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第24話

血の臭いが濃くなり、もうすぐ池につくかと思った時、シーリャは立ち止まった。


「裕也、ここから見える?」

「いや、この距離じゃまだ見えないな」


シーリャは少し考えて、何かを思い出したかのように言った。


「それなら、あそこからなら見えそう?」


そういったシーリャの視線の先には、池を一望できる位置に高台があった。


「なんであんな都合の良い場所に、高台があるんだよ!」

「ボクにそれを言われてもわかんないけど、地図でこの池の危険度が低く設定されている理由の一つみたいだね」


そりゃあんなところに高台があって、全体を見渡す事ができるなら、もし池に強力な魔物が接近してきてもすぐに発見できるだろう。

そのうえ、そこまで強い魔物も生息していないという話だったから、そりゃ危険度は下がるよなと思った。


「なるほどね。 じゃあ、あの高台からリーリンさん達を見るのがいいか」

「うん、そうしよっか」


そう言うと、シーリャは一直線に高台に向かった。



高台の下につくと、シーリャは1回目の跳躍で、高台の上まで到着した。


お姫様抱っこから解放されると、リーリンさん達が何処にいるのか探すために、キョロキョロと辺りを見渡した。


「あそこ、見える?」


シーリャが指をさした方向を見ると、そこには大量の蛇の死体、そして蛇とまだ戦っている三人を発見した。


あれがヴァイパーカットか。


遠くて細かな部分までは見えない、それでもその蛇がどういうものなのかは見えた。


なるほど、そういう意味でヴァイパーカットか。


ヴァイパーカットは成人男性くらいの大きさ。

名前の由来になっている特長、それは牙と尻尾にある。

蛇の牙といえば噛むことで毒を流し込むというイメージある。

しかし、ヴァイパーカットの牙は噛む事を目的にしていない。

その牙はナイフのような形をしていて、切る事に特化している。

同じく尻尾もナイフっと言うか、こちらは槍のような形をしている。


戦い方としては、尻尾を地面にさし、バネのように力を溜めて相手に飛び掛かり、擦れ違い様に牙で切るという単純な動作なのだが、避けられると着地の時に牙を地面にさして尻尾を振って攻撃してくる。

それなら牙を武器で受け止めればと思うが、受け止めるとその力を利用し、距離を取ってくる。


単純だがめんどくさく、そのうえ牙と尻尾には毒もあり、鱗は鉄なみの強度がある。


それでも、リーリン達は正確に対処し、たぶん100匹くらいは殺している。


少し余裕のある距離で攻撃を避け、同じ場所に4回ほど攻撃をして両断する、丁寧な戦い方。


でも何でだろ、何か違和感がある。


違和感を気にして、裕也の少しの表情がかわった。


「どうしたの?」


それに気づいたシーリャは、こちらを見た。


この違和感の正体はなんとなくわかる。

それをこう言うしかないともわかる。

でも、その言い方が嫌なんだよな・・・。


「リーリンさん達にしては、倒すの遅くないかな?」


お前ならできるはずだ。

こういう言葉は、言う方は楽だけど、言われる方は重荷になるのはよくわかっている。

お前ならもっと良い点がとれるはずだ。

お前ならもう少し頑張るだけで、良い大学にいけるはずだ。


そんな言葉をよく聞いてきた。

だから、この言い方が嫌いなんだ。


自分では嫌な言葉だが、シーリャにとってはなんとも思わなかったみたいで、普通に遅い理由を話しだした。


「遅いのは、リーリンの悪い癖のせいだよ」


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