。
「そうですね・・・、クイーンが繁殖のためにここまで移動してきた、可能性もありそうですね」
「クイーンって、あんまり生まれないんじゃなかった・・・」
なかったのか?
シーリャはそう言おうとしたのだが、池のほうから何が近寄ってくるのを感じ取り、池の方を見た。
「うわ、ほんとにいるし」
池から飛び出してきたのは、笑えないほどの大きさのヴァイパーカットだった。
「裕也様をお願いします」
そういうと飛び出してきたクイーンに向って走り出した。




