第17話
朝、目が覚めて、シーリャを見るとまだ手を握っていた。
こうして見ると、可愛い普通の少女だ。
でもそれだけじゃないんだよな。
「おはよう」
寝ているシーリャに、そう言うとすぐに目を開けた。
「あれ、ばれてた?」
「ばれてたっというか、こっちが起きたら反応して起きるだろうなっと思ってね」
「裕也は少しずつボク達のわかってきてくれてるね」
「毎日一緒だから、まあそうなるさ」
そう言うと裕也はベットから起き上がり、顔を洗うために部屋にある、洗面所に向った。
顔を洗っているとシーリャが今日の予定を聞いてきた。
「今日はどうする?」
「できれば、宿でゆっくりしながら魔術の練習がしたいなか」
「じゃあボクとリーリンは買い物に行って来るよ。あ、そういえば裕也の服、もうボロボロだし、買ってこようと思うけど、どんなのが良い?」
服か、気にしてなかったけど、ほんとにボロボロだな。
しかし、どんなのが良いと言われても、今まで自分で買ったことがある服は、デザインが好きとかで選んでいたわけじゃなく、値段を気にして買っていたから、基本安い店にしか行かなかったしな。
「特にないから、任せるよ」
「む、それは責任重大だね」
「そうか?」
「うん、誰が見てもカッコイイって思えるのを探さないとね」
「カッコイイか、そんなのじゃなくて、普通の無難なやつで良いよ。カッコイイなんて、俺にはあわないだろうし」
「似合うと思うけどなー。まあいいや、裕也が嫌がるようなのは買わないようにするよ」
今日の予定をきめて、裕也達は食堂で朝御飯を食べ終わると、シーリャ達とわかれて、部屋に戻った。
部屋に戻った裕也は、昨日シーリャが読んでくれた部分をメモした物を見ながら考えた。
昨日は成果が何もなかった。
瞑想の仕方が悪かった?
いや、それはないだろう。
集中が確りできてなかった?
それは、少しあるかもしれない。
魔術が使えるようになる、それが、集中して早く使えるようになりたいと言う、雑念を生み出したのかもしれない。
でも、あの時、自分では焦っていたりしていないつもりだった。
つまりは、無意識の部分も関係しているのか・・・・・・。
この街にいるのは今日まで。
まあ、ここで焦ると、それがまだ雑念になる。
それなら、獣王国につくまでに覚えれば良いと考えよう。
そうすれば、あと二ヵ月半は時間がある事になり、焦りも消えるだろう。
「とにかく、瞑想だけは毎日しよう」
そういうと、裕也は目を閉じて瞑想をはじめた。
そういえば、シーリャ達、変な服買って来たりしないよな、ちょっと不安だな。
その頃、シーリャ達は昨日の魔道具屋に来ていた。
この街を出ると、次の街まで二週間はかかる。
自分達だけなら、魔道具屋に来て買い物などしないのだが、今回は裕也を護衛しながら魔物が結構生息する荒野を進むことになる。
そのため、裕也用のポーション、病気になった時用薬草、魔物避けの結界のような効力のある、聖石を購入。
後もう一つ、裕也が魔術を使えるようになったら、杖とかそういうのもあったほうが、良いかなっと思い、杖ではないが一つ装備を購入した。
魔道具屋を出ると、次は服屋に向って歩き出した。
「そういえば、裕也の服ってどのくらいのサイズのなら良いんだろ?」
「裕也様の服のサイズなどは確認していますので、問題ありません」
「さすがリーリン、それなら服屋も何処がいいか調べてる?」
「はい、こちらになります」
こういう事はやっぱり、リーリンに任せるのが一番だね。
そう思うとリーリンの後をついて服屋向かった。
リーリンが案内してくれた店に入ると、あ、なるほどねっと思った。
この服屋は、南のダスヘイム都市連合でよく着られている服売っている。
都市連合は異世界人を敬う国。
そのため服も異世界人から聞いた服のデザインや、着ていた服を参考にして作られた物が多く、この世界に来た勇者にはかなり好評だと聞く。
「リーリンも裕也の服、何着か選んでね。ボクだけじゃ服のデザインが偏ったりするかもしれないしね」
二人で選んで、服のデザインが偏って、全部裕也が気に入らないのだと問題なので、二人は手分けして服を選び始めた。
色はどんなのがいいだろう、デザインはこんなのがいいかなとか、色々と考えながら二人は服を選んでいった。
選ばなかった服の中にはシーリャはそれが何かわからなかったが、アメリカの軍服や海上自衛隊の制服など、なんでこんなのがあるんだよっと言う服が何着もあった。
そんな変な物もあるなか、二人はこれだっと思う服を数着ずつ購入した。
「戻ったら、1回全部着てもらって、どっちが選んだのが気に入ったか聞こっか」
「裕也様なら、私が選んだ物よりシーリャ様が選んだ物を気に入るともいますよ」
「そっかな? あんまり男の人の服って、どういうのが良いかわかんないから、変なの選んでないかちょっと不安だよ」
「シーリャ様が不安になるとは、珍しいですね」
「不安って言ってもほんのちょっとだよ。そんな事よりはやくもどろ」
そう言うと、シーリャは足早に宿に戻って行った。