第22話
馬車で座って話しているだけというのは、体が痛くなるし退屈だが、荒野を散歩するというのも、あまり面白い物でもなかった。
動物などが見れるのなら、少しは楽しかったかもしれないが、この荒野には基本、魔物しか存在しないので、何も見つからない方がいいのだ。
代わり映えのしない荒野を二人で歩く、裕也とシーリャ。
手を繋いで歩いていて裕也はふと、手を繋ぐ意味を考えた。
危ないからって、手を繋いだけど、これって意味がある事なのか?
離れすぎないように、一緒に歩けばいいだけじゃないかな?
そう考えるが言い出すことはできない。
言えない理由。
シーリャが楽しそうにしてるから?
違う、手を離すと置いていかれそうな気がして・・・・・・。
今までのシーリャ達の行動から、そんな事はないとわかっている。
だけど、それでも、まだそういうのが怖いと感じてしまう。
もしかして、その事を考えて手を繋いでくれた?
・・・・・・いや、シーリャを見ているとそれはないと思える。
ただ楽しそうに尻尾を振りながら、一緒に歩いてるようにしか見えない。
「ふぅ・・・」
考えるだけ、無駄だな。
無駄な事を考えていたせいか、少しため息が出てしまう。
「どうしたの?」
「ちょっと無駄な事を考えていただけだよ。 それにしてもほんと何もないな」
「そうだねー。 できるだけ、何かに遭遇するって事がない様に動いてるからね」
「何か・・・。 前言ってたような、ドラゴンとか」
「それもいるね」
「それも?」
「ここには色々いるんだよ」
「色々か、それならここは怖い場所だね」
魔物、怖い者。
そう思うと、それがいない事を確認するように、辺りを見渡した。
「心配?」
辺りをきょろきょろと見渡していると、そうシーリャに聞かれた。
こっちに来て、オークに襲われて、シーリャ達がサイクロプスと戦うのを見た。
今オークを見たら、恐怖で震えるかもしれない。
サイクロプスはそんな事もないだろう。
何も答えず、考えるように黙る裕也を見て、シーリャは繋いだ手を少し強く握ってしまう。
少し強く握られて、痛いという事もなかった。
ただ、繋いだ手が温かく感じられた。
「シーリャがいてくれるなら、心配なんてないよ」
そう答えると、シーリャは満足する答えがもらえたようで、凄く嬉しそうな顔をしていた。
その後も話しながら歩いていると、そろそろリーリン達が戻る予定の時間になるだろうと馬車に戻る事にした。
馬車に戻るとメルーとレムが、お昼ご飯の準備を終えた所だった。
「シーリャ様、おかえりなさいです」
こちらに気付いたレムが、凄い速さでシーリャの前に来ると、心配するようにじっと見てきた。
「裕也様、シーリャ様に何もしてないですよね?」
「何もしてないよ、二人で歩いて話をしてただけ」
「ほんとーですか?」
レムは裕也の体の匂いをクンクンと嗅いだ。
「それっぽい臭いはしないので、信じてあげるです」
そう言うと、興味を失ったみたいで、シーリャのための椅子と飲み物を用意しに戻って行った。
「何かあるわけないのに、レムは心配性だな」
レムが言う何かは、男女のそういう事だというのはわかる。
でも、俺がシーリャに手を出す事は、今のところはないのにな。
「そういう子だからね。 でもボク的には何かがあってくれても良かったんだよ」
シーリャが何かの意味をわかってか、そういうこと言いながら上目遣いで裕也の事を見た。
「中途半端な気持ちで、そんな事はしません」
「そうだよね、裕也はそういう人だね」
それにしても、リーリンさんたちはまだ戻ってきてないんだな。
裕也は見る事はできないが、池のある方角をじっと見た。




